キャッシュレス決済がビジネスと社会をイノベートする マルチモバイル決済プラットフォーム「elepay」[前編]

日本のキャッシュレス決済比率はおよそ2割。世界的なキャッシュレス化の波に取り残された「キャッシュレス後進国」と言われています。その状況を挽回しようと、今日本ではキャッシュレス・ポイント還元事業やマイナポイントを始めとする「脱・現金」に向けた数々の取り組みが行われています。
そこでHintClipでは、日本のキャッシュレス化の加速に向けた事業を進めるELESTYLE株式会社のCEOである盧 迪(Lu Di)氏と共同印刷の決済・キャッシュレス事業を担当する仁島光則による対談を企画しました。前編では世界のキャッシュレス化の現状と日本の現在地についてご紹介します。※2回に分けてお届けします。

ELESTYLE株式会社
2019年に基本サービスとなるマルチモバイル決済プラットフォーム「elepay」のリリースに加え、中小企業やスタートアップ向けにキャッシュレス決済導入に必要なシステムをパッケージ化した「One QR」プラットフォームを開発。モバイルキャッシュレス決済の市場シェア拡大に向けて事業を展開中。

共同印刷のIT関連事業分野の重点取組施策である「ファイナンス分野でのサービス開発」、「データ流通支援事業」でのシナジーを見込み、2019年同社に出資。
主に以下の取り組みで連携を進めている。

  • ・決済を伴うサービス開発の基盤となる技術情報の確保
  • ・地域ポイント、仮想通貨と決済サービスが同じプラットフォームで運用できる技術提携先
  • ・決済サービスに関するデータ収集基盤
  • ・エンハンスメントサービスの新たな活用先

生活のすべてが決済アプリ上で完結する中国

仁島氏_インタビュー.jpg
仁島:早速ではありますが、海外のキャッシュレスの現状について教えてください。

盧:私がよく知るのは特に中国や東南アジアについてですが、やはり日本よりキャッシュレス化が大きく進んでいます。中国ではAlipay(アリペイ)とWeChat Pay(ウィーチャットペイ)を利用している人がほとんどです。同様にベトナムなどでもそれらのアプリを参考にした決済アプリが利用率を高めていて、オフラインでのキャッシュレス化が進んでいます。

仁島:中国ではAlipayとWeChat Payのどちらを使うケースが多いのでしょうか。

盧:どちらかではなく、両方ですね。日本で紹介される際はAlipayとWeChat Payとまとめて紹介されることが多いと思いますが、実際には用途が違います。Alipayは日本での銀行振込やクレジットカードに近い立ち位置で、数十万円などの大きな額の支払いなどに使います。一方WeChat Payは利用頻度が高く、数万円以下の少額のやり取りが多めです。友人とのコミュニケーションやお金の貸し借りもWeChat Pay上で行うため、ただの決済アプリではなくCtoCプラットフォームであるLINEに近いイメージですね。

仁島:実際にCtoCでのお金のやり取りというと、例えば親子間の仕送りなどもWeChat Payで行われるということでしょうか。

盧:そうですね。あとはお店でまとめて払ってくれた相手に後で自分の分を渡したり、給料の振込に使われるケースもあります。さらに店舗や企業とのやり取りだけでなく、政府もWeChat Payにアカウントを持っていて、税金の振り込みや各種手続きの書類提出などもWeChat Pay上で行えます。

仁島:決済だけでなく、そこまで生活に浸透しているんですね。中国ではキャッシュレス決済の利用率が急激に高まっている一方、なぜ紙幣はあまり使われなくなったのですか。

盧:要因としては以前、偽札が問題になったこともあります。しかし、一番の理由は利便性です。皆がスマホを持っていて、それも今ではPCと遜色ない性能です。スマホですべてが完結する利便性は現金を越えています。もう一つのメリットはスマホを落としてもアカウントがあればいつでもウォレットを復活させられる点ですね。現金は財布を落としたら、なくなってしまいますから。

仁島:日本にもいろいろなキャッシュレス決済がありますが、それでも「現金を持たない」ことはほとんどありません。しかし、中国では現金をそもそも持ち歩かないというケースもあるんですよね。

盧:昨年上海に滞在しましたが、一度も現金を使いませんでしたね。いま中国で現金を使うと、お店の人に嫌な顔をされますよ(笑)。おつりを用意しないといけませんから。

仁島:ということは、AlipayとWeChat Payが使えるお店の割合も99%に近いような状態ですか。

盧:統計データを持っていないので体感的なものですが、都市部では90%以上のシーンでQR決済ができますね。以前は高速道路など使えない場所もありましたが、それも今では対応が完了しています。

バッテリー問題を解決するシェアリングサービス

盧氏_インタビュー.jpg
仁島:決済をスマホに依存すると、例えばバッテリー切れの場合QR決済ができないということになりませんか。

盧:バッテリーはたしかに重要な問題です。ウエブを見て、動画を見て、音楽を聞いて、決済アプリを使ってと、本当にスマホをよく使うのでバッテリーはどんどん消費されます。だから、中国ではシェアリングバッテリーサービスがとても充実しています。
バッテリーがなくなる前に、どこでも借りられて、どこでも返せて、しかも安い。日本円で100円程度で利用できます。例えば会社から帰る時にバッテリー残量が少なければ、家まで帰ってから充電するのではなく、会社の最寄り駅でバッテリーを借りて充電しながら帰り、家の最寄り駅でバッテリーを返します。そうすればバッテリーが切れることはなく、途中でスマホを使いながら家に帰られます。

