データエンハンスメントのススメシリーズ、今回は新たなマーケティング分析軸「位置情報」データを利用したエンハンスメント事例をご紹介します。

データエンハンスメントとは

データエンハンスメントは、あるデータにオープンデータや自社保有の別データ、あるいは他社のデータを繋ぎ情報を付加することで、データの価値を高めることです。エンハンスメントすることにより、顧客インサイトを解き明かし、施策のための新たな切り口の発見の可能性を広げます。


HintClipノウハウ一挙公開企画 「データエンハンスメントのススメ」(全4回)
[Part1|概要編] マーケティングのために自社のデータを「強く」する
[Part2|クレジット業界編] 「クレジットカード明細」を強くする!
[Part3|小売業界編] 「購買データ」を強くする!
[Part4|実店舗編] 「位置情報」を強くする!


■位置情報データとは

位置情報データと一言でいってもいくつか種類があり、大きく2つに分類することができます。
1つ目がGPSや基地局から取得される「人流データ」と呼ばれるものです。地図機能を持ったスマホアプリなどで現在地の位置情報を取得しますが、この位置情報の集まりを「人流データ」と呼びます。人流データは、人がいつどこに何人いたかを把握できるデータであり、データの基本構成は”ID”、”場所を示す緯度・経度”と”取得した日時”となっています。ニュースで「今週の日曜日の人出は先週に比べ、10%増加しました」といったフレーズを耳にすることがありますが、これは人流データから算出しています。
2つ目の位置情報は店舗や住宅の住所、道路といった地理的な位置を示す「ポイントデータ」です。店舗や住宅の住所は代表点の緯度・経度で示され、道路のデータは連続した緯度・経度によって示されます。
こうした位置情報は近年、防災やまちづくり、観光などのさまざまな分野における活用が期待され始めています。
スマートフォンが普及し、多くのGPSを利用するアプリケーションがリリースされ、人流データが取得される機会が増加しました。こうしたことを背景として、位置情報をマーケティングに活用する事例が増えてきています。

■位置情報のマーケティング分析をするには

「では、位置情報を使って分析してみよう」と簡単にはいかないのが位置情報データの難しいところです。
前述したように人流データは”ID(スマホアプリから取得した場合は端末番号)”、”取得した日時”、”場所を示す緯度・経度”で基本的に構成されています。このままのデータでは数字の羅列でしかなく、活用するにはデータとして不十分です。
またポイントデータについても、住所情報から得られる緯度・経度は、住所の代表点でしかないため、該当の建物の範囲を代表点からの円でおおよその範囲を判断するしかできない。という問題もあります。
このような課題を解決し、位置情報を使ったマーケティング分析を実現する方法として、「人流データエンハンスメント」、「経路探索サービス」をご紹介します。

■人流データエンハンスメント

そのままでは活用が難しい人流データに対してロケーション情報を付与し、顧客ごとにどのような場所への滞在履歴があったかを分析します。
人流データの緯度・経度に対してそこが住宅なのか駅なのか、それとも店舗なのか、店舗であればそこは居酒屋なのか衣料品店なのかといったロケーション情報の付与を行います。ロケーション情報を付与するサービスはありますが、共同印刷は独自ロジックでロケーション情報を付与しており、精度の高さが強みです。

類似サービスの多くは代表点の中心から半径●m圏内に人流データが存在するとそのロケーション情報を付与する仕組みとなっていますが、実際より大きい範囲で付与するため隣のロケーションを内包してしまう誤判定が多く発生します。それに比べて、当サービスでは独自ロジックで正確なロケーション情報を付与しており、顧客の動きを正確に把握することができます。

正確な訪問判定

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また、当サービスでは滞在判定を行っています。GPSデータには誤差があるため、実態は店舗の前の道路にいるのに店舗内の緯度・経度を取得してしまうことがあります。こうした誤差を考慮し、複数の人流データから滞在判定を行っています。これにより誤って店舗の緯度・経度が取得された場合でも、前の道路にいることが判定できます。

滞在を考慮

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では、付与されたロケーション情報や滞在の判定はどのように活用できるでしょうか。
正確なロケーション情報の付与を行い、顧客ごとにどのような場所での滞在履歴があったか複数分析することで、顧客像を解き明かすことが可能になります。
例えば、保育園や子供服店など子育てに関する施設での滞在履歴が複数あった場合、子育て中である可能性が高いと考えられます。子育て関連の広告配信や施策を実施する場合、こうした顧客にターゲットを絞って実施することでピンポイントの訴求ができ、ばらまきによる企業イメージの低下防止が見込めます。子育て顧客判定以外でも、自動車保有、学生、サービス業従事者などの判定が可能です。また、居住エリアを判定し、エリアごとの特性付与を行うといった詳細な顧客像の判定が可能です。

■経路探索サービス

人流エンハンスメント以外にもポイントデータの分析サービスとして「経路探索サービス」があります。
住所情報を緯度・経度に変換、2点間の経路距離を算出します。2点間の経路距離を算出するサービスはほかにも見受けられますが、共同印刷は精度の高さを強みとしています。

ほかのサービスでは住所情報を緯度・経度に変換する際、街区(街路に囲まれた1区画)まで住所情報を切り落としてから変換を行うことがあります。街区まで切り落として変換すると実際の場所ではなく、その街区の代表点の緯度・経度に変換され、その街区の住所はすべて同じ緯度・経度に変換されてしまいます。当サービスでは正確な住所情報の捕捉が可能です。

また、実際のルートをたどって経路距離の算出を行います。他サービスでは直線距離で算出するものがありますが、直線距離で測ってしまうと川や線路など直接横断できないものを挟んでいる場合、実際の距離と算出値に大きな誤差が発生してしまいます

正確な経路距離を算出することで、例えば、既存会員が現在利用している店舗より近い新規店舗がオープンするときの訴求施策や、健康保険施策として最寄り病院での健康診断の受診勧奨を行うことが可能になります。
また、楽器店での購入者に対して、購入した楽器の最寄り音楽教室を訴求する際の施策などにも利用が可能です。

■新たなマーケティング分析の取り組みをサポートします。

今回は位置情報を使ったデータエンハンスメントの事例として「人流データエンハンスメント」と「経路探索サービス」をご紹介しました。
ダウンロード資料には、類似サービスとの精度比較の結果を載せておりますのでぜひご参照ください。
前段でも述べたように、位置情報データは今後ますますの活用機会の拡大が予想されます。スマホアプリで位置情報を取得しているが分析には活用できていない、分析はしているがデータが不十分で顧客像の把握までできていないといった悩みをお持ちでしたら、ぜひ共同印刷にご相談ください。新たなマーケティング分析のお手伝いをさせていただきます。


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