2024年10月にリアル開催して好評を博したセミナー「小売り課題に答える販促施策とは」のクリエイティブ編をわかりやすく記事化しました。小売り店が抱える課題の解決にメーカーとして貢献する際の心得と、8つの具体的なアイデアをご紹介します。
原稿執筆:共同印刷株式会社 コミュニケーションデザインセンター 神谷志朗
店頭販促物の「心得」と、2つの価値
まず、クリエイティブの前提としての「心得」について説明します。
当社には、オリエンテーションでお客さまからお聞きした戦略や商品情報、コンセプトなどの情報をより深く理解するための「心得」があります。それは、「ブランド価値」と「売り場価値」を正しく把握することです。
「ブランド価値」とは
「ブランド価値」とは、文字通りブランドが持つ価値のことです。この価値が消費者に伝わることが、「買う理由」につながります。そこで当社は店頭ツールを作る際、ブランド価値を消費者に対して正しく、わかりやすく、魅力的に訴求することを重視しています。
「売り場価値」とは
売り場が持つ魅力を「売り場価値」といいます。魅力的な売り場にはお客さまが集まり、買い上げ客数が増え、客単価もアップします。ゆえに当社では、売り場価値の向上、つまり売り場の活性化に貢献できることをめざして、店頭ツールを企画・制作しています。
これらの二つの価値を理解し伝えることが、店頭ツール開発における出発点であり、最も重要なことだと当社は考え、クリエイティブに取り組んでいます。
小売りの現場が求める店頭ツールとは?
店頭ツールが設置されない理由
メーカーは自社製品の売り上げアップのために店頭ツールを制作し、売り場に設置してもらうために小売り店へ送付します。しかし…そのうちの約6割は、使われずに破棄されているのをご存知でしょうか。
その理由は、「メーカーの理解不足」にあることが多いようです。当社では、具体的に2つの原因によって設置率が低下すると考えています。
(1)「売り場価値の向上に貢献する」という考え方が希薄、あるいは欠けている
(2)小売りの現場が抱える課題を理解していない
小売りの現場が抱える課題
一般的に、小売り店のスタッフは常に以下のような状況に置かれています。
(1)慢性的な人手不足
(2)時間が空いても、接客や他の作業をする必要がある
(3)日・週・月の売り上げに追われている
このような状態では、メーカーから店頭ツールが届いても、店頭に並べる時間がなかなか取れなくなります。また「売り上げ増加」の役に立ちそうにないツールは設置されません。
したがってメーカーが提供する販促ツールは、こうした状況を理解した上で開発する必要があるのです。言い換えると、店頭ツールは次の2つのポイントを満たす必要があります。
(1)売り場での手間を省ける
(2)小売り店の売り上げに貢献できる
小売り店とメーカー、双方の課題を同時に解決する8つの手法
上記(1)の課題は、「組み立てや陳列が楽になる店頭ツール」を提供することで解決できる可能性があります。また、(2)は「クロスセルできる店頭ツール」で実現できるかもしれません。
そこで今回は、具体的な8つの手法をご紹介します。
(1)梱包ラベル改善で設置率UP
小売り店には数多くの店頭ツールなどの販促物が届くため、中身がわからないと開封されず、そのまま破棄される可能性があります。
そこで梱包ラベルに、内容物に関する情報を、大きな文字ではっきりと記載します。
「このツールを使って、●●●店が売り上げ20%アップ」など、販促効果の高さを訴求するコピーを入れるのも有効です。
(2)設置しやすい汎用的な形態にして設置率UP
設置できる店頭ツールの形状や大きさは、小売り店の業態・規模・立地・客層などによって大きく変わります。
大型のツールを狭小店に送っても、使用される可能性はほぼゼロです。しかし個々の店舗の事情に合った形態やサイズに形態変化できる、汎用性の高い店頭ツールを送れば、設置率は高まります。
例えばこの事例では、吊り下げ・棚置き(ひな壇)・棚置き(並列)の3種類の置き方ができるようになっています。さまざまな設置ができることを、カートンや梱包ラベルに記載しておくのも重要です。
(3)あらかじめ商品をセットして設置率UP
当社の物流拠点にて、組み立て済みの店頭ツールに商品をセットしてから、小売り店に発送します。つまり、小売り店はカートンを開封したら、そのまま店内に設置するだけ。自分たちで店頭ツールを組み立てる手間や、そこに商品を陳列する手間が大幅に省けます。
(4)関連商品と組み合わせたセットで設置率+客単価UP
