HintClip編集部が、広告・販促・広報・サステナビリティなどの各分野のプロフェッショナル(専門家)に依頼して、お薦めの書籍を紹介してもらうシリーズ企画です。
第1回目となる「広報・PR/初級編」では、出版プロデューサーとして、また経営者の担当編集者として、書籍出版や企業の広報活動に携わっている株式会社スターダイバー代表・米津香保里さんが面白くて役立つ本を3冊ご紹介します。
▶題字:書家 小川啓華
■推薦理由
広報・PRの仕事は守備範囲が広く、やるべきことが盛りだくさん。しかも現代社会は変化のスピードが半端ない。まだ仕事のスタイルが確立していない若手広報パーソンにとっては目が回るほど忙しい毎日だと思います。そんな人たちに向けて、仕事が効率的に回せるようになって優秀なプロフェッショナルもめざせる、そんな本を選びました。本を読んで明日からの仕事に役立ててくださいね!
■推薦者
株式会社スターダイバー
代表取締役
米津 香保里
出版プロデューサー、経営者の担当編集者。ビジネス書や自己啓発書を中心に出版プロデュースに従事。手がけた書籍は180点超。ロングインタビューを実施した経営者は700人以上。「経営者の担当編集者」として経営者の「言葉」をブランディングの要に変換する新しい広報モデルを展開している。
『わかる!!できる!!売れる!! キャッチコピーの教科書』
著者:さわらぎ寛子
出版社:すばる舎
どんな仕事も他者を巻き込む力の有無で結果はまったく変わってくるもの。特に、メディアやお客さまの心をつかむのが仕事の広報・PRパーソンに「巻き込み力」は重要です。もし、巻き込み力のある文章を書くスキルを身につけられたら!プレスリリースでも企画書でもSNS でも、望む成果が手に入りやすくなることは間違いありません。中でも重要なのは、キャッチコピー。情報過多の現代社会、いくら内容が優れていてもキャッチコピーが冴えていなければ読んでもらえる確率は格段に下がってしまいます。
とはいえ、キャッチコピーは難しい。魅力的なフレーズが出てこない!とパソコンの前でウンウン唸った経験がある人はきっと多いと思います。そんなとき、頼もしい味方になってくれるのが本書です。
本書のおすすめポイントは、巻き込みたい相手にどんなキャッチコピーを提示すればその気になってもらえるかが、マーケティング視点でポイント別に語られているところ。
つまり、本書を読めば、どんな商品やターゲットにも対応可能なキャッチコピーの作り方が手に入るようになっているのです。
例えば、「お客さまがイメージしやすい言葉を使う」の項では、「具体的な数字を入れよう。そのときに大切なのは絵が浮かぶかどうか」と説き、お手本コピーとして初代iPodのキャッチコピー「1000曲をポケットに」が紹介されています。
「「私のことだ」と思ってもらう」の項では、共感が鍵になることを説き、お手本コピーとして「子供の個性」だとわかっていても、イライラしちゃうあなたへ。」というコピーが紹介されています。
こんなふうにどの項目も解説だけでなく、「お手本コピー」(ときには「惜しい!コピー」も)が紹介されているのでしっかり理解でき、すぐにでも自分の仕事の参考になりそうです。ぜひ本書で学んで1行の威力を仕事に生かしてください。
『ひとり広報の戦略書』
著者:小野茜
出版社:クロスメディア・パブリッシング
本書の内容を紹介する前に、まずお伝えしたいのは、「ひとり広報の~」というタイトルに惑わされず、この本はすべての広報パーソンに読んでほしいということ。
たとえば冒頭。「ひとり広報」は5つの不足(「知識不足」「情報不足」「話題不足」「時間不足」「繋がり不足」)に悩まされていると紹介されていますが、これ、大企業の広報部署に属している広報パーソンだとしても、「十分足りています!」という人はいないはず。
そもそも広報の仕事は、たとえチームで活動していても、広報パーソン一人ひとりの思いや取り組みが起点となってウェーブを巻き起こしていくもの。本書が説く「広報マインド」はすべての広報パーソンに当てはまるのです。
5つの不足に話を戻すと、中でも「時間不足」は誰もが困っているのではないでしょうか?
