SSBJ基準に基づいた開示は、もっとも早い企業では2027年3月期の有価証券報告書から義務化されます。まずは「平均時価総額3兆円以上のプライム上場企業」から適用が開始され、その翌年以降に徐々に対象が拡大していく見込みです。
HintClipではSSBJの背景や概要から、企業の対応のポイントまでを前編・後編に分けて解説します。
SSBJを知るにはISSBを理解することが前提となります。前編ではISSBについて、設立の過程と概要をお伝えします。
サステナビリティ情報開示の統一をめざして
ISSBとSSBJの成り立ち
SSBJ(Sustainability Standards Board of Japan)は、サステナビリティに関連する基準や情報開示の枠組みの開発を目的とした日本の組織です。
2021年、国際的なサステナビリティ開示基準の開発を進めるISSB(International Sustainability Standards Board、国際サステナビリティ基準審議会)の発足を受け、日本におけるサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)の開発に向けて、意見発信を行う必要性が市場関係者より示されたことを踏まえ、2022年7月、公益財団法人財務会計基準機構(FASF)内に設立されました。
SSBJを知るにはISSBを理解することが前提となります。前編ではISSBについて、設立の過程と概要をお伝えします。
ISSBは何故設立されたのか
ISSBが設立された背景には、判断材料となる非財務情報開示基準の乱立や、一貫性・比較可能性の欠如による混乱があります。法的報告基準のほかに、GRI基準やSASB基準、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)など数多くの基準やフレームワークが存在し、投資家や企業が適切な指標を判断しづらい状況でした。
ESGを含む非財務情報について投資判断での重要性が高まるなか、比較可能で信頼できる情報開示を実現するため、ISSBは国際基準の統一に向けた基準を策定し、投資家が企業の持続可能性を公平に評価できる基盤づくりを進めてきました。

ISSBの概要
ISSBの目的は投資家が企業のリスクや機会を適切に評価できるように、一貫性があり比較可能なサステナビリティ関連の開示基準(グローバルベースライン)を作成すること。2021年11月に設立され、2023年6月に確定基準(IFRS S1号・S2号)を公表しました。さらに2024年1月、2017年に気候関連財務リスク開示の標準的な枠組みとして提唱され、世界で広く採用されたTCFDの役割を引き継ぎ、これまで独自の非財務情報基準を持っていたCDSB(気候変動開示基準委員会)とVRF(価値報告財団)も統合されました。この統合により基準の一貫性と比較可能性が向上することが期待されています。さらにG7やG20、証券監督者国際機構(IOSCO)の支持を受け、義務化を含めて進めている日本をはじめ、世界各国の規制機関がISSB基準を導入する方向で検討を進めています。
ISSB基準の概要
ISSBの開示基準は全般的要求事項(IFRS S1号)、テーマ別要求事項(例:IFRS S2号)、産業別要求事項(例:IFRS S2号-付録B)により構成されています。テーマ別要求事項の第一弾として公表済みなのがS2号(気候関連)であり、気候関連に特化した要求事項が定められています。
「IFRS S1号」は全般的なサステナビリティ開示で、気候以外のサステナビリティ関連リスクや機会についても開示が求められます。サステナビリティ情報を財務報告との関連性を説明した上で、一般目的財務報告の一部としての開示が必要です。主な目的は、投資家にとって重要な情報を提供し、意思決定に役立つ内容を開示することです。
「IFRS S2号」は、気候関連リスクと機会の開示を求める基準です。戦略における気候レジリエンスを評価するために、気候変動が企業の事業や財務に与える影響を評価するための重要なプロセスとして、TCFDと同様に「シナリオ分析」の実施を求められます。
温室効果ガス排出量(Scope 1、Scope 2、Scope 3)の開示も義務付けられていますが、TCFDと比較すると、一部の表現が異なっていたり、より詳細な情報の開示が要求されていたりします。

後編では、ISSBを日本市場に合わせてカスタマイズしたSSBJ設立の背景と、概要、日本企業がとるべき対応を説明します。
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