「消費者から生産者へ」という通常とは逆の物流によって、サーキュラーエコノミーへの貢献が期待されているリバースロジスティクス。後編となる今回は、共同印刷グループが提供している「販促物のリバースロジスティクスサービス」の具体的な内容を、サービス開発に携わった佐藤英樹・仁瓶拓馬の二人が説明します。

ファシリテーター:HintClip編集長 杉山毅

共同印刷グループの販促物のリバースロジスティクスサービスとは

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杉山:共同印刷グループが展開する販促物のリバースロジスティクスサービスは、具体的にはどのような特徴がありますか。

佐藤:一般的なリバースロジスティクスでは製品や販促物を回収し、消費者・エンドユーザーやクライアント企業の目的に合わせて再生や破棄などの処理を行います。
しかし、当社の場合は回収した販促物を再度ユーザーの手元に届ける「循環領域」まで対応範囲を広げ、サーキュラーエコノミーに対応したサービスを提供しています。

仁瓶:回収した販促物は、埼玉県越谷市にある共同物流株式会社の「首都圏物流センター」にて、リファービッシュ(修理再生)を施し、再在庫化することができます。余計な横持ちが発生しないので、物流コストとCO2排出を削減できます。

佐藤:共同印刷グループは、総合力を生かして、印刷物や大型什器などの販促物の企画制作から製造、お客さま窓口代行、ロジスティクスまでをワンストップで対応できることが強みです。

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販促物のリバースロジスティクス構築事例① 店頭什器の回収・再設置

杉山:当社の販促物のリバースロジスティクスサービスにおける実績を教えてください。

佐藤:比較的多いのが、店舗からの店頭什器の回収です。量販店の大型什器の新旧入れ替えの際、当社が設置と撤去・回収を同時に実施します。

仁瓶:回収した什器は当センターでチェックを行い、問題ないと判断されたものは、別店舗へ再出荷し、当社が設置します。

杉山:お客さまにとっては販促物の管理業務が軽減され、販促費や廃棄物の削減にもつながりそうですね。

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販促物のリバースロジスティクス構築事例② 通信機器のリファービッシュ

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佐藤:次にある通信事業者の、リファービッシュの事例をご紹介しましょう。
エンドユーザー宅で一定期間使用された通信機器や電子機器の返却先窓口を当社が担当します。クライアント企業側のシステムと当センターのシステムを連携させ、回収品の仕分けを行い、リファービッシュを実施し、再在庫化します。
ちなみに、この通信機器はユーザーにサービス提供するための貸与機器ですが、通信事業者にとっては販促物でもあるのです。

仁瓶:そしてリファービッシュした在庫は次のエンドユーザー宅へ出荷し、通信機器の循環数を高めます。

佐藤: 一昨年、世界的な半導体枯渇問題が発生した際は、回収業務を高めることで通信機器供給不足の影響を最小限に抑えることに貢献し、お客さまからは高い評価をいただきました。

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リバースロジスティクス拠点「首都圏物流センター」

杉山:当グループのリバースロジスティクスサービスの拠点である「首都圏物流センター」について説明していただけますか。

佐藤:当グループである共同物流が運営する、2019年に竣工した物流拠点です。建屋に巨大な屋根(ひさし)があり、大雨の中でも大型トラック数台が、濡れることなく荷受けできます。

杉山:販促物のロジスティクスセンターとしてはどんな機能がありますか。

仁瓶:プライバシーマークを取得しており、セキュリティ対策が万全です。また「化粧品製造業」「医薬部外品製造業」「医薬品販売業」などの各種許認可を取得しており、許認可に対応したセット梱包などの作業が可能です。
構内にはエアーシャワーを備えたクリーンルームを完備し、化粧品GMP(※)に準拠した運用をしています。管理薬剤師も常駐しています。

※化粧品GMP 日本化粧品工業連合会が国際規格であるISO 22716を自主基準として採用しているGMPのこと。化粧品業界のスタンダードな基準として定着しています。

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サーキュラーエコノミーの視点から、全体最適化を!

杉山:企業が「製品」だけではなく「販促物」においても環境・社会課題の解決が求められるなか、販促物のリバースロジスティクスの今後のビジョンについて、お二人の考えをお聞かせください。

佐藤:最近はSDGsやESGなど、環境への意識も以前とは比較にならないくらい高まっています。「持続可能」に関連したキーワードや取り組みは増々重視され、サーキュラーエコノミーもスタンダード化していくと感じています。

仁瓶:リバースロジスティクスはその一部として機能するので、当社も含めたサプライチェーン全体で、より効果的で持続可能なリバースロジスティクスの運用を実現できれば、資源の浪費を抑え、経済的な効率の向上もより実現しやすくなるのではないでしょうか。

杉山:そうですね。しかし一方で、リバースロジスティクスの難易度もさらに高くなる可能性があるのでは?

佐藤:だからこそ、当社のような存在がクライアント企業に伴走するかたちで、川上から川下までトータルにサポートすることができれば、企業視点からも社会視点からも、全体最適化がしやすくなるのではないでしょうか。

杉山:本日は、環境・社会課題を解決しながら、経済的メリットのある施策「リバースロジスティクス」について興味深いお話をしていただき、ありがとうございました。

共同印刷株式会社

プロモーションメディア事業部 販促企画部 企画開発課 シニアディレクター

佐藤 英樹

2004年共同印刷に入社。前職のデザイン制作会社ではカタログ媒体、家電プロダクト、展示会ブースなどのデザインや意匠を担当。入社後は制作部門にて店頭販促物や店頭什器などのディレクション業務に長らく従事したのち、品質保証部を経て、2022年4月からプロモーションメディア事業部販促企画部に在籍。現在は販促物ロジスティクスに関連する企画提案や業務進行管理などを主に担う。プロモーショナル・マーケター。

共同印刷株式会社

情報コミュニケーション事業本部 生産管理部 企画業務課

仁瓶 拓馬

2023年共同印刷株式会社入社。前職でロジスティクス(アッセンブリ、配送・運送、 保管、お問い合わせ事務局など)の営業を担当。入社後はロジスティクス業務の企画設計、進行・品質管理を主に担う。ロジスティクスのエキスパートとして、現場目線での改善提案も幅広く行っている。

共同印刷株式会社

ビジネスマーケテイング部 HintClip編集長

杉山 毅

1982年共同印刷株式会社入社。商業印刷部門の企画営業を経て、1987年よりセールスプロモーション部門でクライアントの事業戦略・マーケティング戦略のプランニングから、広告・広報・販促の各種ツール・メディアのクリエイティブ・ディレクションを担当。2008年からコーポレートコミュニケーション部門にて広報、IR・総会、サステナビリティなどを部門長として担当。2017年の自社の創立120周年では、CIとコーポレートブランド再構築を含む周年事業を統括管理。2020年4月から現職。

私たちがお役に立てること 販促物在庫&物流管理システム「LOGISMART®」 「LOGISMART®(ロジスマート)」は、販促物の在庫&物流管理アウトソーシング・ソリューションサービスです。 詳細はこちら

私たちがお役に立てること 環境に配慮したモノづくり TOMOWEL SUSTAINABLE MODELs 企画、納品、回収まで含めた印刷物やPOPなど制作物を通じ「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に取り組むお客さまを支援します。 詳細はこちら

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