ファンケルらしいコミュニケーション(前編) お客様と多面的につながり、ブランドロイヤリティを高める

中期経営計画に基づき、ITを活用して通販・直営店舗チャネルが持つ強みを融合し、「ファンケルらしいOMO」を創造することで「お客様体験価値の最大化」を推進されているファンケル様。
共同印刷は、フィジカルとデジタルの媒体制作でファンケル様の施策をサポートしています。
今回は改めて、株式会社ファンケル通販営業本部コミュニケーション部の松本尚子様に、
当社の制作担当ディレクターである石井純子と菊地祐樹が、ファンケル様のOMO戦略や具体的施策、媒体制作の取り組みなどについてお聞きしました。
2回に分けてお届けします。

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■中期経営計画の一環としてOMOに注力

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菊地:ファンケル様は2021年に発表された中期経営計画で、「ファンケルらしいOMOの推進」を、7つのチャレンジの一つに掲げていますね。
松本:当社が通信販売と店舗販売の両方を展開しているのは、大きな強みの一つです。これらを融合することで、お客様の体験価値を高める取り組みを進めています。具体的には、これまでの店舗でのカウンセリングや直接商品を目で見て触れること以外にも、ライブコマースやオンラインイベント・セミナー、オンラインカウンセリングなどを展開しています。
石井:カウンセリングは「店舗で」が常識でしたが、これを貴社ではスマホ用アプリで実現されましたね。
松本:これまで別々だった、通販用の「お買い物アプリ」と店舗用の「メンバーズアプリ」を統合しました。両チャネルのコミュニケーションのハブとして活用しています。同アプリからは、前述のカウンセリング、AIパーソナル角層解析などが体験できます。チャネル相互利用によって購入機会を拡げる施策です。

菊地:お客様データベースをさらに活用していこうという動きがある、と聞いています。
松本:通販と店舗の購買情報だけでなく、行動履歴や興味、肌悩みなどお客様を深く分析して、独自の推計モデルを構築し、個々に最適なアプローチを行っています。
「お客様データベース」の分析からも、両チャネル併用のお客様は継続購入率、LTVが高いことが検証されていて、さまざまな相互送客の取り組みを強化しています。
石井:2022年9月からは、日本で初めての「AIパーソナル角層解析」によるカウンセリングサービスを開始されましたね。
松本:独自開発したAIにより現在の肌悩みと将来のエイジングリスクを導き出します。この魅力的な新サービスを店舗のみならずアプリを使って通販のお客様にも体験いただくことで「お客様体験価値」の向上を図っています。

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■オフラインのコミュニケーションを支える2媒体

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菊地:ここからは、化粧品通販に絞り込んでお話をしたいと思います。貴社の化粧品通販における主要媒体を整理させてください。
松本:オフラインでは、情報誌があります。40代・50代中心の『エスポワール』と、アラサー向けの『FANCL cos:me!(コスミー)』の2種類です。どちらも石井さんにご担当いただいています。
石井:『エスポワール』は長年にわたり発行されていますね。
松本:はい。ミドル・ヘビーユーザーにお届けしており、ファンケル創業時からのご愛読者も多くいらっしゃいます。毎月ご自宅に届くことを楽しみにされているので、お客様とファンケルの絆を深めることや、お買い物の楽しさを提供することを重視しています。
当社40周年の際、お客様から「ファンケルとの絆エピソード」を募集するキャンペーンを行ったのですが、長年のご愛用者様から「嬉しいときも悲しいときもファンケルがそばにいてくれた」「『エスポワール』は私にとって美容部員さんのような存在」といった、感動的な声をたくさんいただきました。
石井:お客様に寄り添った、丁寧なコミュニケーションの蓄積がもたらした声ですね。ファンケル様らしいエピソードだと思います。
菊地:『FANCL cos:me!』は、どんな編集方針にしているのですか。
松本:『エスポワール』とは反対にライトなお客様が非常に多く、ファンケルとのつながりも深くないため、「マイブランド化」をテーマにしています。押しつけがましい情報提供にならないよう適度な距離感を保ちつつ、「これは私向けのブランドだ」と感じていただけることを大切にしています。
石井:制作側としても、常に違いを意識しています。特に『FANCL cos:me!』は、雑誌感覚でお読みいただけるようにしつつ、トレンド情報や美容情報を全面に出し、そこに「ファンケルでしたら…」と商品情報を添えていくような作り方をしています。

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■オンラインの「ハブ」となる新メディア『FANCL CLIP』

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石井:オンラインの媒体はいかがでしょうか。
松本:自社ECの『FANCL ONLINE』、スマートフォン用の『FANCLメンバーズアプリ』、LINE公式アカウント、メルマガなどがあります。そして共同印刷様にご協力いただいているのが、オウンドメディアの『FANCL CLIP』です。2021年1月に立ち上げ、2022年から共同印刷様にご担当いただいていますね。

