顧客とのコミュニケーションを深める手段の一つ、「動画」。その中でも、より顧客にマッチしたコンテンツを配信する方向へと進化しています。その一つが、「インタラクティブ動画」です。

そこで今回は、インタラクティブ動画の定義や特徴、効果、種類、企業の活用方法、おすすめのインタラクティブ動画の手法について共同日本写真印刷株式会社のパーソナライズド動画ソリューション「OneDouga」のチームリーダー磯野周司が解説します。

■プロフィール
OneDougaチームリーダー  磯野 周司
横浜国立大学 工学部卒。在学中は、ヨットと変動風解析がライフワーク。
卒業後、大手広告会社、住宅関連の事業会社、外資系Webサービス会社を経て、現職に至る。2015年2月よりパーソナライズド動画を研究。同年、OneDougaを立ち上げ。
2019年1月より共同印刷グループで活動中。

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■インタラクティブ動画とは?

インタラクティブ動画とは、簡単にいえば、インタラクティブ=「対話・双方向」の動画です。

つまり、視聴者と動画が対話し、双方向のコミュニケーションが成り立つ動画です。

従来の動画は、一方通行でした。視聴者が見たい動画を選んで視聴する、もしくは自然に流れてくる動画を視聴する際に、視聴者は流れてくる動画をそのまま受け取るしかありませんでした。

それに対して、インタラクティブ動画とは、視聴者がマウスやキーボード、リモコン等を用いて、自分の好きなように選択や入力を行いながら動画を視聴することができる動画です。

従来の“再生されるだけの動画”と比べて、視聴者が操作・選択していくことで、より視聴者に合ったコンテンツを見せられるのがインタラクティブ動画の特徴です。

いってみれば、インタラクティブ動画は、“ストーリー主導”の動画ともいえます。従来の動画は当然、あらかじめ、ストーリーも最終結果も決められていました。一方、インタラクティブ動画は、視聴者の判断によってストーリーも最終結果も変化します。

またインタラクティブ動画は、ただ視聴者を楽しませ、引き付けるための単なるツールではなく、視聴者へさまざまなノウハウを教えたり、興味のあるテーマに関連した深く魅力的なストーリーを伝えたりすることができるのも大きな特徴です。

■インタラクティブ動画の効果

インタラクティブ動画は、具体的に、どのような効果が得られるのか見ていきましょう。

●ユーザーのアクティビティが高まる

ある統計(※)によると、インタラクティブ動画は、標準的なプレロール動画(動画の前に流れる広告)と比較して、総ユーザアクティビティが561%上昇しました。
※INNOVID「2017 Global Video Benchmarks」

●視聴時間が高まる

また、同統計によると、インタラクティブ動画は、プレロール動画の視聴に費やされた時間に加えて、平均で41秒の追加時間が発生しています。これは15秒の広告スポットの約3倍に相当します。

この結果から、インタラクティブ動画は、視聴者を惹き付ける要素が多いことから、モチベーションを高める効果が期待できると推測できます。そして双方向のコミュニケーションができることから、視聴者からより能動的なアクションを引き出すことができる効果が期待できることも推測できます。

また、視聴時間や能動的なアクションが高まれば、コンバージョンやエンゲージメント効果も高まるでしょう。

■インタラクティブ動画に付加できる機能と種類

インタラクティブ動画と一口に言っても、多様な機能と種類があります。どのような機能が付加できるのか、そしてインタラクティブ動画の種類をご紹介します。

1.インタラクティブ動画に付加できる機能

インタラクティブ動画には、次のようなさまざまな機能を付加できます。

・リンク・Tap to CALL(電話をかけられるボタン)

動画の途中に、画面上にホームページへのサイトリンクや資料のダウンロードリンク、タップすればすぐに電話をかけられるボタンを設置。

・チャプター・選択肢

あらかじめ動画をチャプターに分けておき、メニューを設置すれば、視聴者が見たいチャプターを選ぶことが可能。また、動画の途中で何らかの選択肢を提示し、視聴者の選択によってシナリオ分岐することも可能。視聴者に合わせたコンテンツの出し分けができる。

