ビジネスだけでなく、教育やアート、トラベルなどの分野でも話題になることの多いChatGPT。
貴社のマーケティングやクリエイティブに、生成AIの力を取り入れてみませんか。生成AIがあなたのマーケティングやクリエイティブのプロセスを、今までにない領域へ導いてくれるかもしれません。今回のHintClipは、手軽に活用できるこのチャット検索ツールを活用して、マーケティング、広告、販売促進の業務を効率化、品質向上させるアイデアとリスクについてご紹介します。ぜひ、生成AI活用への第一歩を踏み出しましょう。
■「自然さ」で世界を驚かせたChatGPT
ChatGPTはアメリカのIT企業であるOpenAIが開発した、さまざまなコンテンツを生成できる「生成AI」の一種。人間を相手にするように会話するチャットボット型サービスで、誰でも無料で使用できます。
2022年11月に公開されると、生成した文章の精度の高さや自然さが話題になり、2023年3月には性能がさらに向上した「GPT-4」がリリースされ、有料課金サービスも登場しました。
ChatGPTを試してみたことがないという方のために、ChatGPT自身に「ChatGPTとは何か」を説明させてみました(読みやすくなるように一部を編集)。なおChatGPTで生成された文章の著作権は、利用規約に「すべてユーザーに譲渡する」と明記されています。
HintClip編集部:ChatGPTとは何か、そしてどんなことができるのかを、IT技術者ではないビジネスパーソンがわかるように説明してください。
ChatGPT:もちろんです! ChatGPTはOpenAIが開発した大規模な言語モデルです。言語モデルとは、自然言語の理解や生成を行うためのプログラムやシステムのことを指します。ChatGPTは、多くの文章データを学習しており、それによって人間のように文章を生成したり、質問に答えたりすることができます。ChatGPTは、ビジネスパーソンにとってさまざまな用途で役立ちます。例えば、以下のようなことができます:
- ●質問応答: ChatGPTは、特定の質問に答えることができます。例えば、製品やサービスに関する疑問や、特定のトピックに関する情報を提供することができます。
- ●アイデアの生成: ChatGPTは、クリエイティブなアイデアの提案や問題解決の手助けとなることがあります。新しいプロジェクトのアイデアを出したり、マーケティングキャンペーンの戦略を考えたりるのに役立つかもしれません。
- ●文章の添削や生成: ChatGPTは文章の添削や生成にも利用できます。例えば、メールやブログ記事の文章をチェックしてくれたり、指定されたテーマに関する文章を生成してくれたりします。
- ●他言語への翻訳: ChatGPTは、多言語翻訳にも利用できます。異なる言語間のコミュニケーションの障壁を取り除いたり、海外での取引や交流をスムーズに進めたりするのに役立ちます。
■アウトプットの価値を左右する「プロンプト」
ChatGPTは誰でも直感的に使用できるのが大きな魅力の一つ。入力欄に質問などの命令文を普通の文章で入力すれば、ChatGPTはすぐ回答文を生成します。この命令文は「プロンプト」と呼ばれています。上記の例では「ChatGPTとは何か、そしてどんなことができるのかを、IT技術者ではないビジネスパーソンがわかるように説明してください。」がプロンプトです。
このプロンプトをどのように入力するか。これによって、ChatGPTがアウトプットする文章の価値は大きく変わります。ChatGPTを最大限に活用するためには、「プロンプト」を書く際のコツを把握しておくとよいでしょう。
〈プロンプトのコツ〉
- ①具体的に指示する…プロンプトが曖昧だったり複数に解釈できる内容だったりすると、生成される回答が的外れになることがあります。何をしてほしいのかをできるだけ具体的にし、不要な言葉は入れないようにしましょう。
- ②5W的に条件を設定する…「どの立場で(Who)」「誰に対して(Whom)」「何について(What)」「どの分野において(Where)」「○年後(When)」「どのように(How)」などの情報を具体的に入力すると、回答の精度はさらに高まります。上の例文では「IT技術者ではないビジネスパーソンがわかるように」と加えることで、ChatGPTが専門的な用語を多用しないようにしました。また、「このWebサイトの情報に基づいて(+URL)」「以下に入力するこの情報を参考に」「○○に関連する情報は省いて」といった条件も設定できます。
