創業や設立から10周年、50周年、100周年など、企業の節目に行う周年事業は、大きな変化を迎えています。従来は式典や年史の発行など、一時的なお祝いとして行われてきました。しかし、近年はお祝いの意味だけでなく、社内外のブランディングを通じて周年という貴重な機会を有効活用している例が数多くあります。
また、いざ周年事業を行っても効果がいまひとつ感じられないといった課題にも直面しがちです。成功させるためにはポイントがあります。
そこで今回は、周年事業をブランディングの好機会と捉え、より多くの人々、つまり社内外とのコミュニケーションを図る方法を、DHC、ハリウッド、旭化成の3社の事例を交えながらご紹介します。
周年事業のトレンド
周年事業には、大きなトレンドの流れがあります。その変化とトレンドの内容を見ていきましょう。
周年事業のトレンド
ブランディングの好機会と捉える
近年の大きなトレンドとしては、単なるお祝いごとだけで終わらせず、周年を好機会と捉えてブランディングを実施する企業が増えているという傾向があります。
周年事業といえば、従来から周年式典やパーティー、年史や社史の発行、コーポレートロゴの刷新、社内の表彰式、ノベルティグッズ制作、イベントの実施、コラボ商品の開発、SNSキャンペーンの実施などが定番となっていました。また、顧客はもちろんのこと、対象としては従業員や投資家などのステークホルダーを含めた全体に広がっています。
また従来は、一時的なイベントに終始する傾向がありました。なぜならお祝いすることがメインの目的だったからです。
しかし近年は、企業のビジョンやパーパスなどの理念の発信・浸透が重要視されるようになっています。そのトレンドを背景に、差別化を図るためにも、周年の機会にブランディングに取り組む企業が増えているのです。
インナーブランディングの重要度が増している
ブランディングは社内と社外どちらも対象となっており、特に社内向けのインナーブランディングの重要性が高まっています。
その理由の一つとして、社外に向けたアウターブランディングは、インナーブランディングの考え方が根底となって構築・発信されている点が挙げられます。
そして近年は雇用の流動化が進んでおり、人材採用を強化する必要があります。また、Z世代を始めとした若年層の考え方の変化により、より企業のビジョンやパーパスなどに価値を感じる世代が増えています。こうしたなか、ビジョンやパーパスの見直しをはかる必要性も生まれています。そして従業員を惹きつけ、エンゲージメントを高めることは、離職防止のためにも欠かせません。
インナーブランディングを周年事業の機会に強化することで、企業・組織の存在意義や価値観を再定義し、結束を高めていくことができます。周年事業は日ごろの課題解決を進める大いなる機会と捉えられているのです。

周年ブランディングのよくある課題
一方、周年のタイミングでブランディングを行う際には次の課題に直面することがあります。
一過性の施策で終わってしまう
周年ブランディングといえども、一過性の施策で終わってしまうという課題です。これではブランディングの機会としてとらえたことも意味がなくなり、これまで実施していた周年事業と何ら変わりがなくなってしまいます。
ブランディングとしての何らかの工夫が必要になるでしょう。
式典などの開催だけで手いっぱいでブランディングどころではない
周年事業は事業の傍らで行うのが一般的です。そのため、周年事業の記念式典などの開催準備だけで手いっぱいとなり、ブランディングというさらに一歩先の取り組みまで手が回らないという課題に直面しがちです。これは単にリソースが不足していることや、ノウハウに欠けているという点も原因として挙げられるでしょう。この課題については、専門的な知見やリソースを投入する方法があります。
従業員から業務に集中したいオーラが伝わってくる
従業員から直接業務に集中したいという反発が起きることもあります。つまり、従業員の巻き込みがうまくいかないという課題です。自分ごと化ができていないため、まずは関心を集める必要があります。
目的があいまいで施策そのものが形式的になりがち
周年事業といえば、記念式典やキャンペーン、イベントなどが数多くありますが、形式的になってしまうという課題もあります。何のためにやるのかという部分が明確になっていないこと、自社ならではの「目的」が策定されていないことが原因です。
この問題については、まず周年ブランディングとしてのビジョンをしっかりと明確にしておくことが欠かせません。
周年ブランディング成功の鍵は社内を巻き込むことにあり!
