ブルームバーグの調査によると2019年には、世界における「ジェネレーションZ世代(以下Gen Z)」の人口がミレニアル世代を抜き最も多数世代となり、世界人口に占める割合は32%になると言います。Gen Zは『デジタルネイティブ』と呼ばれ、スマートフォンやSNSなどの「デジタルテクノロジーのない生活を知らない」という点でユニークだと言われています。では、このような価値観を持つ「新世代」と企業はどう向き合えばよいのか。本記事ではまず「Gen Z」の特徴を理解し、その消費行動の中で、特に際立つ「パーソナライゼーション」や「インタラクティブ性」などをメインに、プロモーションの秘訣やヒントを探ります。

アメリカにおける「世代」の呼び方

日本でも、『団塊世代・ゆとり世代』など世代への呼び方があるように、アメリカでもいろいろな呼び方があります。例えば、1960~70年代生まれは『ジェネレーションX』、1980~90年代は『ジェネレーションY』と呼ばれています。その後1990年代の『ミレニアル世代』、彼らと少し重複する90年代後半から2000年代が今回の『Gen Z』です。ちなみに、そこに続く2010~2025年生まれは『ジェネレーション α(アルファ)』と呼ばれています。>GenZは、2020年までに全消費者の40%を占めると予想され、今後の消費を左右すると言われている世代です。

GenZ世代の特徴と傾向『その1/モバイル重視』

「GenZ」は、ミレニアル世代と年代が重なっていることもあり、同様の特徴を多く有しています。例えば、「自立心・教養が高いこと」「テクノロジーに精通していること」などは同様の特徴として挙げられますが、ミレニアム世代以上に「デジタルデバイスとの関係」が深く、GenZへのプロモーションをする上で欠かせない、「より特徴的」な事と言えます。

もちろん、ミレニアル世代も「デジタルネイティブ」ですが、GenZにおいては、それ以上に生まれた環境がすでにデジタル化されていて「オンライン・アプリ・モバイル」が日常的に存在、そして、当たり前のようにそれを使いこなす世代なのです。そして、インターネット利用時においての「デバイス」との関係では、10~20代はスマートフォンでの利用がパソコンに比べ長く、特にGenZの中心である10代はこの傾向がさらに強くなっています。GenZ世代がスマートフォンを好む傾向は世界共通でもあるようです。

GenZ世代の特徴と傾向『その2/情報の信憑性とSNS』

また、GenZは「不確かな時代」を生きる親世代を見ながら育ってきました。その上、彼らの周囲で起きた2000年代のテロや戦争、バブルや不況の経済の乱高下などの最新情報を常に「オンライン」「リアルタイム」で目の当たりにしてきた世代でもあります。そのような環境下の経験から、メディアの提供情報以外の身近な人や似た環境を持つ人々の意見を参考に、その真偽を見極めたがる傾向があります。

そのため、SNSなどで発信される情報においても受動的ではなく、その情報が価値あるものかどうか、コメントやレビューを見たりユーザー同士で交流するなど、能動的にSNSと関わり、さらに53%の人はそのコメントに影響を受けるという結果が出ています。その傾向は、消費行動などにおいても同様で、そのため「口コミ」からのヒット商品や「インスタ映え」のスポットが人気を博すと言ったようなケースが多く見られます。

GenZ世代の特徴と傾向『その3/プライバシーと共有のバランス』

さらに、特徴として『自分の写真や動画を仲間内ではシェアするが、それを企業や公に晒すことは 好まない』という傾向です。それを顕著に表していると言えるのが「SnapChat」。これは特にGenZで人気のSNSで、最大の特徴は送ったテキストや画像が一定時間が経過すると消える・一度見たらもう見られない・スクリーンショットができない、などが挙げられます。保存時にはそれが送信者に知らされるなど、共有というSNSの機能を残しつつ、一定のプライバシーを配慮したSNSでもあります。

