不透明で閉塞感のある現在の市場状況において、イノベーションを創発するためのフレームワークとして注目度が高まっている「デザイン思考」。前編ではその考え方と、カギになる要素である「ペルソナ」について解説しました。
後編では、デザイン思考を具体的に進める際のプロセスを紹介します。この手順は工業製品だけでなく、無形サービスやWebコンテンツ、マーケティング施策、社内のエンゲージメント創出策…など、さまざまな場面で応用することが可能です。

ペルソナを軸としたデザイン思考の進め方

スタンフォード大学デザインスクール「d.school」では、デザイン思考の手順を以下の5つのステップにまとめています。ここでは、各ステップの概要やポイントを簡単に説明します。

デザイン思考の手順

[Step 1]共感(Empathize)…本音や価値観を明らかにする

事前に作成したペルソナが抱くニーズやインサイト(洞察=本人も気付いていない心理・欲求)を把握するための調査を行うことで、ペルソナに対する「共感」を獲得します。つまり、ペルソナが感じていることを、製品の作り手側が「自分事のように感じる(empathize)」ことを目指します。
具体的には、ペルソナに近いと思われるユーザーに対するインタビューや行動観察を行い、その言動から「何を求めているのか」を探ります。調査を行う際は、自分たちにとって都合のいい解釈をする、不都合な事実を無視する…などの「認知バイアス」に気を付けましょう。

[Step 2]問題定義…正しく問題設定をして、解決策を生み出す

ペルソナが抱えるインサイトやニーズを整理し、このプロダクトやコンテンツで解決すべき「問題」として定義化します。問題を明確にすれば、解決策も明確にしやすくなります。
問題を抽出するために有効なのが、「共感マップ」と「カスタマージャーニーマップ」です。「共感マップ」は、調査で得られたユーザーの意見を「発言」「行動」「考え」「気持ち」の4領域で整理する手法です。「カスタマージャーニーマップ」はユーザーの製品利用の際の行動、周囲の環境、感情などを時系列のチャートにまとめたもので、マーケティングでも多く活用されています。
問題定義を行う際は、できるだけ対象領域の焦点を絞るのがポイントです。また、焦点が抽象的すぎると具体的な解決策をつくりにくくなります。逆に具体的すぎると解決できる範囲が狭くなりがちです。ベストバランスを探りましょう。

[Step 3]創造…アイデアの幅を可能な限り広げる

Step 2で定義化した問題を解決するために、具体的なアイデアを出します。ポイントは「質より量」。手法は数名でアイデアを出し合う「ブレインストーミング(ブレスト)」がおすすめです。出てきたアイデアを積み重ねたり組み合わせたりすることで、よりよいアイデアが生まれます。注意したいのが、同じメンバーで何度もブレストした場合に陥りがちな、アイデアの「偏り」です。外部スタッフを加えたり、オタク・マニア的なユーザーの意見を加えたりするとマンネリ化を防ぐことができ、ブレイクスルーできる可能性も高まります。

[Step 4]プロトタイプ…実際につくって試す

Step 3でまとめたアイデアを検証するために、簡易的な試作を行います。ポイントは「素早く失敗する」こと。完成品に近い試作品にする必要はありません。むしろ改善点などが見つかった際や、アイデア自体が有効ではなかった場合などに、後戻りしにくくなります。紙を使うなど、スピードを重視してつくりましょう。

[Step 5]テスト…ユーザーからのフィードバック

作成したプロトタイプを、ペルソナに近いユーザーに、あるいはペルソナになりきったスタッフに試用してもらい、アイデアが適切だったかを検証します。試作品は簡易的で不完全なものなので、実際の利用を想定した「寸劇」のようなかたちで行う必要があります。テストの際は注意深くユーザーを観察し、狙い通りに使っているかを確認します。また、ユーザーにアイデアを評価してもらいましょう。課題や疑問点があった場合はその原因を探り、必要に応じて1~4のステップに戻ります。評価の際、ユーザーから新たなアイデアが得られる場合もあります。

まとめ:新たな発想のカギは、「多様性」にある!

デザイン思考を成功させるポイントは、Step 4で触れたように「素早く失敗する」という点にあります。間違っていると気付いたら、その原因となるステップまで戻ってみることが大切です。その際に役立つものが、二つあります。
一つは「ペルソナ」です。「ペルソナは何に不満を抱いているのか」「このプロトタイプを使ったらどう感じるか」を常に意識し続け、それらに対して、新しい視点や発想で向き合い続けることで、考え方や試作品が間違いかどうかを判断しやすくなります。
そしてもう一つが「集合知」です。観察や問題定義、検証といった各ステップは、視点が多ければ多いほど、個人で行うより精度が高まります。つまり、間違いに気付きやすくなるのです。また、Step 3で説明したオタク・マニア的な視点も盛り込みやすくなります。したがって、デザイン思考のプロジェクトチームを組む場合は「多様性」を意識して人選するのがポイントです。

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参考文献:オージス総研「デザイン思考(その1~9)」
「デザイン思考 その1」
「デザイン思考 その2 —登場の背景—」
「デザイン思考 その3 —イノベーション—」
「デザイン思考 その4 —集合知—」
「デザイン思考 その5 —共感—」
「デザイン思考 その6 —問題定義—」
「デザイン思考 その7 —創造—」
「デザイン思考 その8 —プロトタイプ—」
「デザイン思考 その9 —テスト—」

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