店頭販促におけるスマートフォンの活用が一般的になり、手法も定着しつつあります。
そこで今回は、共同印刷でスマホを使った販促キャンペーンを数多く手がける二人の担当者に、「販促効果を最大化する企画の立案」と「事務局の円滑な運営」のポイントを、2回にわたって伺いました。
前編となる今回は「企画編」です。デジタルを生かしたキャンペーンの設計や景品選定、応募スキームの構築方法などから、成功の鍵を探ります。
〈ファシリテーター〉HintClip編集長 杉山 毅
スマホを活用した店頭販促の目的と手法

杉山:「販売促進」「商品理解促進」「最寄り店舗情報提供」「キャンペーン応募」の4つの分類の表を用意してもらいましたが、スマホを使った店頭販促では、どんなことを重視していますか。
石井:施策を考える際は、まずマーケティングの目的やターゲットを明確にし、コストなども踏まえて最適な手法を選ぶのが基本ですが、スマホを活用した店頭販促でも同じですね。目的によって設計や準備の内容は変わります。
杉山:スマホは単なる手段、基本は変わらないというわけですね。
神林:そうですね。当社では特に、スマホから応募するプレゼントキャンペーンの受注が増えています。
石井:そうですね。プレゼントの内容など企画面が重要なのは従来通りですが、一方で、ハガキなどを使ったアナログの時代とは違ったスキームづくりが必要です。
杉山:なるほど。今回は、スマホを使った「プレゼントキャンペーン」にフォーカスして、お二人に話をお聞きしたいと思います。

スマホを使ったプレゼントキャンペーン
杉山:クローズド懸賞、オープン懸賞、総付景品(全員プレゼント)のいずれも、スマホで応募可能になっているのでしょうか。
石井:そうですね。クローズドと全員プレゼントの場合は、レシート撮影・バーコード撮影・商品撮影・シリアルナンバー入力…などの応募方法があります。
神林:オープン懸賞では、「公式アカウントをフォローしてリポスト」のような、SNSを活用したものが主流になりつつあります。
石井:応募のしやすさは設計次第で大きく変わるので、「参加される」導線をどうつくるかが重要ですね。
杉山:最近はどのようなキャンペーン事例がありますか?
神林:ある食品メーカーさまでは、対象商品を購入したレシートをスマホで撮影して送ると、抽選でオリジナルグッズが当たるキャンペーンを毎年実施しています。ブランドキャラクターのグッズが景品で、毎年大好評です。
石井:ある調理家電メーカーさまでは、他社からの買い換えを促すために「キャッシュバックキャンペーン」を行いました。
神林:某飲食チェーンさまでは、人気キャラクターとのタイアップキャンペーンを実施し、大好評でしたね。
石井:ユニークなところでは、「福袋企画」があります。一部の飲食チェーンさまは、年始にクーポン券と限定ノベルティをセットにした「福袋」をオンラインで予約発売するのですが、予約スキームなどはクローズド懸賞と似通っているので、当社が受託しています。

共同印刷の強みは企画、景品、事務局までの「一気通貫」
杉山:キャンペーンのなかで共同印刷が関わる範囲は、とても広いですね。
神林:企画から応募スキームの設計、景品の提案と製造、告知ツールのデザイン、景品の撮影、応募フォームの構築、事務局の運営、そして景品の発送まで、「一気通貫」で対応できるのが、当社の強みです。
石井:プレゼントキャンペーンでは、専門分野の異なる複数の企業が関わるのが一般的です。しかし企画会社、制作会社、印刷会社、発送代行会社、そして事務局運営会社と、それぞれが別の窓口になると、手配や調整に時間と労力がかかります。その点、当社ならワンストップで対応可能です。
神林:例えば、キャンペーン用に専用パッケージやPOPを作りたい場合も、POPの企画制作チームや印刷部門と連携してスムーズに対応できますし、景品の発送はグループ会社である共同物流が対応できます。
杉山:総合印刷会社の強みを、存分に発揮できるわけですね。
神林:一方で、当社が景品の企画製造を得意とする会社とタッグを組むケースも多いですね。この場合、応募スキームから発送までを当社が担います。