課題を踏まえると、周年ブランディングの成功の鍵は「従業員を巻き込む」ことにあるといえます。
従業員を巻き込むことが成功の鍵
一過性で終わらせないために、周年ブランディングを実施するプロセスのなかで、必ず従業員の巻き込みを意識することが重要です。
周年ブランディングの実施プロセス
- 1.課題の洗い出し
- 2.目的の明確化
- 3.従業員への周知・自分ごと化
- 4.施策の実施
- 5.効果測定
このように、プロジェクトメンバーで目的を明確にした上で、従業員全員に周知し、自分ごと化のための具体的な施策を行うことが重要です。
インナーブランディング施策の必要性
社内報や研修などを通じて巻き込むのが有効ですが、特にワークショップの開催は、従業員を自分ごと化させるのに重要です。
例えばグループで、自社のビジョンやパーパスについて話し合い、具体的にどのようなアクションを取ることが有効であるかといった話し合いをさせます。その上で周年のタイミングでどのような施策が効果的かなど、従業員がアイデアを出します。
こうすることで、従業員自らが積極的に周年ブランディングに関わることが可能です。
DHC・ハリウッド・旭化成の事例から見る周年ブランディングにおけるコミュニケーション施策のポイント
周年ブランディングにおけるコミュニケーション施策の具体例をご紹介します。
周年ロゴ/スローガンの策定
周年そのものロゴやスローガンを策定します。コーポレートロゴとは別に作成することで、周年事業や企業が持つコンセプトを社内外にアピールする重要な旗印の役割を持ちます。また、ブランディングを実現するためにはシンボル的なものであることから、社内外の協調性を促し、また相乗効果を高めます。
従業員の自分ごと化を促すポイント:
周年のロゴやスローガンの策定において、従業員の自分ごと化を促すには、ワークショップなどでアイデアを出させることで、モチベーション向上に役立ちます。いざ策定した後も、誇らしい気持ちになり周年ブランディング施策への積極的な参加も促せるでしょう。
ブランディング
ブランディングにおいては、周年を機にブランドのロゴやマークを見直すだけではなく、ブランド理念そのものを再構築するリブランディングを行うことを検討されてはいかがでしょうか。
周年は大きな転機となります。変化する時代において、方向性を見直すことは、企業経営としても有効なことです。ビジョン・ミッション・バリューを再定義し新たなブランドストーリーを策定して社内外に発信・浸透していきます。
従業員の自分ごと化を促すポイント:
従業員を巻き込むためには、社内アンケートなどを実施し、ブランディングに対する意見や要望、変革のアイデアなどを募るのが一案です。先のワークショップの開催も有効になるでしょう。
【事例】DHC 創業50周年「WebCM」
WebCMのキャプチャ
化粧品・健康食品を主軸に事業展開する株式会社ディーエイチシーは、2022年に創業50周年を迎えた際に、自社の化粧品・健康食品に関するWebCMをそれぞれ2種制作し、放映しました。
過去から現在、未来に向けて大切にしている「ものづくりへのこだわり」を表現。化粧品編では、同ブランドの化粧品の起源という「DHCオリーブバージンオイル」について最高品質のオイルを追い求めた開発経緯を紹介。
健康食品編では、「高品質・適正価格」のこだわりを伝える内容を紹介しました。
創業50周年の機会を利用して、ブランドの源泉について動画を通じてストーリーとして真摯に伝えることで、見る人に強い印象付けを実現しています。
※当社の提供サービスではありません。
式典・祝賀会
記念式典や祝賀会は、顧客や株主、取引先など、関係の深い方をメインに周年のコンセプトやテーマを発信する場となります。
従業員の自分ごと化を促すポイント:
従業員の自分ごと化を促すためには、記念式典までの期間をカウントダウンしたり、事前にパンフレットを配布するなどして、参加意欲を高めておくことがポイントになるでしょう。
【事例】ハリウッド「創業100周年 記念商品の製作と発表イベントの開催」
「THE HOLLYWOOD」発表会の模様
老舗化粧品メーカーであるハリウッド株式会社は、2025年に創業100周年を迎えた際、記念商品として美容クリーム「THE HOLLYWOOD」を製作し、一般発売しました。
