新NISAの普及や投資トレンドなどを背景に、個人投資家が増加するなか、企業においては投資家とのエンゲージメントを高める機運が高まっています。
なかでも株主優待は直接投資家との関係を向上、深化させる役割があります。
そこで今回は、株主とのエンゲージメント向上につなげる株主優待プロモーションの手法と事例をご紹介します。事例はタカラトミーやドン・キホーテ運営のパン・パシフィック・インターナショナルHDなど、注目の取り組みを紹介しています。今後のエンゲージメント向上の参考としてぜひご活用ください。

株主優待のトレンド

株主優待とは、企業が自社の株を購入した株主に対して、自社の商品や金券などの優待品を贈る制度です。企業として株主優待制度を設ける理由として、感謝の気持ちを表すと共に、投資に対する還元の意味もあります。

従来の株主優待のトレンドとして、次のトピックスが挙げられます。

個人株主の増加

東京証券取引所の統計によると、2024年度の全国・証券取引所上場会社の株主数合計は、前年度比922万人増加して8,531万人となりました。

そのうち、個人株主数は全体の98%を占めており、前年度比914万人増の8,359万人となりました。増加が見られたのは11年連続となります。

年々増加する個人株主の状況を踏まえて、個人株主との関係性を向上させ、長期保有を促す取り組みが積極的に進められています。

エンゲージメントを高める必要性

個人株主に長期保有を促すことで、経営が安定することを背景として、企業はエンゲージメントを高めるために株主優待制度を活用しています。

【関連リンク】
株主優待で個人株主の長期保有を促進! 株主優待運営のポイントとは?

これからは株主のエンゲージメント向上が鍵をにぎる

株主優待のトレンドを踏まえたアプローチとして有効なのが、個人株主のエンゲージメント向上をめざし、株主優待を活用してプロモーションを戦略的に実施することです。

各社が独自の魅力的な株主優待を提供するなかで、いかに個人株主に選んでもらい、「ファン」になってもらえるかが重要になってきました。

しかし、ただ闇雲に、株主優待制度を始めることは避けたいものです。大切なのは、いかに戦略的にアプローチできるかという点にあるからです。

株主優待の展開方法やプロモーション手法には、さまざまなものがあります。

ヒントとなる5つの手法と事例紹介~タカラトミー、INCLUSIVE Holdings、ドン・キホーテなど~

1. 体験型優待

例)工場見学、テーマパーク招待、料理教室

体験型の株主優待がトレンドになっています。体験型とは、製造業であれば、自社の工場を見学できるよう開放したり、自社に関連するテーマパークの優待券を提供したり、料理教室を開いたりして、自社および自社の商品やサービスを実際に体験してもらう機会を提供するものです。

こうした体験型優待は、株主にとってインパクトのある体験となります。参加することで、より企業の内部や商品・サービスを体感しやすくなります。その結果、企業への愛着が増し、エンゲージメント向上に寄与するでしょう。

【事例】
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス「イベント・展示会などの体験型メニュー」

「ドン・キホーテ」を運営する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、体験型の株主優待メニューを提供しています。毎年、6月末と12月末時点で100株以上を保有している株主を対象として、株主優待の一つに、ブランドや商品を体感できるイベントへ抽選で招待するものがあります。

イベント例:PB(プライベートブランド)商品体感イベント、コスメ展示会「ドンコスフェスティバル」、お花見会など

また「IR Day」と称した会場とオンラインで開催される個人株主とのコミュニケーションを深める場への抽選による招待も提供しています。

いずれも株主にとって同社のブランドや商品をリアルに体験できる、株主にしか得られない貴重な体験を提供している点が特徴です。

※当社の提供サービスではありません。

2. デジタル優待券・電子クーポンの優待

株主優待のトレンドの大きい流れとして、ギフトのデジタル化があります。従来は、商品券などの金券類が優待として提供されていましたが、近年はデジタル優待券や電子クーポンに変化しています。

ショッピングのオンライン化が進んでいくなか、自社のECサイトなどで手軽に利用できるデジタル優待券や電子クーポンは、株主にとって利便性が高いメリットがあります。

また実店舗でのみ使える商品券と比べて、オンライン上ですぐに利用できる点も魅力です。金券類は株主優待として人気の傾向があるといわれていることもあり、株主を喜ばせるための有効な優待品の一つといえます。

【事例】
INCLUSIVE Holdings「老舗料亭のお取り寄せ品の電子クーポン」

デジタルマーケティング事業などを営むINCLUSIVE Holdings株式会社は、グループ会社である京都の老舗料亭「下鴨茶寮」の電子クーポンを株主優待にしています。