応募を増やす仕掛けが重要。キャラクターIP企画が好評
杉山:企画段階で重視していることや、心掛けていることはありますか?
石井:企画重視型の案件では、キャンペーンの目的や商品特性などを踏まえて、どんな景品が応募につながるか、どう差別化できるかを意識してプランニングしています。
杉山:当社ならではの企画提案をして、採用になるケースが多いようですね。
石井:そうですね。キャラクターIP、つまり人気キャラクターの権利を活用した景品提案が好評です。当社は出版社との関係が深いので得意分野と言えます。
神林:先ほど例に挙げた某飲食チェーンさまの案件では、当社が景品を提案しました。当社と出版社とのつながりを生かし、人気まんがとのタイアップキャンペーンを企画し、キャラクター同士をつなげられるアクリルスタンドや、全キャラを集めたくなるトレーディングカードを提案したところ、採用となりました。反響が大きくて驚きましたね(笑)。
石井:ユーザーが「参加したい」「集めたい」と思える仕掛けをつくることで、応募数を増やす。この考え方が大切です。
杉山:どんな手順で考えるのですか?
石井:企画の初期段階では、目的やターゲットを明確にした上で、仕掛け方法と実施チャネルについて検討します。その後、具体的な施策内容や応募スキーム、不正対策などを順に固めていきます。

応募条件に合わせたスキーム設計
杉山:応募スキームの設計で、工夫されていることや留意点はありますか?
石井:クローズド懸賞では、「購入証明」が設計の要になります。一般的なのはレシート画像の送付ですが、別の方法を用いる場合あります。
神林:あるお客さまのケースでは、製造工程にシール貼付の工程を加えていただき、シリアルナンバーで応募してもらうというスキームを採用しました。製造と販促の連携がうまくいくと、安心感の高い仕組みになります。
石井:ある飲料メーカーさまの商品は、自販機で販売されていてレシートが出ない上に、商品にバーコードがありませんでした。こうなると、通常の手法はほとんど使えません。
杉山:どうやって応募できるようにしたのですか?
石井:自販機の前で商品を手に持って撮影してもらい、それを応募画像として送ってもらう方式にしました。また、1日1回までの応募制限をかけることで、不正応募の防止にも配慮しています。
杉山:ほかに配慮していることはありますか?
石井:たとえば、高齢の方などスマホの操作に不慣れな応募者もいらっしゃるので、応募フォームのUI/UX設計で、なるべく迷わず入力できるように工夫しています。
神林:こうしたスキームは、製品や流通の条件によって最適な形が異なるため、商品特性や販路、製造工程、ユーザー属性などを踏まえて、柔軟に設計を変えています。

前編まとめ:応募を増やすには、一貫性が重要
スマートフォンを活用した店頭販促キャンペーンで多くのお客さまが応募したくなる仕組みをつくるには、単なるシステム知識だけでなく、企画から実務運用までを俯瞰できる視点が不可欠です。共同印刷が得意とする「一気通貫」の体制は、まさにこの全体最適を実現するための強みと言えるでしょう。
後編では、応募受付後の抽選・発送など、事務局運営について伺います。

【写真左】
共同印刷株式会社
プロモーションメディア事業部 営業1部
神林 聡
大学卒業後、大手印刷会社に入社し、流通業界をメインに折り込みや店頭販促物などの販売促進に関わる業務を担当。2004年に共同印刷入社後は、主に、通販、食品関係、メーカーの店頭販促に関わる業務を遂行する一方、当社の強みを生かし、出版社とのコラボレーションや、まんがのキャラクターIPを活用したキャンペーンの景品開発、運営などの実績を重ねている。
【写真右】
株式会社エンジン(共同印刷 パートナー)
ディレクター
石井 徳之
大学卒業後、編集プロダクションに入社、企画、制作管理を担当。2010年に広告代理店でマーケティングプランナーとして、芸能・音楽・化粧品・金融業界などのメディアプランニング、コンテンツ制作、Web制作、動画制作など幅広いマーケティング業務に携わる。共同印刷ではそのノウハウを生かし、プロモーション企画、Web制作、コンテンツ制作のディレクターとして活動中。
関連資料
-
-
商品を思わず手に取らせる 店頭販促ツール制作の3つのポイント
資料をダウンロード


