ユーザー同士の活発な交流が繰り広げられているSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)では、企業のマーケティング活用も進んでおり、さまざまなアプローチが生まれています。
今回は、マーケティング担当者が押さえておきたいSNSプロモーションのトレンドや事例をご紹介します。
■ソーシャルメディアマーケティングの国内市場
ソーシャルメディアとは、オンライン上でユーザー同士が双方向に情報通信できるメディアを指します。SNSはソーシャルメディアの一つで、会員登録したユーザー同士が交流するオンライン上の会員制サービスです。例えば、TwitterやInstagram、TikTokなどが挙げられます。
サイバー・バズとデジタルインファクトが行った国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査の結果によれば、ソーシャルメディアを活用したマーケティングの市場規模は、2020年の5,971億円と2021年の7,578億円に続いて2022年は順調に拡大し、9,317億円となりました。
資料出典:サイバー・バズ/デジタルインファクト「2022年国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」
2023年はさらに拡大し、前年比117%の1兆899億円となる見通しが立てられています。
またカテゴリ別内訳では、「ソーシャルメディア広告」が2023年に9,724億円となり、全体の89.2%を占めています。ソーシャルメディアマーケティングは、主に広告利用が一般的となっていることがわかります。
資料出典:サイバー・バズ/デジタルインファクト「2022年国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」
■SNSプロモーションのトレンド
ソーシャルメディアマーケティングといえば、SNSを活用した手法です。そのSNSプロモーションのうち、現在注目を集めている施策やこれから注目されると思われる施策をご紹介します。
1.Twitterにおけるアンケートキャンペーン
Twitterで実施されているキャンペーンのうち、アンケートキャンペーンは、企業が自らの公式アカウントから、アンケートフォームを添付したツイート(投稿)を行うものです。
アンケートフォームにアクセスしたユーザーは、アンケートに回答することで、抽選でプレゼントをもらえる仕組みです。
このとき、「アンケートへの回答」と共に、企業の公式アカウントのフォローとRT(リツイート)を応募条件にすることで、フォロワー数増加とツイート拡散が可能になります。同時にユーザー調査も行えるので、メリットが多いキャンペーンといえます。
2.TikTokの動画投稿チャレンジキャンペーン
単尺動画投稿型SNS、TikTokでよく行われている手法の一つが、動画投稿チャレンジキャンペーンです。
これは、企業が公式アカウントから、ユーザーに対してキャンペーンへの参加を呼びかける投稿を行うところから始まります。このときユーザーが指定のハッシュタグをつけて指定の動画を投稿することで、キャンペーンに応募できることを伝えます。
ユーザーは指定された条件のもとで、動画を撮影します。そして指定されたハッシュタグを添えて動画を投稿すれば応募完了です。後日、抽選でプレゼントが当たる仕組みです。
ユーザー投稿によるコンテンツが拡散するだけでなく、ユーザーに自ら参加を促すことでエンゲージメントの向上にもつながります。
同様のユーザー参加型のキャンペーンはTwitterや Instagramでも実施されています。
3.インフルエンサー活用による体験コンテンツ投稿
SNSでは、影響力のあるインフルエンサーが多く活動しています。そのインフルエンサーを活用して自社商品を実際に体験してもらったうえで自身のSNSアカウントに投稿してもらう広告手法はよく行われています。
しかしながら、近年は広告主が、広告であることを隠したまま宣伝するステルスマーケティングが問題視されており、インフルエンサー活用によるSNS広告については十分な注意が必要です。消費者庁は2023年3月28日付けで景品表示法の禁止行為に指定しました。2023年10月からの法施行へ向けて準備が進められています。
インフルエンサー活用のSNS投稿プロモーションを実施する際には、「広告」であることの明記や、適切な広告表現を用いることが必要ですので、十分に注意してください。
4.店頭サイネージ × SNS
