「SDGs」の理念は広く社会に浸透してきており、ビジネス分野においても、国際目標であるSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた取り組みを企業が活発に進めています。
また2022年4月から施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」、通称プラスチック新法を受け、日本国内におけるプラスチック資源の循環への取り組みは急務となっています。
海洋プラスチックごみ問題は深刻化しており、環境省(※)によれば、毎年、約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出しているという試算や、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという試算もあります。
そうした状況を受け、企業の販促部門としてもSDGsやプラスチック資源の循環への取り組みを強化したいものです。そこで今回は、最近増え始めているSDGs貢献を意識したノベルティグッズをご紹介します。
※出典:環境省「環境白書」
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r01/html/hj19010301.html
販促部門が実践できるSDGsへの取り組み
企業のマーケティングや販促部門の多くは、すでにSDGsへの何らかの取り組みを始めているのではないでしょうか。
そもそも、ビジネスにおける環境対応のメリットとして、消費者に対しては「環境ブランディング効果」が期待できる点があります。「環境負荷の低減や環境保全に貢献している企業である」ことをSDGsへの取り組みを通して伝えることで、企業ブランドの価値向上につながります。
また、投資家に対してはESG(※)の取り組みを発信でき、社員に対してはサステナビリティ意識の向上につながります。
今後、さらに取り組みを強化していきたいところですが、販促部門が実践できるSDGsへの取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。
その一つが、店頭什器やPOP、ノベルティグッズなどの販促物のサステナビリティ(持続可能性)を検討することです。例えば、次のようなアプローチ方法があります。
- ・販促物の素材を環境配慮型のプラスチックや認証紙、段ボールなどの環境にやさしいものに代替する。
- ・リサイクルなどを考慮した循環システムを構築する。
- ・販促物の外装箱をそのままディスプレイ什器にするクイックディスプレイを採用する。
- ・物流効率化システムを利用し、販促物の物流を効率化してCO2排出量や販促物の廃棄量を削減する。
- ・販促物製造時や運搬時のCO2排出や、廃棄の課題を解決できる「配信型デジタルサイネージ一体什器」を採用する。
※ESG: 環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉です。気候変動や人権問題などの世界的な社会課題が顕在化しているなか、ESGに配慮した取り組みを行うことは、長期的な成長を支える経営基盤の強化につながると考えられています。
SDGsに関連するノベルティグッズの「提供メリット」
SDGsに配慮した販促物のなかでも、現在、ノベルティグッズが特に注目を集めています。SDGsを意識したノベルティグッズを提供することで、次のようなメリットが期待できます。
- 1.エシカル消費への関心が高まる今、注目を集めやすい
「エシカル消費」という言葉に代表されるように、現在、「環境に配慮した商品・サービスを購入したい」と考える消費者は増えています。
当社のWIC@LAB事務局が2020年と2021年に実施した女性10,000人へのアンケート調査結果では、「サステナビリティ」と「エシカル消費」という言葉について「聞いたことがない」は2020年で69.9%だったところ、2021年は58.9%と減少し、「聞いたことはあるが、詳しくは知らない」は2020年で18.0%だったところ、2021年は24.7%と変化しました。認知度が着実に上がってきていることがわかります。
ノベルティグッズにエシカルな視点を盛り込むことで、消費者から注目を集めやすくなってきているといえます。
多様化する女性のインサイトをとらえるマーケティング・ラボ「WIC@LAB」
https://wicalab.com/ - 2.ブランド価値の向上
SDGsを配慮したノベルティグッズを展開することで好感度が上がり、企業や製品のブランド価値をさらに高めることができます。環境や社会の課題の解決につながるノベルティグッズを日常的に使用してもらえることは、意識の高い顧客のロイヤルティ向上につながると考えられます。 - 3.EC商品との同梱でリピーター創出
コロナ禍で急速に進んだECですが、商品を届ける際、同梱物としてノベルティグッズをプレゼントする店舗もみられるようになりました。激戦となるEC市場において、好感度アップと共にリピーター創出の施策にもつながります。
SDGs関連のノベルティグッズを通じて、どのように課題解決に取り組むか
SDGsへの取り組みをノベルティグッズで支援するには、さまざまな角度からの取り組みが考えられます。そこで、ノベルティグッズを採用する際のポイントとして、アプローチの考え方をご紹介します。
- 1.プラスチック不使用
プラスチックは、自然分解されないことから環境流出が懸念され、海洋プラスチック問題や廃棄時のCO2排出にもつながります。プラスチックを一切使わないノベルティグッズには、ステンレス製のタンブラーや木製の箸、石灰石を主原料にした素材を使用したクリアファイルなどが考えられます。 - 2.環境配慮型のプラスチックや再生プラスチックの使用
プラスチックのなかでも、環境負荷の少ない素材を利用する方法です。
代表的なのがトウモロコシやサトウキビなど、植物由来の原料を利用したバイオマスプラスチックというプラスチックです。
また、ペットボトルなどのプラごみを回収し、再生プラスチックとして再利用するマテリアルリサイクル (パレットやボールペン、クリアファイル、ハンガーなどに再生)という方法もあります。 - 3.FSC認証紙使用
きちんと管理された森林で伐採した木材を用いて製品などを作り、販売して得られた利益を生産者に還元する国際的な取り組みである「FSC認証」は、SDGsに貢献する代表的な認証制度です。
ノートやティッシュペーパーなどの紙にFSC認証紙を用いることで、SDGs配慮のノベルティグッズを制作できます。 - 4.フェアトレード
フェアトレードとは「公平・公正な取り引き」を指す言葉で、開発途上国で生産された原料や製品を適正な対価で継続的に購入することで、作り手の生活や労働環境の改善、自立をめざす貿易・取り引きの仕組みです。
このフェアトレードで取り引きされた原料を利用してノベルティグッズを制作することも、SDGs配慮の一環となります。
まとめ
販促部門のSDGsのゴール達成のための取り組みのなかでも、環境に配慮したノベルティグッズは、購入の動機付けとなるだけではなく、消費者にエシカルなコンセプトが伝わりやすく、ブランディング効果にも大きく寄与します。
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