仁島:通勤シーンでの利用の話が出ましたが、日本のSuicaやPASMOに相当するような定期のデジタル化はどのように行われていますか。

盧:QRコード決済で改札を通れるようになっていて、AlipayとWeChat PayのQRに定期を登録できるようになっています。その他にも日本と同じように鉄道の独自アプリやNFCでのタッチも可能ですね。

中国と日本の一番の違いは低い決済手数料による事業者負担の軽さ

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仁島:日本ではQR決済より先にSuicaのような電子マネーが普及していたこともあり、アプリの立ち上げが不要なNFCを利用した決済アプリの方が利便性が高いという声も多く聞かれます。中国ではそういった声はあるのでしょうか。

盧:あまりないですね。大きなポイントとしてはQR決済のシェアがすでに大きく、利用シーンが広いこと。そのため店舗側での導入コストもQR決済の方が安いです。NFCの場合は対応した機器の導入が必要で当然コストもかかります。また、導入負荷だけでなく、決済手数料が安く事業者負担が小さいのが日本との大きな違いです。中国では法律でキャッシュレス決済の手数料は0.6%と定められています。

仁島:0.6%はかなり安いですね。日本ではクレジットカードの手数料は3%が相場と言われています。今後はキャッシュレスの推進に向けて、その手数料も下げられていくのでしょうか。

盧:政府としても下げようという動きはあるようですが、国内にはキャッシュレス決済額が大きいクレジットカードの壁など、いろいろな障壁があるようです。0.6%であれば許容できても、3%や4%となれば、特に中小の事業者は「キャッシュレス化は止めておこう」という話になってしまいます。
日本のキャッシュレス決済手数料の高さの後ろには、金融システム全体のコストの高さが原因としてあると思います。

仁島:AlipayやWeChat Payは中国のIT企業が立ち上げ、運用しているサービスなので、手数料で儲けようとしているのではなく、周辺領域でマネタイズしている。一方の日本は手数料をもらうことを前提としたビジネスモデルになっているということですかね。

盧:そうですね、中国の基本的な考え方はデータ活用で、日本は手数料ビジネスですね。似たサービスでもそれを提供する企業の成り立ちが違う影響は大きいです。それは入金のスピードにも関係していて、AlipayとWeChat Payはトランザクション(取り引き)から2日で入金されます。日本では月末締めの翌月末入金だったりするので、そうするとトランザクション(取り引き)から30日、最長で60日近く入金を待たないといけません。これではお金の循環が悪くなりますし、特に中小店舗はそれほど多くの資金を持っているわけではないので、非常に厳しいです。

仁島:最近では新規の店舗立ち上げでキャッシュレス決済を導入すると、開店直後は入金がなくなるため、単純に立ち上げ時に1〜2ヶ月分の運転資金を余分に準備する必要があるという問題が出てきているようですね。

盧:それは中国ではないことですね。だから個人で野菜を売っているようなお店でもキャッシュレス決済ができるのです。お金は社会の血液といいますが、ビジネスを前に進めるためには血液の循環が必須です。
国の施策で消費者の利用促進が行われていますが、そのためには使えるお店があることが前提です。導入する事業者側のメリットをより大きくしていくことが今の日本の課題だと思います。[後編はこちら]

マルチモバイル決済プラットフォーム「elepay」
導入期間が短く、低コストで、多様な決済方法を一本化 

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※クリックすると拡大(PDF)表示します。

「elepay」を活用した決済プラットフォーム「OneQR」
店舗や商品登録をするだけですぐにモバイル決済のサービスを利用できます。
「OneQR」はこんなシーンで利用されています。
 ・オフィス無人販売
 ・小売店での支払い
 ・飲食店でのモバイルオーダー(店内外での注文・支払い)
 ・無人駐車場や駐輪場
 ・ビジネスホテルのTVでの有料コンテンツ利用
 ・自治体の税金収納
 ・宅配ロッカーの受け取り

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 「elepay」「OneQR」に関する問い合わせはこちら

kakui-portrait-small.jpgELESTYLE株式会社 CEO

盧 迪(Lu Di)
中国で日本からのオフショアによるガラケー向けウェブサービス開発を経験し、その後来日。オフショア関連の大手企業に駐在し、プロジェクト管理、開発を担当。2011年に楽天に入社し、楽天市場の海外展開に向けたECプラットフォーム構築に携わる。2016年起業し、CTOとして飲食店向けのサービスを立ち上げ。2018年からELESTYLE社のCEOに就任し、elepayとOneQRサービスを立ち上げた。

kakui-portrait-small.jpg共同印刷株式会社 トータルソリューションオフィス

仁島 光則
メーカー系システムエンジニア、家業の印刷会社経営を経て、2006年2月に共同印刷へ入社。主に業務支援サービス(Commo-View、Form α、証明写真アプリ)の企画・開発や、交通系IC乗車券の物販システムの開発を経験し、2018年よりキャッシュレス決済事業に専従している。


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