- ③アウトプットのフォーマットを設定する…例えば「特徴を三点、箇条書きで挙げてください」「400文字以内で要約してください」など、アウトプットの形式に条件を加えることもできます。
- ④必要に応じて追加命令する…生成された回答がわかりにくかった場合などは、追加命令をすることもできます。
■マーケティングでの活用例
ビジネスシーンにおけるChatGPTの活用が急速に広がっています。一部の官公庁では補助金申請マニュアルやガイドラインの作成に使用しており、民間企業でもチャットボットなどに使われ始めています。ここでは広告・販促・マーケティング分野での活用方法をいくつかご紹介しましょう。
〈リサーチ系〉
- ●市場動向の把握
「○○市場における主なニーズを教えてください」「○○業界でよく購入されている価格帯を教えてください」といった質問をすることで、市場動向や顧客ニーズなどを把握できます。ただし、ChatGPTの学習データは最新ではない点に注意しましょう(後述「活用上の注意点」④参照)。 - ●ユーザーインタビューの準備
ユーザーインタビューでどんな質問をすべきかを、ChatGPTに考えさせることができます。インタビュー対象者の年齢層やライフスタイル、インタビューの目的などを、できるだけ具体的かつ明確に条件として提示するのがポイントです。 - ●広告の効果予測
広告のターゲットや目的、評価の定義などを設定したフレームに、広告コピーを入力します。ChatGPT は顧客の反応を模倣するので、潜在的なクリックや購入の予測を回答してくれます。また、異なるバージョンの広告コピーを用意し、それぞれのシナリオでシミュレーションを実行してくれるので、どのバージョンがより効果的かを比較できます。 - ●ターゲット分析
ターゲットプロファイリングなどの分析を支援してくれます。目的を設定して、人口統計データや行動データなどを入力すると、ターゲットのインサイトを導き出すヒントを提示してくれます。
〈プランニング系〉
- ●プロモーションの企画立案
商品情報、ターゲット/ペルソナ、目的などを条件として、ChatGPTに販促のアイデアを考えてもらうことができます。ただし一般的な条件を出しただけでは画期的なアイデアは出てこない可能性があります(後述「活用上の注意点」③参照)。「ターゲットがワクワクする案を出してください」など、独自性の高い条件を加えるようにするとよいでしょう。 - ●クローズドキャンペーンの企画立案
プロモーションの場合と同様に、クローズドキャンペーンの企画づくりにもChatGPTが役立ちます。ターゲット/ペルソナ、商品特徴、訴求ポイントなどを入力し、キャンペーンの概要、ハイライト(目玉企画)、賞品案などを提案させましょう。 - ●ブレインストーミング
ChatGPTとブレストすることもできます。「○○○についてのアイデアを出してください」「そのアイデアはおもしろいですね。もう少し具体的に説明してください」といった会話を繰り返すことで、アイデアを広げたり掘り下げたりすることができます。
〈コンテンツ系〉
- ●オウンドメディアの編集企画
オウンドメディアの記事の全体の構成づくりや文章作成を、効率的に行うことができます。「○○業界に関連するキーワードで、検索されているものは何ですか」「○○○に関する記事のテーマと構成案を考えてください」などと指示することで、コンテンツマーケティングに役立つ情報を提供してくれます。ただし、現時点での精度・品質は不十分なので、これらはあくまで参考資料として活用するにとどめておきましょう(後述「活用上の注意点」①③参照)。 - ●メールマガジン/メールDM企画
オウンドメディアの記事と同様に、メールマーケティングにおける文面を書かせることも可能です。盛り込みたい内容や対象、訴求ポイントなどの情報を入力すれば、構成と文面が作成されるので素案として活用できます。 - ●SNSへの投稿コンテンツ企画
「Twitterで10代の男女における当社のブランド○○○の認知度を高めるための、効果的なツイートのアイデアを提案してください」「Instagramで当社の商品○○○を使用する30代女性ユーザーの写真を投稿する際に、拡散数を増やせるハッシュタグをリストアップしてください」など、SNSへの投稿コンテンツの企画アイデアにもChatGPTは役立ちます。作成する際は、どのSNSを利用するかを明確にしましょう。 - ●動画コンテンツ企画