『FANCL CLIP』
https://www.fancl.co.jp/clip/index.html

菊地:はい。本日は改めて『FANCL CLIP』の目的を聞かせてください。
松本:自社ECサイトを、購入だけでなくコミュニケーションの場に進化させるためにつくりました。お客様の「スピーディに情報が欲しい」というニーズに対応し、また商品以外の「お楽しみ情報」も発信することで、お客様の生活の一部になる、そんなメディアをめざしています。
石井:ついアクセスしたくなるサイトです。
菊地:立ち上げ当初は顧客接点の拡大が目的だったと思いますが、最近は各媒体を横につなげていくハブとしての役割が、より重要になってきていると感じています。
松本:そうですね。蓄積されているさまざまな記事を、お客様がファンケルを知るきっかけになるよう活用しています。
広告に出稿したり、『メンバーズアプリ』のコンテンツに利用したり、ですね。アプリから『FANCL CLIP』への流入は非常に増えています。
共同印刷様が、制作面で特に意識していることはありますか?
菊地:購入の後押しのためのコンテンツではあるのですが、同時に、お客様のロイヤリティやライフタイムバリューを高めるためのコンテンツを拡充したいと思っています。それが横展開され、お客様とのさまざまな接点を生み出していく。そんなことを意識しています。
松本:『FANCL CLIP』ならではのコンテンツの広さを、お客様とのつながりの深さにつなげていきたいですね。

■「FANCL CLIP」が多面的なつながりの中心に

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『FANCL CLIP』
https://www.fancl.co.jp/clip/index.html

石井:オンラインとオフライン、両方の媒体を展開していると、どう連携していくかが重要になると感じています。
松本:そうですね。情報誌、メルマガ、LINE公式アカウント、そしてアプリがコミュニケーションの柱となる媒体ですが、これらを重複して使用するお客様は、そうでないお客様よりも購入率や購入単価が高いことがわかってきました。関係性のベースになる部分を情報誌が形成して、アプリがそれを引き上げている、という感じです。
この主要4媒体の「多面的なつながり」をどうつくっていくかが、今後の鍵になると考えています。
菊地:「多面的なつながり」は、全社的に言われているお考えなのですか?
松本:はい、最近社内でよく使われるキーワードです。媒体によって特性が違う、そこを理解した上で、バランスのよいコミュニケーションを実現する方法を、今模索しているところですね。そして『FANCL CLIP』が「多面的なつながり」の中心になっていると思います。
石井:「多面的なつながり」の重要性に気づいたきっかけは何ですか?
松本:メルマガ経由での売り上げが少しずつ減少していたのですが、アプリやLINE公式アカウントなど、ほかの媒体がその分をカバーしているのではないかと気づいた時ですね。実はメルマガのようなプッシュ型の媒体よりも、アプリの方が日常的な接点は多く、お客様が能動的に利用します。それなら「メルマガの開封率にばかりこだわるのは、本質的ではないのでは?」と考えました。
菊地:1媒体だけにフォーカスするのではなく、「多面的」な視点で捉えるように考え方を変えたということですね。
松本:そうですね。さまざまなコミュニケーション媒体を展開する場合は、各媒体の特性を理解した上で連携させ、どの接点が購買に寄与しているのかを、多面的に把握すべきです。今まさに、このテーマに取り組んでいます。

■まとめ

ファンケル様では、「多面的なつながり」を実現するために、各媒体の役割やコンテンツ同士のつながり方を重視し、媒体個別の効果よりも全体としての相乗効果を重視しているようです。
もともと、通信販売や店舗販売などの複数のチャネルを展開してきたファンケル様には、多面的なつながりを通じてお客様に寄り添う姿勢が、企業文化として根付いている印象があります。
これらが、OMOを成功させる土台になっているのかもしれません。

(後編につづく)

株式会社ファンネル

株式会社ファンケル
通販営業本部コミュニケーション部 部長
松本 尚子様
2001年入社。以来、ロイヤルカスタマー向けのサービス構築、販促企画、CRM、広告など通信販売に関わる業務を幅広く経験。現在は、化粧品・健康食品の会報誌の制作、ファンケルオンラインおよび「FANCL CLIP」の運営、メルマガ、各種SNSなど、多種多様な媒体の責任者として、未来を見据えたファンケルらしいコミュニケーションのありかたを模索中。

共同印刷株式会社

共同印刷株式会社
コミュニケーションデザインセンター コンテンツプロデュース部
チーフディレクター 石井 純子
広告制作会社にて、デザイン・アートディレクションの経験を積んだ後、2018年共同印刷株式会社入社。現在は情報誌をはじめとした化粧品通販媒体をメインに制作物全体を統括的にディレクション。エンドユーザーに寄り添った、幅広い視野でのクリエイティブ提案を行っている。ファンケル様では、化粧品情報誌「エスポワール」「コスミー」ほか、通信販売・店頭ツール関連の制作を担当。

共同印刷株式会社

共同印刷株式会社
コミュニケーションデザインセンター SPメディア部
ディレクター 菊地 佑樹
2009年共同印刷株式会社入社。多様な業種のWeb・スマートフォンアプリなどの設計・運用・制作ディレクションの実績を持つ。ユーザー視点に立ったユーザビリティ向上の表現方法提案やコンテンツ制作、さらにはテクニカル・サポート、運用管理までをこなす守備範囲の広さが強み。FANCL CLIPではWebサイト設計・構築計画を担当。

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