1989年発売の「クレム ド ロイヤル」というクリームに配合されていた生のローヤルゼリーを継承しながら、新しい成分としてヒト脂肪由来間葉系幹細胞エクソソーム、ヒト幹細胞順化培養液、NMN(すべて保湿成分)など、最先端の美容成分を配合。過去の歴史と未来をつなげるこだわりのクリームとなりました。
「THE HOLLYWOOD」の紹介シーン
その新商品発表会は、記念式典のような雰囲気で開催。新商品のお披露目のほか、「美の継承と進化、~未来へのバトン~」をテーマにした美容専門家による対談や、大物女性歌手による生演奏などを通じて印象的なイベントを展開しました。
※当社の提供サービスではありません。
記念冊子、記念動画、記念サイト
記念冊子や記念動画、記念サイト等のコンテンツは、ステークホルダーに対する新たな門出の意思表明になり得ます。
従業員の自分ごと化を促すポイント:
従業員の自分ごと化を促すには、記念冊子や記念動画などに従業員の参加型企画を盛り込むことが一案です。例えば、記念動画で、自社の商品の社内アンケートによる人気ランキングを企画し、発信するといったことが挙げられます。こうしたコンテンツは社外にとっても興味関心を持ってくれやすくなるでしょう。
【事例】旭化成「創業100周年 従業員向けの周年サイト」
「従業員向けの周年サイト」トップページのイメージ
1922年創業の旭化成株式会社は、2022年の100周年の際に、周年事業の一環として、社史の制作のほか従業員向けの周年サイトの制作・公開、イベント開催などを行いました。
特に従業員向けの周年サイトは特徴的で、国内外の従業員から募集した、後世に残したいエポックメイキングなエピソードのうち、100本を「100Stories」として公開しました。従業員数約5万人中、海外の従業員は4割強(2025年3月現在)を占めることから、5カ国語に翻訳しているのも注目です。
※当社の提供サービスではありません。
記念品・ノベルティ
周年事業に重要になる記念品やノベルティグッズの策定です。周年事業全体における式典や祝賀会、イベント、CSR活動などのあらゆるコミュニケーション接点において、印象に残る記念品を提供します。
従業員の自分ごと化を促すポイント:
従業員の自分ごと化を促すには、記念品やノベルティグッズ、イベントなどの企画立案に従業員にも積極的に参加してもらうことがお薦めです。また、従業員向け限定のノベルティグッズを制作して配布することも有効です。企業が、自分たち従業員を大事にしているという意識が生まれやすくなるでしょう。
まとめ
周年事業は、大きなブランディングの機会であり、近年は多くの企業がブランディング施策を進めています。一方で、すべての企業がブランディングに成功しているわけではありません。重要になるのは従業員をいかに巻き込むかという点にあります。
今回ご紹介したポイントを踏まえて、ぜひ周年ブランディングを成功させましょう。
しかしながら、周年ブランディングを成功させるには、リソースの確保とともに知見やノウハウの活用が欠かせません。
また従業員に自分ごと化を促す工夫を行うためには、企画や戦略の立案、コンテンツ制作、イベントの運営など、さまざまな施策が求められます。
それらの施策については、共同印刷におまかせください。
共同印刷は企業ブランディングの実績と経験を持ち、長年の周年事業サポートにより強力に周年ブランディングをサポートいたします。
ブランドデザインから、式典・イベント、制作まで、これらを単体ではなく“企業ブランディング”の観点で、周年事業全体を通して統一感のあるプロジェクトとしてご提案し、お客さまの運営の負担を軽減いたします。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
周年事業で企業ブランディング
https://www.kyodoprinting.co.jp/lp/event-anniv/
【調査出典】
東京商工リサーチ「2026年全国の周年企業調査」(2025年12月9日)
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202067_1527.html
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