店頭プロモーションは今、大きく変わりつつあります。従来のように「商品の良さをどう伝えるか」だけでは、売り場で十分に機能しにくくなっているのが現状です。では、これからの店頭プロモーションを考える上で、どんな視点が必要なのでしょうか。
本記事では、共同印刷 リテールプロモーション部長の領家隆志が、「リテール視点」「店頭体験」「デジタル」という3つのポイントから、店頭プロモーションの最新トレンドを解説します。企画に役立つチェックリストも、ダウンロード資料としてご用意しました。

ファシリテーター:HintClip編集長 杉山 毅

「リテール別に最適化」という新たな考え方

杉山:店頭プロモーションツールはメーカーが作成してリテール(小売事業者や店舗)に提供するのが一般的ですが、以前と比べると、依頼内容が変わってきているようですね。

領家:チャネル共通で全店に送付するような大ロットの案件相談は明らかに減っています。代わりに増えているのが、「このリテールに合わせた施策を提案してほしい」という依頼です。例えば化粧品であれば、「特定のドラッグストアチェーンに最適化したい」「バラエティショップ向けに設計したい」といったケースですね。
その背景にあるのが、リテールごとの違いです。店舗が違えば、売り場のコンセプトも客層もまったく異なります。同じ商品でも伝え方を変えなければ、狙いどおりに売ることは難しくなります。
また、せっかく作成しても、店頭に設置されないことも多く「どうしたら設置してもらえるか」という視点も重要になってきています。

最適化のポイント(1) リテール視点

杉山:では、これからの店頭プロモーションは、どのように考えていけば良いのでしょうか?

領家:私は、「リテール視点」「店頭体験」「デジタル」の3つのポイントで捉えることが重要だと考えています。

杉山:まずは「リテール視点」から教えてください。

領家:「リテールごとに最適化できているかを見る視点」です。売り場の業態や来店目的、設置条件、競合環境などの違いを踏まえ、その売り場で機能する販促に設計することを指します。
大きく分けると、2つの側面があります。1つは、「そのリテールの特徴」です。どんなターゲットに対して、どんな価値を提供する売り場なのか。比較して納得したい売り場もあれば、価格やお得感が重視される売り場、新しい発見が求められる売り場もあります。こうした違いによって、店頭プロモーションに求められる役割は大きく変わります。
もう1つは「営業活動への貢献」です。リテール側に求められる内容や条件になっていることで、商談が円滑に進み、リテール側の協力を得やすくなります。

杉山:最近よく見かける「リテールメディア」はどのように捉えるべきでしょうか?

領家:そうですね。例えば、アプリや店頭サイネージで商品訴求する場合、それに合わせてPOPも設置することで、より効果を高めることができます。
いずれにしても、「商品をどう伝えるか」だけではなく、「どの売り場で、どんな条件の中で機能させるのか」を前提に考えることが重要です。

※リテールメディア:小売企業の売り場やアプリ、顧客情報を活用して行う広告・販促の仕組み。

最適化のポイント(2) 店頭体験

杉山:2つ目の「店頭体験」について教えてください。

領家:基本は、「実際に触れて、商品の良さを理解してもらうこと」です。化粧品であれば、テスターで試していただくのが一番わかりやすい体験ですね。さらに美容部員がタッチアップをすることで、「自分に合うかどうか」をその場で確認できます。
また、「自分事化」を促す体験も重要です。例えば「肌診断」や「パーソナルカラー診断」などは、「自分に合うものはこれだ」と理解できるため、購買につながりやすくなります。
さらに、「見て理解する」体験もあります。例えば家電量販店で「冷凍室が広い」と言われても、なかなかピンと来ません。しかし、冷凍餃子のパッケージを高く積み上げて見せると、「こんなに入るのか!」とその場で腹落ちします。
こうした「腹落ちの瞬間」を、体験としてどう設計するかが重要です。

最適化のポイント(3) デジタル

杉山:3つ目の「デジタル」について教えてください。

領家:デジタルは、あくまで「手段」だと考えています。まず「何を体験させたいのか」があって、そのためにどの手段を使うかを考える、という順番です。
例えば、テスターだけでは商品の価値が伝わりにくい場合には、デジタルサイネージで使用シーンや効果を補足することで、理解を深めることができます。また、より詳しい情報を補足したい場合には、QRコードからスマートフォンに誘導する、といった方法も有効です。

杉山:確かに、スマートフォンを活用するケースは増えていますね。

領家:そうですね。さらに、キャンペーン・ページに誘導したり、アプリでクーポンを発行したりすることで、「この店でそれを買う理由」をつくることもできます。
重要なのは、「どんな体験を設計するのか」を先に決め、そのために必要なデジタルツールや仕組みを選ぶことです。この順番を間違えないことが、これからの店頭プロモーションでは重要だと思います。

「チェックリスト」で、3つのポイントを確認する

杉山:ここまでのお話を振り返ると、店頭プロモーションはどのように捉えるべきでしょうか。

領家:注意していただきたいのは、「リテール視点」「店頭体験」「デジタル」の3つのポイントは、それぞれ独立したものではないということです。「どの売り場で、どんな体験を、どの手段で実現するのか」という形で組み合わせて設計することで、初めて売り場で機能するプロモーションになります。

杉山:3つをつなげて考える必要がある、ということですね。

領家:本記事では、そのなかでも特に重要な3つのポイントをご紹介しましたが、内容を整理したチェックリストもご用意しています。チェックリストでは、さらに「クリエイティブ」と「検証設計」を加え、企画から実行・改善までを一貫して確認できる内容としています。

杉山:どのような場面で活用すると効果的でしょうか。

領家:店頭プロモーションの企画段階はもちろん、実施後の見直しや改善の場面でも活用していただけると思います。すべてのチェック項目を満たすというよりも、何に重点を置くかという視点で活用してみてください。

共同印刷株式会社

プロモーションメディア事業部 リテールプロモーション部 部長

領家 隆志

2006年共同印刷入社。商業印刷部門の営業担当として、家電、化粧品、自動車、玩具などのメーカーやテーマパーク、自治体などさまざまなクライアントを担当し、集客プロモーションやコミュニケーション促進施策の企画推進に従事。2018年より全国スーパーマーケット協会による未来のスーパーマーケットを考えるプロジェクト『Future Store ”NOW”』の運営に参画し、そのテーマの一つとしてデジタルゴンドラの開発を行う。プロモーション施策などの提案を行う企画部門を経て、2026年4月より現職。

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