情報誌やカタログ、報告書、Webサイトなどの社外向け媒体では、間違った表現や情報の発信を事前に防止するための校正校閲が欠かせません。そこで、HintClipでは改めて、校正校閲の基礎的なコンテンツを用意しました。
 校正校閲の技術的な知識だけではなく、全体設計や効率化、精度向上のヒントとなる情報を、2回に分けてお届けします。前編となる今回は「校正編」です。
 手元にあると超便利な「校正記号表」が付録で付いています。


CONTENTS

  • ●校正と校閲の違いについて
  • ●校正には全体設計・ルールづくりが必要です
  • ●校正の流れを把握しておきましょう
  • ●校正作業のチェックポイント
  • ●さらに知っておきたいデジタル校正

校正と校閲の違いについて

 校正と校閲は文章上の間違いを正すという目的は同じですが、それぞれの意味合いを改めて確認しておきましょう。

・校正=原稿との照合や赤字修正確認、全体の素読みなどを行い、文字や文章の誤りを正すこと
・校閲=基本校正に加え、原稿の記述内容、文章の意味や整合性、事実関係などを読み取り、誤りを正すこと

 校正は基本校正と言われます。これに対して校閲は、文章の内容や意味に踏み込んでいくことはもちろん、文献などをもとにした事実関係の確認が必要になってきます。

 「原稿の間違いを正す」点ではどちらも共通しており、実際の現場では校正と校閲の明確な線引きをせずに作業を進めることもあります。今回は、第1回校正編としてお送りします。

校正には全体設計・ルールづくりが必要です

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●誰が校正するか

 校正作業の全体設計は、制作物のタイプに従い、お客さまと制作会社ディレクターとで決定します。誰が、いつ、何を、どこまで校正するかは、お客さまと制作会社との間で共有しておく必要があります。校正校閲の外部委託範囲を決定し、制作チーム内でも校正に関わる人を決定しておきます。

◎お客さまの会社
・ご担当者
・ご担当者の上席の方
・社内関連部署、グループ会社、協力会社 など

◎制作チーム
・制作ディレクター
・編集者(担当箇所全般)
・デザイナー(主にデザイン面=色校)
・ライター(自分の執筆箇所)
・外部校正会社の校正専門職(校正校閲全般)

校正の流れを把握しておきましょう

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●どのように校正するか

 制作には多くの人が関わり、多くの情報が行き交います。間違いをなくす目的で行う校正作業は、最も効率的に行われなくてはなりません。ここでは、外部校正会社を中心に制作会社が行う、文字校正を中心とした校正作業の基本的なステップをご紹介します。

1)素読み
・いきなり原稿と照合する前に、まっさらな気持ちで全体をすっと読む。
・気になるところはとりあえず鉛筆でチェックしておく。

2)逐字的確認
・資料や原稿との照合(両方を読み合わせながら確認)を行う。
・文字や単語に細かく分割しながら読み進めていく。
・文脈や内容に矛盾がないかを確認しながらじっくり読み進めていく。
・用字用語の統一を確認する。

3)事実確認(ファクトチェック)
・固有名詞、数字、その他の事実関係は正しいデータと照合し、確実にチェックする。
・特に歴史的事実などは裏づけとなる参考文献に当たってチェックする。
・校正専門職を中心に複数人で読み合わせする。

4)最終読み
・以上を一通り済ませてから、やや時間を置いて全体を読み通す作業を行う。
・鉛筆書きで必要な箇所は清書し、不要な鉛筆は消す。

*お客さまの社内情報(事前に外部に出せない情報など)の場合、プロ校でも事実確認が困難な場合があります。お客さまにはこうしたところを特に念入りに確認いただく必要があります。

校正作業のチェックポイント

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●何を校正するか

 お客さまに提出するものの多くは「カンプ」と呼ばれる完成見本PDFで、原稿を流し込み、実際にレイアウトとして組まれたものです。現在ではPDFを原寸で出力して扱うことが多く、これを校正紙(ゲラ)と呼ぶこともあります。

 最終的な印刷工程前では、修正前と修正後のPDFによるデジタル検版(後述)を行っています。高精度な校正をめざすため、カンプ提出ごとに校正とデジタル検版を複数回行うケースもあります。

 では次に、校正紙のどこをチェックするかについてお伝えしましょう。書籍や雑誌などの紙媒体をイメージしてください。ページには本文以外にも意外と見るべきところがあります。

