近年、個人株主が増加の一途をたどっている中、企業の動きにも変化が見られます。個人株主は長期保有傾向があることから、長期保有を促す株主優待制度を取り入れる企業が増えています。

今回は、昨今の個人株主増加に伴い、獲得を進めるための施策の一つとして株主優待のトレンドやメリット、運営のポイントをご紹介します。

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個人株主は増加傾向

個人株主の現状を確認していきましょう。

個人株主は年々、増加傾向にあります。

東京証券取引所のデータ(※1)によると、個人株主数は2014年より10年連続して増加しており、2023年度は前年比で約462万人増加し、約7,445万人となりました。

2023年度の「個人・その他」の株式保有金額は、前年度比約39.2兆円増しの約170.4兆円となりました。

個人株主数、保有金額ともに伸びていることが、企業が個人株主に株式保有を促す契機になっているといえます。

※1 出典:株式会社東京証券取引所「2023年度株式分布状況調査の調査結果について

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株主優待を実施する企業の傾向

株主に対して企業が行う取り組みの一つに、株主優待があります。株主優待の基本と、昨今のトレンドを押さえておきましょう。

株主優待とは?

株主優待とは、企業が自社の株を購入してくれた株主に対して優待品を贈る制度です。多くの企業では自社商品やサービスの割引券などを優待品として提供しています。

近年は優待品のバリエーションも増えており、企業の地元の名産品やカタログギフトなども提供されています。

株主優待の現状

株主優待実施企業は約4割

2023年9月時点で、日本では全上場企業の約4割に当たる1,466社が株主優待を実施(※2)しています。

※2出典:大和インベスター・リレーションズ

実施企業数は、過去20年以上にわたっておおむね増加傾向にありましたが、2019 年をピークに頭打ちとなっています。

「株主優待実施企業数と実施率の推移」

(注1)実施率=株主優待実施企業÷全上場企業×100
ただし、実施企業数・上場企業数には REIT を含むが、外国株式、ETF、新株予約権、TOKYO PRO Market 上場企業等は含まない。

(注2)2018 年までは大和インベスター・リレーションズが発行する株主優待ガイド(冊子版)、2019 年以降は 同(WEB 版)における掲載社数を指す。なお、( )内は各年の調査月。「21 年(9 月)」であれば、2020 年 10 月から 2021 年 9 月までの間に優待を廃止した企業のデータが取得されていることになる。

データ出典:22年9月まではhttps://www.dir.co.jp/report/research/capital-mkt/asset/20230118_023554.pdfより引用、23年のデータは大和総研より提供
グラフ出典:大和インベスター・リレーションズ提供資料より大和総研作成

長期保有優待の導入が増加

実施企業のトレンドを追ってみると、長期間株式を保有する株主に対して、追加的な優待を行ったり、一定期間以上株式を保有することを優待品提供の条件としたりする企業の増加傾向もみられます。

この長期保有優待導入の目的として、株式を中長期的に保有する株主を増やすことを挙げる企業が多くあります。

※出典:2024年3月6日付大和総研レポート『長期保有株主向けの株主優待の動向

優待品・インセンティブの例

近年の株主優待品のトレンドとして、次の例があります。

ポイント進呈

企業独自のポイントや共通ポイントを株主優待にすることも多くなっています。例えばある企業は100株以上保有する株主に対して、株式保有期間によって独自ポイントを進呈しています。自社サービスの宣伝になるのに加えて、ポイント経済圏の拡大が見込めます。

長期継続特典

前述の通り、長期継続特典としてインセンティブを提供する企業も増えています。例として、商品券を提供している場合に、1年保有すれば2倍、2年保有すれば3倍に商品券の金額を上げていく企業もあります。

株主にとっては、長期的に保有を継続することがメリットとなり、長期保有が自然と促されます。

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株主優待を実施する企業のメリット

株主優待を実施することで、企業は次のメリットが得られます。

ファン化が見込める

株主優待の優待品は、多くの場合に自社商品やサービスに関わるものであることから、株主に自社の事業内容に触れて理解してもらう機会を持つことができます。また「優待」という施策の特性上、株主に良い印象を与えられることで、ファン化が見込めます。

長期保有の個人株主の獲得につながる

個人株主で、株主優待を目的として投資する場合には、中長期的に株式を保有する傾向があることから、より長期保有株主を獲得しやすいといえます。

また、長期保有の優待プログラムや小額投資のインセンティブ増などの追加施策を実施することにより、既存の個人株主の長期保有を促進することができます。

株価が安定しやすい

中には、売却益目的で株を保有する株主もいます。その点、株主優待を目的とした株主は、売却益目的の株主と比べると株主優待制度の廃止などを除けば、株を売却しにくいといえます。よって株主優待目的の株主が増えることで、自社の株価が安定しやすいというメリットが見込めます。

これらのメリットを考えると、株主優待は長期的に企業が成長し続けるためにも重要な施策といえます。

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株主優待を実施する際のポイント

企業が株主優待を実施する際には、次のポイントを押さえることで、効率的かつ効果の出る運用ができると考えられます。

目的の明確化

株主優待制度を設ける理由、つまり目的を明確にします。目的は複数あることもあります。目的が明確であればあるほど、具体的な計画や施策が立てやすくなります。

目的の例として、「長期保有株主を増やす」「自社サービスの利用促進とポイント経済圏の活性化」などが挙げられます。

株主優待プログラムの検討

目的に基づき、具体的にどのような優待およびインセンティブを設けるかのプログラムを検討します。このとき、市場調査やアンケート実施などを通じてニーズをつかみ、より株主がベネフィットを感じる優待プログラムを設定することが重要です。戦略に基づき、優待内容を工夫しましょう。

事務局運営方法の検討

株主優待は運用面の設計も欠かせません。株主優待運営事務局では、株主データの整理から優待品の調達、発送、配送管理、問い合わせ対応まで多岐に渡ります。

これらの事務局業務に多くのリソースがかかる場合には、外注することもできます。自社運営や他社運営などの運営形式については、費用対効果も考えて検討しましょう。

また、株主優待の事務局運営では、株主の個人情報などのデータを取り扱うことから、セキュリティ体制が重要です。自社では十分なセキュリティ体制を確保できない場合には、専門会社に委託するのもおすすめです。

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まとめ

昨今は、株主優待制度の中でも長期保有を促進させる施策を行う企業が目立っています。株主優待のメリットや特徴をよく理解した上で、実施を検討してみるのも良いのではないでしょうか。

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