店頭販促に関わる皆さまを対象に、店頭販促の基礎と今後の可能性を紹介するシリーズ企画。最終回は「店頭DX編」です。
コロナ禍が終息しつつある現在、店舗ではどんな顧客体験が必要か。
共同印刷株式会社プロモーションメディア事業部の領家隆志が、マーケティングデータから見えた消費トレンドと、新たな顧客体験を実現するための「店頭DX」についてご説明します。
■Part 1. アフターコロナの消費行動
コロナ禍によって大きく変化した消費スタイルは、アフターコロナの時代になって再び大きく変わり始めています。例えば、ある市場調査会社が2023年7月に実施したリサーチによると、コロナ禍が一段落した現在、リアル店舗に消費者が戻りつつあります。
また別の調査会社が2023年4月に実施したリサーチでは、消費者のコスト意識は高まっています。特に化粧品や日用品、家電などについては消費意欲が低くなっています。しっかり比較検討してから買う傾向が以前より強くなっていることがわかります。
他にはどんな傾向・特徴があるのでしょうか。他のマーケティング調査結果をもとに分析してみました。
(1)新商品の認知および購入のきっかけ
店頭ツールが購買決定に大きな影響を与えています。
出典:株式会社ネオマーケティング「通販サイトと実店舗の使い分けに関する調査」(2022年11月)
https://neo-m.jp/investigation/3837/
(2)購入を決めた理由に対する店頭ツールの影響
店頭ツール・販促物による商品説明が、購買に大きな影響を与えています。
出典:株式会社mitoriz「販促物に関する実態調査」(2023年4月)
https://note.com/mitoriz2022/n/neb4cc6da4967
?株式会社mitoriz POBレシート会員調査
(3)継続購入する理由(継続購入商品がある場合)
自分に合っている商品や、満足している商品を継続購入する傾向があります。
出典:株式会社ネオマーケティング「なぜその商品を買うのか?消費者を購買に駆り立てる決め手とは」(2020年8月)
https://column.neo-m.jp/column/marketing-research/-/79
(4)高額商品購入の決定要因(化粧品の場合・女性)
商品が高額になるほど、試用が決め手となって購入しています。
「gooリサーチ」調べ 出典:NTTコム リサーチ(旧gooリサーチ)「化粧品購入行動に関する調査結果」(2022年7月)
https://research.nttcoms.com/database/data/002191/
●分析まとめ:アフターコロナの消費行動とは
以上の調査データから、家電・日用品・化粧品などにおける消費行動には、以下のような傾向があるといえます。
- ①比較検討して、必要なものだけを買う
これまで以上にしっかりと商品を比較検討して、必要なものだけを買うようになっている。 - ②店頭販促物が、認知・購買のきっかけになる
新商品を「知る」きっかけや「買う」きっかけとして最も影響度が高いメディアは、店頭ツールである。 - ③自分に合っていれば買う
商品の品質に満足し、自分に合っていると感じることで、継続的に購入する。 - ④高額商品は試してから買う
初めて買う商品の場合、試用してから買っている。商品が高額になるほど、この傾向も高くなる。
■Part 2. アフターコロナの「店頭DX」に求められるもの
Part 1.の分析結果をさらに考察すると、消費者は店舗に以下のことを求めていると考えられます。
- ・物価上昇もあり、比較検討して必要なものだけを買いたい。
- ・店頭で商品を理解・比較するためにPOPが役立つ。
- ・POPの情報によって、「自分に合っている」商品かを判断したい。
- ・さらに、実際に試用して「自分に合っている」商品かを確かめたい。
この「自分に合っている」商品かを比較検討したいニーズに、店舗やメーカーはDXを用いて、どのようにコミュニケーションしていくべきか、当社の考えを説明します。
●店頭DXで必要な視点
店頭では、「消費者が納得できる情報の提供」が不可欠です。したがって、店頭DXでは以下の3点を実現する必要があります。
- ① 顧客最適化…「自分に合っている」とより多くのターゲットに感じさせる。
- ② 情報量…一度に訴求する情報量を過多にしない。しかし、全体としての情報量は十分にする。
- ③ 適時性…情報をタイムリーに届ける。常に鮮度の高い情報を発信する。
また、商品を実際に使っていただくことは特に重要ですが、店頭での試用には限界があります。従って、以下の点も必要です
- ④疑似体験…テスターやサンプルで実体験させることが困難な場合、商品を疑似体験させる。
●アナログツールの限界
前述の①~④は、アナログの店頭ツールでは実現が困難な場合があります。そこで当社がおすすめしているのが、「デジタルサイネージ」の活用です。ただし、より高度な機能を搭載している必要があります。
●店頭DXとしてのデジタルサイネージに求められる機能
- ①顧客最適化…情報の「出し分け」
・スケジュール配信…来客層に応じて曜日別・時間帯別に情報を差し換え、ターゲットに最適化。
・センサー連動…顧客が手に取った商品に関する情報を自動で発信。
・AIカメラ連動…棚前にいる顧客の年齢・性別に合った情報を自動で発信。
・ビーコン連動…スマホ用アプリなどで取得した顧客の詳細な属性情報に合った情報を自動で発信。
・タッチパネル…顧客が操作することで、必要な情報を選択・取得できるようにする。 - ②情報量…「必要十分」な情報量の確保
・スライド化、動画化
・タッチコンテンツ化
・Webページ連動
・画面分割…一つの画面を分割し、複数の情報を同時に見られるようにする。 - ③適時性…デジタルの強みを生かした配信情報管理
・スケジュール設定…期間限定コンテンツ配信などに活用。
・オンライン配信…新商品情報やキャンペーン情報などを、複数の店舗に一斉配信。顧客の反応に応じて情報や表現を差し替え。 - ④疑似体験…デジタルならではのコンテンツ
・わかりやすさを重視した動画コンテンツ…使い方の詳細説明、効果の動画説明など。
・体験型コンテンツ…バーチャルメイク、肌診断など。
・ギミック、見せ方の工夫…リアルとの融合や、モニターに見えない仕掛け・演出など。
■Part 3. 配信型デジタルサイネージ一体什器「デジタルゴンドラ」のご紹介
「タイムリーな発信で販促効果を高めたい」「新しい顧客体験を提供したい」「業務負荷を軽減したい」という声に応えるために、共同印刷が開発した配信型デジタルサイネージ一体什器「デジタルゴンドラ」をご紹介します。
販売什器、デジタルサイネージ、コンテンツ配信システムをワンパッケージ化しました。
アフターコロナ時代の店頭販促に役立つ、さまざまな機能を搭載しています。
- ●画面から最も近い位置に商品を陳列可能!
- ●意匠権を取得したオリジナル形状
- ●コンテンツの作成と設定も簡単!
- ●配信も関係者のやりとりもスムーズで、業務負荷を軽減!
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共同印刷株式会社
プロモーションメディア事業部 営業第二部 部長
領家 隆志
2006年共同印刷入社。商業印刷部門の営業担当として、家電、化粧品、自動車、玩具などのメーカーやテーマパーク、自治体などさまざまなクライアントを担当し、集客プロモーションやコミュニケーション促進施策の企画推進に従事。2018年より全国スーパーマーケット協会による未来のスーパーマーケットを考えるプロジェクト『Future Store ”NOW”』の運営に参画し、そのテーマの一つとしてデジタルゴンドラの開発を行う。プロモーション施策などの提案を行う企画部門を経て、2023年4月より現職。
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