オンラインとオフラインの多様なメディアを売り場として事業を展開する通販事業者さま。顧客のセグメントやMDの展開と並行して常に「メディア戦略」を再定義・再設計することで課題を解決し、事業の継続的な成長を実現しています。
そこでHintClipでは、通販メディアの生産性をアップさせるメソッドの基本的な考え方を、マーケティング編とクリエイティブ編に分けてお届けします。
原稿執筆:共同印刷株式会社 プロモーションメディア事業部 販促企画部
チーフプランナー 林 薫里
「売り場最適化」を実現する3つのポイント
通販における売り場(=メディア)を最適化するためには、以下の3つのポイントから、戦略を設計する必要があります。
(1)顧客理解
顧客データや競合他社・競合カタログの分析などを通じて、顧客インサイト(顧客自身も気づいていない、隠れた動機や本音)を発見します。そして分析結果やインサイトに基づき、市場における自社通販ブランドのポジショニングを行い、顧客戦略(どの層に、どんなアプローチをするかの方針)を再定義・再設計します。
この際、特に重要なのが「クラスター分析」です。自社通販ブランドの顧客を属性・購入頻度・購入額・購入商品のジャンル・会員歴…などから、似た特性を持つ人のグループ(クラスター)に分類します。生活者サイドの視点に立った分類にすることが重要です。クラスターがわかると、「どんなお客さまが、何を求めて、当社の通販ブランドを利用しているのか」が明確になります。
(2)メディアプラン(タッチポイント)の再定義・再設計
(1)で設計した顧客戦略をもとに、カタログやWebサイトなどのメディアの役割を再定義します。そして、その定義をもとにメディア展開の全体像を再設計します。お客さまに「どんな購買体験を提供したいか」を考えることが重要です。
たとえば、カタログでは媒体コンセプトや商品のこだわりを深く発信してブランディング機能を高める。いっぽうでWebサイトでは買いやすさや機能を高めて、カタログと連動することで購入を促進するといったシナリオが考えられます。
(3)ブランド再構築
(1)(2)の内容をもとにメディアごとのコンセプト(役割を果たすための指針。どんな売り場にすれば、そのメディア=売り場の役割を果たせるか)をつくり、ブランドを再定義・再構築します。そしてそのブランド定義にふさわしい「売り場」としての機能を最適化し、売り上げの拡大をめざします。
この「ブランド再構築」によって、主に二つの効果を期待できます。
①コンセプトの確立よる統一感
表現における「ブレない軸」をつくることができます。これにより商品訴求に統一感が生まれ、「ページごとにバラバラ」という印象を改善・払拭することができます。
コンセプトは制作関係者が、常に立ち返るべき概念となります。
②顧客獲得・売り上げアップの効率化
「誰に向けての売り場なのか」「誰のための商品なのか」が明確になるため、設定したターゲットに対し、より効率的にアプローチできるようになります。
「マーケティング施策」を再設計する2つのヒント
最適化した売り場で売り上げを伸ばすには、マーケティング施策の再設計も必要です。
通販ビジネスにおける売り上げは、以下の数式で算出できます。
売り上げ=顧客数(買い上げ顧客数)×商品単価×購入点数×購入回数
したがって、マーケティング施策は「顧客数を増やす」と「購入額(=商品単価×購入点数×購入回数)を増やす」の、2つの方向から展開する必要があります。
(1)「顧客数を増やす」ためのヒント
見込み客を探す
顧客分析や競合分析の結果などを利用して、購入予備群=見込み客を探します。
広告を活用する
ペルソナを設定し、そのペルソナと親和性の高いWebサイトやSNSなどに広告を出稿します。
(2)「購入額を増やす」ためのヒント
媒体全体の総価格を上げる
商品単価を上げるなどして、媒体全体の総価格をアップします。
まとめ買いを促す
複数の商品をコーディネートした売り場などで、まとめ買いを促進します。
関連買いを促す
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といったコーナーをつくり、クロスセルを促進します。
購入回数を増やす
商品をシリーズ化し、数回に分けて(あるいは定期的にリニューアルして)発売することで、継続購入を促進します。
UX・CXを高める
媒体のCX(Customer Experience)・UX(User experience)を高めることで、新しい顧客体験の提供や購入の利便性を向上させます。
まとめ
ターゲットを徹底的に理解することは、マーケティングの基本といえるでしょう。これは通販ビジネスにも当てはまります。ブランドの重要性についても同様です。
後編では、長年カタログ制作に携わるディレクターが「カタログ制作の効率化」についてのヒントをご提案します。

共同印刷株式会社
プロモーションメディア事業部 販促企画部企画開発課 チーフプランナー
林 薫里
広告代理店数社を経て、2022年共同印刷へ入社。広告代理店時のクリエイティブプランナー・営業の経験を生かし、現在は女性商材を中心とした販促企画や通販事業においてのコミュニケーション設計などに従事。マーケティング戦略から施策企画まで幅広い領域での取り組みを実施している。
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