「商品○○○のYouTube用動画広告(30秒)のテーマとストーリー案を提案してください」など、動画広告やTVCMのアイデアを作成することもできます。広告の目的、商品特徴、ターゲット、めざしたい世界観などの情報は、できるだけ詳細に入力しましょう。 - ●文章校正
あなたが作成した文章を校正させることも可能です。作成した文章を入力した上で、「上記の文章に対して以下の作業を行ってください」とプロンプトを書き、さらに「誤字脱字を修正する/表記のバラツキを指定する」などの、具体的な校正内容を箇条書きで入力します。
■活用上の注意点
ChatGPTを広告、広報、セールスプロモーションなどの企画で活用する際には、以下の点に留意することが重要です。
- ① 情報が正確とは限らない
ChatGPTは大量のデータを学習することで文章を生成しますが、その中には誤った情報や矛盾した情報が含まれる可能性があります。また、ハルネーション(AIが実在しない情報を生成する問題)を起こす場合もあります。
生成した文章をそのまま使用するのは危険なので止めましょう。必ずファクトチェック(確認や検証)を行うことが重要です。 - ② 個人情報や機密情報が流出する可能性がある
ChatGPTを利用する際には、自社の機密情報や個人情報を与えない(入力しない)ようにしましょう。ChatGPTは入力された情報も学習データとして利用することがあり、第三者への回答データとしてこれらがアウトプットされてしまう可能性があります。 - ③無難な回答を行う傾向がある
ChatGPTは質問に対し、無難な回答を行う傾向があります。これはChatGPTが文章を出力する際に確率論的な文章生成を行っているため。独自性の高いアイデアは得られにくいことに注意しましょう。ただしプロンプトの書き方を工夫することで、ある程度カバーできる可能性があります。 - ④学習データが最新ではない
ChatGPTが持つ情報は2021年9月までという制約があります。これは、ChatGPTが学習したデータが基本的にはこの時点までの情報しか含んでいないため。従って、最新のニュースや出来事、技術、法改正などに関する質問にはほとんど答えることができません。
※拡張機能を使うことで最新の回答が得られる場合があります。 - ⑤ブランディングには活用しにくい(一貫性を保ちにくい)
ChatGPTは大量のデータから学習しているため、生成された内容があなたの会社や商品のブランドのイメージやガイドラインと合致しない場合があります。 - ⑥ガイドラインを用意する
生成AIはマーケティングやクリエイティブの支援をしてくれる便利なパートナーです。しかしリスクを避けながら、より有効に活用するには、社内でガイドラインを制定することをお勧めします。
■まとめ:最も大切なのは「人」の力
何かと話題になることが多いChatGPTですが、「人間より優れている」と評価する人は少なくないようです。そこで最後に、ChatGPTにこんな質問をしてみました(一部を省略・編集)。
HintClip編集部:ChatGPTは人間の知性や判断力より優れているのですか?
ChatGPT:ChatGPTは非常に優れた言語モデルですが、人間の知性や判断力を上回るとは言えません。以下にその理由を説明します。
- ●論理的思考と直感の制約: ChatGPTは論理的思考や直感の一部を模倣できますが、人間のように幅広い視点や経験を持つわけではありません。そのため、複雑な問題の解決や独自の発想には限界があります。
- ●文脈理解の制約: ChatGPTは前の文脈を理解し、応答することができますが、完全な理解や深い洞察は人間には及びません。特に抽象的な概念や感情のニュアンスを正確に捉えることは困難です。
- ●倫理と道徳の判断: ChatGPTはトレーニングデータに基づいて回答を生成しますが、倫理や道徳についての判断は人間の責任です。ChatGPTは倫理的な判断を行う能力を持っていません。
ChatGPTは画期的かつ強力なAIツールです。しかし現段階では、人間の知性や判断力を完全に上回るわけではないとChatGPT自身が認めているようです。人間の独自の特性や経験には、代えられない価値があります。
人の力とChatGPTの力、リスクを理解したうえで双方をうまく組み合わせていくことが重要です。
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