【デモ動画】

※動画提供:OneDouga®

・テキストエリア

名前などの入力をさせるテキストエリアの付加。入力すると“こんにちは、○○さん。”のように、動画の次の画面から反映されて、パーソナライズ感が出る。
また、視聴者にアンケートに答えてもらい、テキストエリアに入力してもらった回答データを取得することも可能。

【デモ動画】

※動画提供:OneDouga®

・認証(ID/PW)

IDとパスワードの入力欄を表示し、マイページなどへのログインをさせる。

・言語選択

日本語、英語、中国語など、動画の音声や字幕の多言語切り替えをする。

・ライブチャットキャスティング

現在、流行りのオンライン会議中やライブ動画配信中のチャットなど。

・ライブソーシャルネットワーク

ライブ動画の中に、SNSの投稿内容を入れる。例えば、Twitterの画面を動画に組み込むなど。

・ライブコマース

ライブ動画配信をしながら、販売を行う。

2.インタラクティブ動画のデータ活用

インタラクティブ動画とデータを連携させて、さまざまな活用をすることも可能です。

●日時データの活用

顧客の誕生日などのあらかじめ取得した日時データを活用し、例えば、誕生日当日にイベント動画を出すなどが可能。また「割引適用期限まで残り◯日」のように、ユーザーのアクションやアクセスによって表示を変える方法もある。

●GPSの活用

GPSなどのジオデータの活用により、ナビゲーションが可能になる。例えばスマートフォンのGPS機能で位置情報を取得し、「お近くのお店はこちら」のように、今いる場所の情報や、店舗誘導する内容を動画で配信するなども可能。

■企業のインタラクティブ動画の活用方法

数々の企業はインタラクティブ動画をすでに活用しています。その活用分野としては、大きく、(1)顧客向け、(2)新製品開発、(3)社内活用、(4)採用活動の4つに分けられます。

(1)顧客向け

●製品・サービス紹介

顧客に対して、自社製品をインタラクティブに動画で紹介します。選択によるシナリオ分岐などを施すことで、顧客のニーズに合った製品・サービス説明の提供が可能になります。

●接客ツールとして

店頭での接客中、商品紹介動画などの、顧客へ視聴してもらうコンテンツの1つとしてインタラクティブ動画を取り入れることもできます。
また、動画内の商品にタグ付けをしてECサイトへ誘導したり、クーポンを提示したり、アンケートを収集したりすることも可能です。

●ブランディング

企業や製品・サービスに関する解説動画や、ビデオコマースなどの一連の顧客体験を通じて、ブランディング強化も期待できます。

●カスタマーサポート

動画で「HOW TO(ハウツー)」を説明するなど、カスタマーサポートにも役立てられます。

(2)新製品開発

動画メディアとして、インタラクティブ動画を用いた教育系学習アプリなどを開発することもできます。

(3)社内活用

教育、研修など、社内での活用も可能です。例えば、実際の現場における危険回避のため、もしくは初心者向けに、VRを用いた溶接のトレーニング動画などの事例もあります。

●社内週報動画としての活用例

社内向けの週報をインタラクティブ動画に活用する例をご紹介します。これは、動画内に部門、得意先業種などの選択肢が表れ、それらのいずれかを選択すると、その選択に応じた週報がグラフや数値で分かりやすく表示されるものです。また部門連絡の情報も自動的に動画内に表示されるしくみにします。約60秒以内に読むことができ、わかりやすい週報になります。また、誰が週報を見ているのか、個人単位で計測もできるので、管理側にとっても有用です。

(4)採用活動

採用の際に、内定が決まった該当者に向けたメッセージ動画のほか、採用過程における必要な情報伝達の手段としても活用できます。

インタラクティブ動画は、顧客との双方向のコミュニケーションを実現する上に、視聴時間やアクティビティの上昇など、非常に大きな効果が期待できます。また企業にとって活用シーンは無限に広がっています。

多くの企業が注目を集め始めている今だからこそ、インタラクティブ動画をいち早く取り入れてみるのも良いのではないでしょうか。

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