東武ホープセンターが挑戦するOMO! サイネージ一体型Pop-upストアの可能性を探る [前編]

消費者のオンライン・オフラインを問わないシームレスな購買活動への対応を始め、急速な改革が求められている百貨店の売り場。
共同印刷では2022年から、株式会社東武百貨店が運営する池袋駅西口地下街「東武ホープセンター」と、サイネージ一体型のPop-upストア「BRIGHT marche(ブライトマルシェ)」※の実証実験を行っています。
Hint Clipでは、東武百貨店で東武ホープセンターを管理されている山田さまと、共同印刷 販促企画部の中野との対談を通して、実証実験の評価、そしてOMOの現状と可能性について前後編で探っていきます。

〈ファシリテーター〉Hint Clip編集長 杉山 毅

※サイネージ一体型OMO Pop-up ストア 「BRIGHT marche」とは
大型サイネージ動画とショーケースでのリアル展示の両方で、商品をハイブリットに訴求します。アプリのダウンロードが不要で、スマホでQRコードから手軽に商品チェックが可能に。さらにダイレクトにECに誘引できるので、オンラインとオフラインを融合する新しい売り場を実現します。

BRIGHT marcheがピンチをチャンスに変える仕組みだった

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杉山:本日お話をお聞きするにあたって、まずは山田さまの業務内容についてお聞かせください。

山田:株式会社東武百貨店に入社し、まずは売り場の知識を得るためにリビングや紳士インポートカジュアル、ゴルフなどの売り場で販売、仕入れを経験しました。6年前にグループの東武鉄道へ出向して3年間賃貸業に携わり、現在はその経験を生かして、池袋駅西口地下街「東武ホープセンター」の管理全般を行っています。
そのなかで、広告に関する課題を抱え、今回のお話のメインとなるBRIGHT marche(以下BM)のような、デジタルデバイスの活用を初めて検討しました。

杉山:ありがとうございます。このたびOMO無人ショップであるBMを導入いただいた経緯と理由についてお教えいただけますでしょうか。

山田: 以前からOMO無人ショップの活用は検討していました。当時は実現に至らなかったのですが、その後、改めて当施設での活用を再検討し始めました。
私は今回の導入のタイミングで初めてサービスの説明を受けたのですが、これなら池袋西口地下通路の有料広告面で活用することができるのではないかと部門内で話し合いました。
当時は、皆さんも目のあたりにしたように、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け壁面広告が日に日に減ってしまう状況でした。各企業が在宅勤務を実施するなか、池袋も驚くほど人通りが減少し、広告の掲出者さまも収益が落ちて広告宣伝費の見直しを行っていました。その影響で当社の紙媒体による広告面に空きがでる状況になってしまいましたが、このピンチをチャンスに変えるために、共同印刷さまのBMを活用させていただくことを決断しました。
この取り組みは新しい宣伝方法というだけでなく、当施設が「池袋西口の目印となる新しい場所」を作るという役割を担うことになると考えました。ただモノを売る場所というだけでなく、認知が広がり、いずれは待ち合わせ場所としてご利用いただけたら嬉しいです。

中野:私も学生の頃からずっと池袋駅を利用しています。以前はモニターが40台並んだ「40面」が待ち合わせスポットになっていましたが、残念ながら無くなってしまいました。これからは「ブライトマルシェの前で待ち合わせね」という場所になれば素晴らしいですね。

OMOの仕組みだけでなくコンテンツ力がカギ

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杉山:共同印刷からのご提案のポイントはどのような点だったのでしょうか。

中野:OMOは当社としても中期経営計画に定められている注力テーマですが、売り場を持つ流通・小売りのお客さまにとっても重要なテーマです。
BMはアプリダウンロードが不要で、手軽にオンラインで商品をチェックするだけではなく、リアルに商品展示ができることで、新しい顧客体験を創出します。さらに、サイネージやチラシ・ポスターのQRコードから、ダイレクトにECに誘引が可能なので、“オンラインとオフラインを融合する新しい売り場を実現する”という切り口が重要なポイントでした。
今回は、話題性の高い「バンクシー」と野球日本代表の「侍ジャパン」のグッズという、商品力の強さもポイントです。さらに限定感を打ち出すために、受注生産方式を基本としています。
この生産方式により、無駄な在庫を抱えないという経営効率だけではなく、省資源とCO2削減を実現するというサステナブルなビジネススタイルをご提案できたと思っています。
OMOは売り場の人手不足が叫ばれるなかで、ムダをなくして売り場の業務効率をあげていく有効な手段だと考え、多様なご提案の核の一つとして進めています。

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東武ホープセンターが挑戦するOMOは@DINEでも紹介されました。
https://dime.jp/genre/1579393/