かくいう私もうまくできているとは言い難い。取りこぼしている情報や後回しになっているタスクなど、「やるべきこと」の洪水にいつもアップアップしています。そんな人に向けて著者が推奨するのは、仕事を「情報の価値化」と「価値の伝達」の二つに分けた上でそれぞれゴールを決め、そこから逆算して何に何時間割くべきかを割り出して取り組む方法です。
これなら、ゴールに対して影響力の低いタスクは優先順位を落とすことができるし、何よりゴールまでの道筋が見えているので成果が出やすい。
ほかにも情報をインプットする習慣をどう作るか、話題作りのコツ、メディアやプロフェッショナルとのつながりの作り方など、広報パーソンにとって必須の知識がてんこ盛り。
「社外の同業とつながりを持とう」という視点も新鮮でした。思えば広報活動は、他者とのリレーションシップが何より大切。誰とでもつながり合い学び合う姿勢があれば、いくらでも自分を高めていけそう。いい仕事がしたい、いい広報パーソンになりたい、と思う人にオススメです。
『プレスリリースはラブレター』
著者:野呂エイシロウ
出版社:万来舎
突然ですが、「プレスリリースってつまり何?」そう聞かれたら、なんと答えますか?
「えーっと、商品の特徴を伝えるためのもの?」「商品をメディアで取り上げてもらうための提案書かな?」などなど、イマイチ自信をもって答えられない…という人は多いと思います。
実はかつての私もそうでした。作るほうももらうほうもどちらも何度となく経験してきましたが、プレスリリースって正直よくわからない。どう作ればいいか迷う…。そう思っていたのです。でも、本書を読んで一変しました。
「プレスリリースって、こう作ればいいんだ!」そんなふうに思えるようになったのです。
そもそもプレスリリースの可能性は無限大です。料理の腕は一流なのに流行っていないお店も、画期的な特徴を備えているのに売れ行きがイマイチの新商品も、素晴らしい景観が広がっているのに閑古鳥が泣いている観光地も、プレスリリース一つで多くの人に支持され、熱く求められるお店やモノ、土地に変貌するかもしれないのです。
どうですか? ワクワクしてきませんか?しかも、そんなパワフルなプレスリリースを作るコツはたった一つ。それが、本書のタイトルにもなっている「プレスリリースはラブレター」という視点です。
つまり、送る相手を口説くつもりで作るということ。
そう考えると、リリースを作る上で大事なことが見えてきますよね。そうです。相手のことを思い浮かべながら、どうやったら受け入れてもらえるだろう?と想像しながら書くことが重要なのです。ところが多くのプレスリリースが、自己中心的な内容に陥っていると著者は言います。だったらどんなリリースだったら受け入れてもらえるのか?その切り口や効果的な方法が、本書ではたくさん明かされています。
誰だって、真摯に愛を囁かれたら嬉しいはず。本書を読んで、相手をドキドキさせるプレスリリースを作ってみませんか?
■まとめ
最後に、ビジネス目的で本を読む際に私が実践しているコツを紹介したいと思います。それは、「知っているかどうか」ではなくて、「できているかどうか」で読むこと。
「知っているかどうか視点」で本を読むと、どこかで聞きかじっただけでも「あ、これ、知ってる知ってる」と軽くとらえて表面をスラ~っとなぞるだけになってしまいがち。ビジネス書は基本的なことから説き起こすことが多いので、「知っているかどうか視点」だとその本が語っている重要な箇所に気づかない可能性も高くなります。結果、実りのある読書になりません。
だからこそ、「自分はできているか?」という視点で読んでほしいのです。
この読み方だと、書かれている内容の吸収度合いがずっと深くなります。マーカー片手に「できている」「できていない」をチェックしながら読むのもオススメです。
ぜひ、生きた読書を通じて仕事を輝かせてくださいね!
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