現在、消費者が日々利用する主な購買チャネルには、ネット通販、カタログ通販、実店舗があります。それぞれのチャネルでは、どのような消費者が、どのような商品を、どのような理由で購入してているのかを最新の調査結果から探ってみました。
前編では「ネット通販」と「カタログ通販」の利用傾向をご紹介しました。
後編の本記事では、「実店舗」の利用傾向と「3つのチャネルの強み」をご紹介します。


【目次】
[前編]
第1章 ネット通販の利用傾向
(1)ネットで購入する商品の傾向
(2)ネットで購入する理由
(3)ネットでの購買行動の特徴

第2章 カタログ通販の利用傾向
(1)カタログで購入する商品の傾向
(2)カタログで購入する理由
(3) カタログでの購買行動の特徴

まとめ

[後編]
第3章 実店舗の利用傾向
(1)実店舗で購入する商品の傾向
(2)実店舗で購入する理由
(3)実店舗での購買行動の特徴

第4章 ネット通販・カタログ通販・実店舗の強みまとめ
(1) ネット通販の強み
(2) カタログ通販の強み
(3) 実店舗の強み

まとめ


第3章 実店舗の利用傾向

続いて、実店舗の利用傾向についてみていきましょう。

(1)実店舗で購入する商品の傾向

・「食品」「日用雑貨」「医薬品」が上位に

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ネオマーケティングが2021年9月に、全国の20歳~79歳の男女1000人を対象に行った「リアル店舗とオンラインショップ」をテーマにしたアンケート調査結果では、商品ジャンルごとの、普段の買い物における購入場所が「主に実店舗」「主にオンラインショップ」「実店舗とオンラインショップ半々」のいずれかなのかを知ることができます。結果、すべてのジャンルの商品が、「主にオンラインショップ」よりも「主に実店舗」で購入する人が最も多い結果となっていました。

「主に実店舗」と回答されたものは1位「食品・飲料・酒類」68.9%、2位「日用雑貨」55.4%、3位「医薬品・健康」51.1%でした。

一方で、「本・CD・DVD」「ゲーム・ホビー」については、実店舗とオンラインショップで購入する人の割合の差が少ない傾向があるため、この2つのジャンルについてはオンラインショップで購入するメリットが他ジャンルよりも多いと考えられます。

(2)実店舗で購入する理由

・「商品を直に見て比べたい」「すぐに手に入れたい」から

ネオマーケティングの同調査結果によれば、「主に実店舗」で購入すると回答したものについて、実店舗で購入する理由を4つのカテゴリで調査。そのTOP3は、それぞれ次の結果となりました。

「衣服・ファッション小物」
1位 その商品を直に見て決めたいから 56.8%
2位 陳列棚にある商品全体を見たいから 27.7%
3位 すぐに手に入れたいから 21.7%

「食品・飲料・酒類」
1位 その商品を直に見て決めたいから 42.7%
2位 すぐに手に入れたいから 41.7%
3位 陳列棚にある商品全体を見たいから 27.9%

「家電・TV・カメラ」
1位 その商品を直に見て決めたいから 49.3%
2位 陳列棚にある商品全体を見たいから 27.1%
3位 販売員の説明が聞きたい・相談したいから 23.9%

「美容・化粧品」
1位 その商品を直に見て決めたいから 39.4%
2位 すぐに手に入れたいから 26.5%
3位 陳列棚にある商品全体を見たいから 25.4%

全ジャンルを通して、実店舗では「商品を直に見て、陳列棚にある商品全体を比較しながら買いたい」と「すぐに手に入れたい」というニーズが強いことが分かります。

・使い分け基準は「安いかどうか」や「クーポンの有無」、「緊急性」

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また、ネオマーケティングの同調査では、実店舗とオンラインショップ半々で購入すると回答したものについて、その分け方を「衣服・ファッション小物」「食品・飲料・酒類」「家電・TV・カメラ」「美容・化粧品」のジャンルを見てみると、ジャンルすべてにおいて、「安いかどうか」や「クーポンの有無」などの「価格」での判断が最も多く、「緊急性」も多い結果となりました。