下鴨茶寮は、放送作家の小山薫堂さんが主人をつとめる安政三年(1856年)創業の料亭で、自宅用にもギフトにも利用できる京懐石をベースにした、お弁当やお重、鍋もの、肉・魚介の逸品などの幅広いカテゴリの商品をオンラインショップで展開。そのオンラインショップ限定で利用できる電子クーポンを、継続保有1年以上かつ500株以上の株主を対象に年1回贈呈しています。

保有株式数に応じた10,000円相当または30,000円相当の電子クーポンであり、「鯖寿司」や「料亭のローストビーフ」、「[熊本県産]天草黒牛と雲丹の出汁しゃぶ」などがお好みでお取り寄せ可能。株主になるからこそ得られる贅沢な特別感を提供しています。

※当社の提供サービスではありません。

3. 株主通信:サステナビリティの取り組み発信

株主向けに「株主通信」といった情報提供を行うことで、投資家とのコミュニケーションを促進する施策です。

株主に対して直接企業の価値を伝える重要な媒体です。近年はデジタル化も進んでおり、スマートフォン上で動画や漫画などを用いてより興味深く視聴してもらえるよう、工夫する企業もあります。

企業価値の発信内容としては、業績レポートのほか、主な活動内容や商品紹介のほか、有益なのが、サステナビリティの取り組みです。

環境配慮やSDGsへの取り組みの内容や進捗などを伝えること、投資家の信頼を獲得する企業もあります。

4. ブランドを用いたオリジナルグッズの提供

自社のブランドを使ったオリジナルグッズを株主優待として提供している企業もあります。

例えばオリジナルキャラクターのクオカードや、オリジナルグッズなどが多く採用されています。こうしたグッズは、その会社の株を買わなければ手に入らないというプレミア感を提供できます。株主になるメリットの一つとなるでしょう。

【事例】
タカラトミー「自社ブランドの特別企画セット」

株式会社タカラトミーは、2026年3月期の株主優待制度として、100株以上保有の国内の株主を対象に自社ブランドを用いた「特別企画セット」を提供しています。


©TOMY
©プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/超進化研究所・TBS


©TOMY

その内容は、ダイキャスト製ミニカー「トミカ」と、着せ替え人形「リカちゃん」といった自社ブランドによる自社周年商品や特別装飾したデザインをセットにしたものです。保有株式数に応じて、オリジナル「トミカ」2台セットや4台セット、オリジナル「リカちゃん」などを贈呈します。

自社商品をそのまま採用せず、一般販売されていない、希少価値の高い特別企画セットを提供している点が特徴です。

※当社の提供サービスではありません。

5. SNSを通じた情報発信

個人投資家の増加を背景に、企業はSNSを活用して投資家とコミュニケーションを図るケースが増えてきています。例えば直接的に経営層が投資家とコミュニケーションを取ったり、インフルエンサーを採用して自社の魅力を発信したりする方法が採られています。

SNSでは企業が個人投資家と直接的な交流を図れると同時に、個人投資家自身もシェアなどを通じて拡散に協力してくれる可能性もあります。SNS活用は、個人投資家が増える時代の株主との有効なコミュニケーション施策の一つといえるでしょう。

プロモーション実施の壁は専門家の知見とサポートを活用

株主優待のプロモーションや株主とのコミュニケーションを積極的に取り組むためには、さまざまな手法があることがわかります。

しかし、これまで株主へのプロモーションを実施したことがない場合は、自社だけではコミュニケーション設計やコンテンツ作成の点で壁に当たることもあるでしょう。

そのようなときには、株主優待の専門家の知見とノウハウを活用するのも有効です。

まとめ

株主優待は近年、個人投資家の増加を背景に、より個人のニーズに応える内容が提供されています。また、SNSを中心としたプロモーションのトレンドについても、一昔前とは大きく変化しています。ぜひ今の時代ならではの施策を進めていきましょう。

株主優待を新設するには事務局運営が必要です。優待品の調達から、株主データの作成、優待品の発送や配送管理、問い合わせ対応まで多岐に渡ります。

自社だけではリソースやノウハウに欠ける場合は、ぜひ共同印刷にお任せください。事務局運営のサポートに加え、プロモーションについても強みがあります。

長年、培ってきた印刷技術に加え、オンライン・オフラインのプロモーションにおいても幅広い実績を持っています。戦略立案からご提案できますので、トータルでのご依頼もご検討ください。

【調査出典】
株式会社東京証券取引所「2024年度株式分布状況調査の調査結果について」

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