従来のめくり式卓上カレンダーでは、金属製やプラスチック製のリングが多く、廃棄時に細かく分別が必要となるなど、環境面で問題がありました。
そこで当社はすべて紙素材でできたカレンダー「サステナリングカレンダー」を企画開発しました。
「サステナリングカレンダー」は、廃棄時に分解せずに「資源ゴミ」としてリサイクル可能なため環境にやさしく、さらにその他のリング式カレンダーに比べ、低コスト・短納期で製造でき、大ロットの注文にも対応可能です。
また、本カレンダーは、当社オリジナル形状カレンダーとして、実用新案権と意匠権を取得済みです。
[ 開発担当者: 共同印刷メディアプロダクト株式会社 製造管理部 江澤 匡史 ]
[ユーザーメリット] ESG経営・脱プラ推進に役立つ
「サステナリングカレンダー」の最大の特長は、リングが100%紙でできていること。廃棄の際は、分解せずそのまま「資源ゴミ」として処理できます。
また、リング部が菱形になっているのも大きな特長です。このリングは折り畳んだ状態で納品されるため、パッケージを薄くコンパクトにできます。
リングをツブレや変型から守るための保護材は不要。
一般的な紙封筒やPP袋にそのまま入れて発送できます。従来型より一度により多くのパッケージを運べるため、配送コストや配送時に発生するCO2の削減も期待できます。
リングの形状は菱形ですが、一般的なリングカレンダーと同じように、ほとんど違和感なくスムーズにめくれるのも魅力です。
また、リングを菱形にすることで、コストダウンや大量生産への対応も実現しています(詳細は後述)。
このカレンダーには、具体的には4つのユーザーメリットがあります。
①企業ブランディング効果が高い
従来型の卓上カレンダーよりサステナブルで、脱プラなど・CO2削減を実現している当カレンダーの配付を通じて、自社が環境意識の高い企業であることをアピールできます。
②コストメリットが大きく、大量生産向き
従来型の卓上カレンダーとはまったく異なる製造方法であるため(詳細は後述)、大量生産が可能です。多く印刷するほどコストメリットは大きくなります。
③ノベルティに最適。メール便発送も可能
薄くパッケージングできるため、営業担当者などがビジネスバッグに入れて持ち歩いてもかさばりません。通販商品への発送時同梱も容易です。メール便でも発送できます。
④100%再資源化が可能
紙以外の素材はまったく使っていないため、資源ゴミとしてリサイクルが可能。リサイクル率の向上やサーキュラーエコノミーの実現に貢献できます。
[開発の背景] お客さまの脱プラニーズに応えるべく開発
従来型のめくり式卓上カレンダーは、綴じ具に金属やプラスチック製のリングを用いたものが一般的ですが、廃棄の際に分解してから分別する必要があるなど、環境面に大きな問題がありました。
紙製のリングもありますが、強度を高めるためにプラスチックを混合している場合、やはり分解廃棄が必要です。
紙100%のリングも存在するものの、製造するには専用の資材と綴じ機械が必要で、従来のリング式よりもコストアップし、大量生産にはハードルが高い面がありました。
当社はかねてより、これらの問題を解決でき、かつ従来型のリングと同様の使用感を実現できる「完全脱プラ」のめくり式卓上カレンダーをつくってほしいというご要望を、多くの企業からいただいていました。
このニーズを満たし、サーキュラーエコノミー※実現に貢献するために開発したのが、「サステナリングカレンダー」です。
開発段階では、数多くの試作品を作成。約1年かけて改良を重ね、今の形にたどり着きました。
[技術上のポイント] カレンダー専用設備を使わない
開発の際、環境対応のほかにもう1つ、強く意識した課題があります。それは「カレンダー専用製造設備への依存解消」です。
カレンダーの製造は9月〜11月に集中します。また、カレンダーの製造には一般的な印刷・製本とは異なる設備を使用します。したがって繁忙期になるとカレンダー専用設備が希望日に使えないことがあり、納期面に苦慮することがあったのです。
この問題を解決するベストな方法は、専用設備に依存しない仕様にすること。
そこで「サステナリングカレンダー」ではさまざまな工夫を施し、一般的な印刷設備での製造を可能にしました。これにより前述の問題を解決し、同時に大量生産やコストダウンも実現できたのです。
リング部分は、平らに折り畳める菱形。
リングを折り畳んだ状態。
折り畳むと一般的な卓上カレンダーより薄くなります。
[サステナビリティ] SDGs目標達成への貢献
「サステナリングカレンダー」は、SDGs目標達成への貢献度が高いのも特長の1つです。具体的には、以下の2つに貢献することができます。
[比べてわかる] 環境・コスト・使用感での高い優位性
従来の卓上カレンダーと比較すると、以下の表の通り、環境面やコスト、納期、使用感などで優れていることが理解していただけると思います。
[満足度] より満足していただけるカレンダーへ
今回ご紹介している、「サステナリングカレンダー」は既に、2024年版で採用実績があり、アンケートなどでエンドユーザーからも高い評価をいただいています。
今後はさらにブラッシュアップし、よりサステナブルで使いやすいカレンダーに進化させて、リピーターを増やしたいと考えています。
①よりサステナブルに
100%紙製リングにするだけでなく、用紙やインキ、印刷などについても環境対応を徹底し、よりサステナブルな卓上カレンダーを実現したいと考えています。
②より使いやすく
例えば、組み立てをより簡単にするなどの工夫です。お客さまからいただいた声を参考に、より優れた製品の開発を継続していきます。
[採用実績] ファンケルさま
当カレンダーは、株式会社ファンケルさまの「お客さま向け2024卓上カレンダー」に採用されました。
共同印刷メディアプロダクト株式会社
製造管理部業務二課 課長
江澤 匡史
2009年共同印刷株式会社入社。五霞工場にて製造現場を経験後、製造技術部に異動し、工場の効率改善および製造設備の立ち上げに携わる。その後、情報コミュニケーション製造事業部を経て、2021年4月から共同印刷メディアプロダクト株式会社に異動して現職。カレンダー、ダイアリー、表面加工、製袋といった製品の特殊加工や、企画加工を担当する。技術部門でのキャリアとノウハウを活かした「ものづくり」企画のスペシャリスト。
関連資料
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サステナリングカレンダー
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