・化粧品はネット通販化率が低く、まだ実店舗の利用ニーズが高い

数ある商品カテゴリのなかでも、「化粧品・医薬品」についてはネット通販化が進んでいないカテゴリの一つで、いまだに実店舗購入にニーズがあります。

経済産業省の「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、「化粧品・医薬品」カテゴリのネット通販化率は2019年で6.0%、2021年で6.72%です。これは、「生活家電・AV機器、PC・周辺機器等」の37.45%や「書籍、映像・音楽ソフト」の42.97%、「生活雑貨、家具、インテリア」の26.03%、「衣類・服装雑貨等」の19.44%(いずれも2020年のデータ)と比べると少ないといえます。

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化粧品については、特に、ドラッグストアや専門店で数百円から買える低価格化粧品の需要が強いことから、わざわざネット通販で送料を負担して購入するという行動になりにくいといわれます。また、ブランドコスメのような価格の高い化粧品を購入する際は特に、実店舗で商品を試したいというニーズもあります。

(3)実店舗での購買行動の特徴

・販売員との会話や、はしごして商品比較がキーワード

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先のネオマーケティングの同調査では、実店舗での商品購入までの行動の特徴についても知ることができます。

実店舗では、「販売員に相談する」が27.0%で最も多く、次いで複数店舗をはしごして商品を比較する」が24.9%、「その場でスマホからオンラインショップと値段を比較する」23.6%と続きました。実店舗内での購入の際にも、ネット情報を活用しているようです。

・「店舗で見てネットで買う」のか「ネットを参考に店舗で買う」のか

オンラインショップでの商品購入までの行動につては、「口コミサイト・掲示板を見る」が32.3%とトップで、次いで「ブラウザ検索して商品自体の詳細を見る」が29.3%、「実店舗にも行って実物を確かめる」が26.7%となりました。ネット通販購入の場合も実店舗を活用しています。
いわゆる「ショールーミング」や「ウェブルーミング」の実態が数字で表されていますね。

第4章 ネット通販・カタログ通販・実店舗の強みまとめ

複数の調査結果から、ネット通販・カタログ通販・実店舗のチャネルの購入傾向の特徴を見てきました。得られた特徴を踏まえて、それぞれのチャネルの強みをまとめます。

(1)ネット通販の強み

  • ・日配品、食料品などは大きい・重い商品やまとめ買いの利便性が高い
  • ・実店舗に足を運ぶ時間や体力の余裕がない場合に利便性が高い
  • ・実店舗より安く手に入ることがある
  • ・自宅でゆっくり選べる
  • ・買い物に出かけづらいシニア層にとって利便性が高く利用者が増えている
  • ・実店舗での買い物を面倒に感じるのは意外にも若年層に多く、ネット通販利用を後押ししている
  • ・コロナ禍の自粛生活への適応性が高い

(2)カタログ通販の強み

  • ・高齢者の利用者が多い
  • ・定番の衣料品は機能性インナーやコート類などに強い
  • ・カタログでしか買えない逸品を手に入れられる
  • ・商品の背景や機能性などに共感してから買える
  • ・関与度の高い商品を自宅でゆっくり選べる

(3)実店舗の強み

  • ・まだメインは実店舗購入の品がほとんど
  • ・商品を直に見て、他商品とも比べられる
  • ・配送を待たず、すぐに手に入れられる
  • ・「化粧品」はネット通販より実店舗の利用ニーズが高い
  • ・「家電」などは特に販売員に相談しながら買える

このように、それぞれのチャネルにはそれぞれの強みがあり、ネット通販と実店舗については、特に両方をうまく行き来しながら、購入場所を決めている実態があります。

まとめ

コロナ禍でネット通販がより浸透したことで、チャネルごとの利用実態に変化が現れ、消費者のチャネルの使い分けはより複雑化しました。
特に、ネット通販の利用状況において高齢者が増えたことから、年代による大きな差が見られなくなったことと、購入カテゴリが実用的な消耗品にも拡大したことが大きな要因といえます。
多くの消費者は、商品購入前にマス媒体やネット、口コミなどからさまざまな商品情報をリサーチした上で、最適と感じる場所で買い物をしている実態がよくわかりました。
ネット通販、カタログ通販、実店舗の特長と利用実態を踏まえて、チャネルミックス、OMOなどの戦略を立案し、チャネルごとに最適なプロモーションを展開することが重要です。

【調査出典】
ネオマーケティング インターネットリサーチ「リアル店舗とオンラインショップ」(2021年)
経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」(2020年)


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