ちなみに、基本実名公開で不特定多数が自由に閲覧できるFacebookは、同じSNSでもGenZにはここ数年利用率は減少傾向にあるようです。彼らの生活のそばにあるデジタルがどのような影響を及ぼすか、意識的、あるいは無意識的に理解しているとも言えるでしょう。

多様性に富んだ「パーソナライズ」化でGenZを引き込む

2019年現在、GenZは10~20代前半です。若い世代でありながらも、上述のように堅実的な考え方と行動が見受けられ、かつ様々な情報が耳に入ることでより多様性に富んだ考え方をします。これは人種・年齢・性別(LGBT)・言語などあらゆる垣根に及び、他の世代以上に「パーソナライズ」された考えや嗜好、サービスに傾倒しやすいことを意味しています。そのため、GenZはプライバシー情報の公表に消極的ながらも、商品やサービスのカスタマイズに関する情報開示ならば、半数は積極的であるとの結果もあります。つまり、マーケティングにおいても「パーソナライズ」化したコンセプトやプロモーションが必要と言えるのです。

例えば、アメリカではセレブや有名人達が「自分が同性愛であること」を公表することが少なくありませんが、GenZはそれらに対し賛同的で、性別に対する考えでも多様性がうかがえます。The Innovation Groupの調査によると、常に『自分の性別にあった服を購入する』と答えたのは54%あまり、また、全体の70%は『公共のトイレに性別をつけるべきではない』と感じているほどです。これらの特徴を受け、アメリカのファッションブランド「GFW」では、“Clothing Without Label(性別関係なく楽しめるファッションブランド)”というパーソナライズ化したコンセプトを立ち上げ、GenZの人気を集めています。

「インタラクティヴ性」と「視覚要素」を盛り込む

「インタラクティヴな体験」は一方的な情報提供ではなく、双方向のやり取りで情報を得る体験ですが、この体験と「視覚的」な要素がGenZにプロモーションをかける際の大切なポイントとなります。例えば、Instagramのストーリー機能で見られるような、投稿への自分の意見を投票したり、クイズ形式と言ったような双方向のやり取りが可能な「インタラクティヴ」なものがより評価を得ています。さらに、これまでの世代は文字による情報を好んでいたのに対し、GenZでは写真やビデオなど「視覚的アプローチ」の強い情報に傾倒しています。

これは、ミレニアル世代の集中力継続時間が12秒であるのに対し、GenZ世代はわずか8秒であるという結果が示すように嗜好以前の原因もあります。長々と理論立てた説明より、写真や動画など一目でどんな内容か理解できること・視覚的インパクトを盛り込むこと・シンプルであることが彼らへのプロモーションとして必要最低条件なのです。

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GenZに影響力を持つ『Insta-famous』の利用

さらに企業や有名人のPRより、自分と境遇が似ている人や身近な存在の人への「同調圧力」が強く、重要視する傾向にあります。これはミレニアル世代の37%が重要視すると答えたのに対し、GenZでは63%と半数以上にものぼります。
これらの特徴から、GenZのプロモーションでわかりやすい例としては『Insta-famous』と呼ばれる人の起用が挙げられます。彼らは一般人ですが「Instagram上では影響力のある人」です。GenZにも強い影響力を与えるこれらの人々を利用することで、企業の売り上げを左右するくらいのプロモーションも可能でしょう。ただし、GenZは情報の信憑性に厳しい部分も持ち合わせているので、虚偽や過剰PRなどは炎上につながり「ブランドイメージ」を失墜させる可能性もあるので、入念な準備と計画が必要です。

まとめ

就寝時以外は、常にオンラインでモバイル端末を使っていると言っても過言では無いGenZ世代。「パーソナライズ」や「インタラクティブ性」など、今後のマーケティングキーワードであることは確かですが、同時に「視覚性」としてのモバイルの「UIUX」にも目を向ける必要があるかも知れません。彼らの特徴を理解し、より効果的なプロモーション展開を考えることが大切でしょう。

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