クロスセルを実現するためのアイデアです。当社の物流拠点にて、透明PETケースにメインの商品とそれに関連する商品の2種類をセット。これにPETシールPOPを貼り付けた状態で梱包し、出荷します。
パッケージから特別さが感じられるため、店内の注目度が高まります。買い物客は店内を歩いて商品を探す手間を省くことができます。
(5)試供品とセットしたサンプリングで設置率+買い上げ客数UP
当社の物流拠点で、商品に試供品をセットした「サンプル付きスペシャルパッケージ」として発送します。
サンプルは、買い物客の購買の動機づけになります。また、小売り店はサンプルをレジで手渡ししたり、自分たちで商品に添付したりする手間が省けます。
(6)同一商品の「まとめ買い」セットで設置率+客単価UP
当社の物流拠点で同じ商品を複数セットした状態で小売り店に送付。「まとめ買いセット」や「大容量パック」として販売できるようにします。
(7)ノベルティとのセットで設置率+買い上げ客数UP
当社の物流拠点で商品とノベルティをセットし、PETシールPOPを付けた上で発送します。
(5)のサンプリング同様、購買の動機付けや、小売り店でのノベルティ配付の手間の軽減化を実現できます。
(8)あらかじめ「シーズンギフトセット」で設置率+客単価UP
バレンタインやクリスマスなどのギフトシーズン用に、複数の商品を組み合わせたスペシャルパッケージを、あらかじめ当社の物流拠点で作成してから発送します。
買い物客のギフトニーズを喚起できるだけでなく、クロスセルも実現できます。
小売り課題を解決する、共同印刷グループの「物流加工拠点」
ご紹介した8つの手法は、いずれも「物流加工拠点をうまく活用している」という共通点があります。
共同印刷グループでは、販促物の企画制作から物流加工・保管・発送までをワンストップでご提供しています。もちろん、「8つの手法」の実現も可能です。
この「8つの手法」を物流加工・保管・発送の面から支えているのが、埼玉県越谷市にある、共同物流株式会社の「首都圏物流センター」です。販促品および商品の保管・セット・発送が可能。医薬部外品・化粧品・医薬品・医療機器など、業許可案件の実績も豊富です。施設の見学予約も随時承っています。
■首都圏物流センター(越谷)
施設概要
- ●延床面積:18,410 ㎡(5,570坪)
- ●保管パレット数:約8,000パレット
- ●機密作業室、クリーン作業室(2室)
- ●Pマーク取得済(個人情報案件対応可)
- ●3つの業許可と2つの登録業保持
主な取り扱い作業
- ●販促品/商品の保管・セット・発送
- ●業許可案件の保管・セット・発送
- ●メーカーさま商品短長期保管
- ●通信用機器回収作業
- ●輸送事業
許認可
- ●医薬品販売業許可証(卸売販売業)許可番号:第30048号
- ●化粧品製造許可証 区分:化粧品 包装・表示・保管 許可番号:11CZ200383
- ●医薬部外品製造許可証 区分:医薬部外品 包装・表示・保管 許可番号:11DZ200232
交通
- ●東京外環自動車道「草加IC」~約10分
- ●東北自動車道「浦和IC」・首都高「安行IC」~約20分
まとめ:ご相談はお気軽に!
今回は、売り場課題を解決する施策を、物流加工を中心にご紹介しました。
メーカー製品の「ブランド価値」と、小売り店の「売り場価値」を両立させて、双方の売上に貢献するという目的をクリエイティブのチカラで達成するのは、当社にとっては重要なミッションです。
同時に、「販促物や製品の物流加工・保管・発送」についても、販促施策を迅速かつ高品質に実施する上で、重要な役割だと考えています。
当社は、小売りへの提案を充実させたいメーカーご担当者から、さまざまなご相談を承っています。お気軽にご相談ください。
共同印刷株式会社
コミュニケーションデザインセンター
神谷 志朗
テレビ番組のディレクターを経て、2003年に共同印刷に入社。
入社後は、マーケティング戦略に基づいた制作業務を行う統括ディレクターとして活動。 アウトプットに捉われない幅広いディレクションを得意とする。
2020年からは、クライアントの店頭販促を支援する企画制作チームのマネージメントとディレクションを担当。
関連資料
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商品を思わず手に取らせる 店頭販促ツール制作の3つのポイント
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