山田:
現状では、リアルな売り場をそのままネット販売に切り替えて、採算面でもすぐに成功と判断できる商材はなかなかありません。しかし、お中元・お歳暮ギフトなど、独自性や利便性が高い方法を採用すれば、必ず成功する方法はあると思います。
私の感覚では、生活必需品などはネットで買うケースが多いと感じています。ファッションのようなサイズや素材感を確かめたい商品、こだわりの逸品などはリアルの売り場を利用するという使い分けがされています。
その点で、情報発信にも活用でき、サンプルを目で見て確認しながら、さらに家でも買えるという便利さ、付加価値のご提供が可能なBMは、売り場のミッションとしても有効なツールだと感じています。

複合的な役割を持つ場が求められている

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杉山:デジタルデバイスの活用は初の試みとおっしゃっていましたが、BMの設置から約1年経った今、社内的にはどのように評価をされているのでしょうか。

山田:さまざまな企業の方とお話をしましたが売り場としてだけでなく、プロモーション・宣伝場所としての魅力を多くの人が感じています。池袋駅に隣接した立地で動画と商品の実物サンプルを使用した宣伝ができる。もし同様の取り組みをポップアップで行おうとすると、場所、物、人と莫大な費用がかかります。BMは販促からショッピングまでを省スペースかつ一定のコストでカバーできる施策として、社内的に評価されています。

中野:ただのデジタルサイネージではなく、現物を置ける展示スペースがあるのが大きいと思います。当社には「Digital Gondola®(デジタルゴンドラ)」という棚とサイネージを兼ねた商品もありますが、訴求するだけ、販売するだけでなく、さまざまな顧客接点が複合的な効果を持つことの重要性が高まっています。今回の取り組みは話題性も評価いただけましたが、BMでより話題性を広げるためにはどうするか、という点で次に向けた課題も見えました。

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山田3月の侍ジャパンの大きな盛り上がりに合わせた、リアルな売り場での「侍ジャパン応援弁当」の販売では、共同印刷さまのご提案で、リアルな売り場とBMとで相互の宣伝をおこないました。お弁当も大変好評で、やはり皆さん自分を盛り上げたい、より楽しみたいという需要が大きかったなと感じています。

中野:スポーツやアニメのコンテンツなどさまざまな展開が見えてきましたね。それがBMだけで完結するのではなく、東武百貨店さまの店舗や催事場と連携するなどの可能性も考えられます。

山田:今後、共同印刷さまとは、さまざまな取り組みをしたいと考えています。例えば東武百貨店では、さまざまなコンテンツの催事やコラボ企画を開催しておりますが、貴社が提案されたコンテンツを生かしたイベントや販売会を行い、その宣伝・集客をBMが担う。イベント期間中にBMにタッチした方はそのログをスマホに残して、会場に来ていただければ特典があるなど、一例になりますが、連動性を高めることによって、提案の幅が広がると思っています。

中野:そうですね。当社は印刷会社として多くの出版社さまとのお取り引きがありますので、まんがやアニメコンテンツの活用などは実現性が高いと思っています。

>後編ではBMのこれからの可能性、ビジョンについて語っていただきます。

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東武百貨店

株式会社東武百貨店 池袋店 ホープセンター事業部 営業課
課長 山田 純士
2005年株式会社東武百貨店入社後、リビング用品、紳士服インポートカジュアル、ゴルフ売り場の販売および仕入れを担当。その後、グループの東武鉄道株式会社にて賃貸業(商業)に携わり、現在は池袋西口地下街「東武ホープセンター」の運営管理業務を担当。

共同印刷株式会社

共同印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 事業企画部
みらい創造戦略プロジェクト チーフプロデューサー 中野 秀治
1994年共同印刷入社後、商業印刷の営業として、数多くの得意先の販促支援を担当。マーケティング、クリエイティブ領域の強みを武器に、主にメーカーさまを得意先として、店頭販促の什器やPOP、キャンペーンなど案件を多く手掛けたのち、クリエイティブ部門の部長、プロモーションメディア事業部の販促企画部長(取材当時)などを歴任。2023年4月より、情報コミュニケーション事業本部「みらい創造戦略プロジェクト」のリーダーを務めている。

共同印刷株式会社

共同印刷株式会社 ビジネスマーケテイング部
Hint Clip 編集長 杉山 毅
1982年共同印刷株式会社入社。商業印刷部門の企画営業を経て、1987年よりセールスプロモーション部門でクライアントの事業戦略・マーケティング戦略のプランニングから、広告・広報・販促の各種ツール・メディアのクリエイティブ・ディレクションを担当。2008年からコーポレートコミュニケーション部門にて広報、IR・総会、サステナビリティなどを部門長として担当。2017年の自社の創立120周年では、CIとコーポレートブランド再構築を含む周年事業を統括管理。2020年4月から現職。


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