校正のチェックポイント

  • ・タイトル、見出し
  • ・本文
  • ・注記(文末、脚注、欄外、巻末など)
  • ・キャプション(図版の説明文など)
  • ・ショルダー(ヘッダ)、ツメなど
  • ・ノンブル(ページ番号)
  • ・写真や図表、イラストなどの収まり
  • ・判型(仕上がりサイズ)、レイアウト、文字組み など
  • ・表紙・裏表紙(タイトル、月号、通巻番号、発行者名、発行日、連絡先など)
  • ・巻頭巻末(目次、奥付、協力先クレジット、索引など)

*上記の項目は、お客さまへカンプを提出する前段階で、制作会社のディレクターと外部校正会社の校正専門職がチェックしています。修正があった場合は、原則としてカンプ提出前に反映しています。

さらに知っておきたいデジタル校正

1. デジタル校正とは

 デジタル校正とは、専用ソフトウェアを使用し、オンラインで作業・管理を一元化した校正作業のことです。従来の紙による校正やオフラインで行うものとは大きく思想が異なります。

 データ同士の差分を拾うため、人が認識できない変更箇所でも確実に見つけ出すことが可能です。処理スピードも高速で、ページ分量が増えるほど校正時間が大幅に短縮できます。

2. デジタル校正のメリットとデメリット

1)メリット
・基本的にいつでもどこでも作業が可能で、情報の共有化につながります。
・精度が高く、全体の変更箇所をくまなく確認することができます。
・オンライン共有によって、業務の効率的な一元的管理が可能です。
・同時作業が可能で、修正内容を集約・転記する必要がありません。
・ペーパーレスのため、スペースやコストの削減につながります。

2)デメリット
・デバイスやソフト、通信環境をそろえる必要があります。デジタルに慣れていないと扱いづらいこともあります。
・修正意図の理解や、正誤を判断することはできません。最終的には人力での調整が必要です。
・作業者が多いと、指示内容の競合や赤字が多すぎて判別できないなどの問題が起こり得ます。

3. デジタル校正の種類

 デジタル校正には、デジタル検版、オンライン校正、文章校正支援ソフトによる校正の3種類があります。それぞれをうまく組み合わせて使用することをお勧めします。

1)デジタル検版
 従来、原稿とゲラを重ね合わせて行っていた「めくり合わせ校正」(パタパタ、あおり校正)を機械的に行うものです。オンライン校正システムの標準機能で、通称「デジ検」と呼ばれます。

2)オンライン校正
 原稿作成・確認・進捗管理がオンライン上で一元化でき、制作フロー全体の効率化につながります。校正の負荷を間接的に軽減してくれます。多くはデジタル検版機能もついています。

 お客さまのご担当者が多い場合、制作関与者が多い場合に有効です。

3)文章校正支援ソフト
 無料のものから有料のものまで豊富にあります。身近なWordにも校閲支援機能がついています。

 誤字脱字・表記ゆれなどは事前にデータ上で潰しておき、校正時の負担軽減を図ります。

 固有名詞や表記基準、文章の体裁などをカスタマイズしておくと、それらの間違いも高い精度で指摘してくれます。

4. 共同印刷のデジタル校正システム「KP-Online」

 共同印刷では、校正の精度向上、制作業務効率化、テレワークへの対応など、デジタル校正のメリットを提供する独自のサービスをご提案しています。

「KP-Online」とは
 お客さまの課題であるオンラインワークフロー(校正、入稿)を実現し、印刷に特化したシステムをご提供します。

 クラウド上で、お客さま、制作会社、印刷会社の間で同じ画像データを確認でき、効率化と品質向上につなげます。

 安価なオンラインワークフローを実現したいが、有効なツールが見つからないといったお客さまのニーズにお応えし、オンラインワークフロー実現の手段として活用いただいています。

[KP-Onlineの運用イメージ]

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「KP-Online」校正機能の特徴

・クラウド上で、複数関係者の赤字のやり取りが可能です。
・赤字集約時の転記ミスや負荷がなくなります。
・フリーラインや図形、吹き出しコメント入力などのツールをそろえています。

KPオンライン修正指示のイメージ.jpg

 詳しくは、ダウンロード資料をご覧ください。

まとめ

 制作の実務においては、お客さまによる校正校閲に加え、制作会社では専門職を投入し、より広く深い知見による校正校閲を何度も実施しています。
 それだけに校正校閲では、「誰が、いつ、どのように、何をチェックするか」という全体設計や事前のルールづくりが重要です。お客さまと制作会社の間で十分な協議を行ってください。
 これから全体設計を行う、あるいは体制を見直してミスを減らしたい、効率化したいというご要望がございましたら、いつでも共同印刷にご相談ください。


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