自社のSNS投稿やSNS広告、キャンペーンによるユーザー投稿などを、店頭のデジタルサイネージに表示する方法です。
特に動画投稿は短い時間で視聴者を引き付け、商品の良さを訴求する効果が期待できるため、店頭のデジタルサイネージのコンテンツとして最適です。
デジタルサイネージの中でも、お薦めは共同印刷の「デジタルゴンドラ」。タテ型ディスプレイとヨコ型のディスプレイが選べる、クラウド配信が可能なサイネージ一体型什器です。
タテ型ディスプレイを選べば、InstagramやTikTokなどのSNSで定着している「タテ型動画」と相性が良く、反響のあるコンテンツをすぐに店舗で配信できるというわけです。
SNSで広告として配信した自社の制作動画と同じコンテンツを店頭でも流すことで、SNSで同じ動画を見て惹きつけられたユーザーに対しても訴求ができます。これにより、商品購入に結び付く可能性が高まります。
■注目のSNSプロモーションの事例3選
参考として、近年、行われたSNSプロモーション事例を3つご紹介します。
1.【シーブリーズ】TikTokの動画投稿チャレンジキャンペーン
TikTokの動画投稿チャレンジキャンペーンの事例です。
株式会社ファイントゥデイが手がけるボディケアブランド「シーブリーズ」が、TikTok上で「#シーブリーズど青春ダッシュ」というキャンペーンを実施しました。
ユーザーは指定のエフェクトを使用して動画を撮影し、ハッシュタグ「#シーブリーズど青春ダッシュ」をつけて動画を投稿すれば応募完了となります。
若者層が共感しながら楽しめる動画投稿チャレンジの実施によって、ターゲット層へ効果的にブランドを訴求しました。
2.【ユニクロ】Twitterリツイートキャンペーン
Twitterにおけるユーザー参加型キャンペーンの事例です。
新生活シーズンを前に、株式会社ファーストリテーリングが手がけるアパレルブランドのユニクロが「#新生活あるある選手権 -ユニクロ調べ- キャンペーン」を実施しました。
「新しい職場で緊張でガチガチ」「オフィスカジュアルが分からない」など、新生活シーズンにユーザーが悩みがちな「あるある」を示しながら、おすすめ商品を紹介するチラシのようなクリエイティブを公開しました。
そして投稿にリツイートすることにより、抽選でユニクロギフトカード1万円分というインセンティブを提供するキャンペーンを実施しました。
リツイートで投稿が拡散することで販促につながると同時に、公式アカウントの認知向上にもつながりました。またリツイートは「あるある」に共感するものも多く見られ、ユーザーとのコミュニケーションも実現しました。
3.【一般社団法人未知倶楽部】道の駅におけるSNS投稿連動デジタルサイネージ
SNS投稿をデジタルサイネージに連動させた事例です。
一般社団法人未知倶楽部は、株式会社オリエンタルコンサルタンツと共同で、SNS連動デジタルサイネージ配信システムを、栃木県内の道の駅に導入し、「道の駅TV」として情報発信しています。
道の駅のファン数を最大化し、地域活性化を支援することを目的とした施策です。
道の駅に設置したディスプレイに、Instagramの団体公式アカウントの投稿内容を表示。来訪者に公式アカウントの存在を周知させると同時にフォローを促しています。
■まとめ
ソーシャルメディアマーケティング市場の拡大は今後もさらに継続していく見込みがあります。その中でも、SNSプロモーションは今後もさらに有益な手法が生み出されて行くことでしょう。店頭サイネージとの連動など、あらゆるチャネルを組み合わせた活用がなされていくのではないでしょうか。
共同印刷は、店頭販促の長年の実績で培われたノウハウを生かして、売り場と連動したさまざまなデジタルプロモーションをご提案いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
またSNSプロモーションをはじめとしたWebマーケティング活動を行っていくにあたり、十分、注意が必要なのがCookie規制への対応です。2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」を受け、すでに対応済みの方も多いと思われますが、2023年6月に改正電気通信事業法が施行されることから、Cookie規制の対象範囲が増えます。対象となる場合には、しかるべき対応を行いましょう。
【調査出典】
サイバー・バズ/デジタルインファクト「2022年国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」
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