Webに比べて紙メディアの方が制作・印刷コストがかかることは皆さんご存じだと思います。
しかし、この手間とコストが受け取った人に“特別感”を与えることもできるのです。
例えば、会員登録している企業やカード会社から届く、冊子タイプのダイレクトメール(以下、DM)。
SALEのお知らせや○%OFFといったオファーがメインのDMとは異なり、リッチなコンテンツで「後から読もう」という気にさせられます。
このような冊子タイプのDMを「情報誌」や「会報誌」、「メンバーシップ誌」と呼びますが、今回は紙メディアのなかでも「情報誌」の効果についてご紹介します。
■「情報誌」とは
「情報誌」とは、お客さま(読者)の囲い込み(ファン化)と、自社のブランド力向上のために、紙メディアならではの優れた閲覧性を生かしたプッシュ型の情報発信手段です。
オファーがメインのDMも大切ですが、より興味をひくコンテンツで、お客さまにじっくり向き合ってもらいやすいことが最大の特徴です。冊子タイプの情報誌は保管されている期間も長く、時間的なゆとりがある際に何気なく手に取って読んでもらうことが可能です。
つまり、「情報誌」は1対1で大切なお客さまとコミュニケーションをとることができる有効な営業ツールといえるでしょう。
最近ではオンライン顧客ともダイレクトにコミュニケーションがとれることから、DMや情報誌などの紙メディアを活用する企業も多くあります。
■「情報誌」を送る目的と効果
「情報誌」を送る目的は主に大きく2つあります。
1つ目に、売り上げの向上です。
お客さまが購入した商品に関連する情報や、季節ネタなどを一緒に提供することでアップセル、クロスセル、または継続購入の促進につながります。
2つ目に、企業(会社)のファンになってもらうことです。
お客さまのためになる情報を提供し続けることで、会社の理念や姿勢が伝わり信頼度が深まります。そうすることで他社製品への乗り換えの機会も少なくなります。
また、情報誌の送付により、お客さまは、例えばパソコンで検索するなどのように能動的な行動をしなくても情報を手に入れることができます。情報を受け取ったお客さまにとっても“楽”であると同時に、送付される=選ばれたという「満足感」や「特別感」をもたらします。
また、紙メディアが特に評価される効果に「一覧性」「閲覧性」の高さがありますが、それだけではありません。決まった誌面、ページに情報を落とし込むという制約のなかで、情報伝達のために最大限の効果を発揮させようとするため、コンテンツクオリティの向上やセンスの高さにつながります。
こうした機能が、お客さまの共感意識を醸成することでファン化につながり、ひいてはブランド力の強化につながるのです。
■「情報誌」を作る際、気をつけるべき3つのポイント
1つ目は、「発行の目的とターゲットの設定」です。
何のために発行するのかを明確にすることが、最も大切なポイントです。
総花的に情報を提供しても、その情報誌が何を伝えたいのかが分からなければ、読者の印象には残りません。
また、行動する動機付けにもなりません。目的をできるだけシンプルにすると、その後の企画もブレなくなります。
そのために可能な限りターゲットは具体的に設定します。年齢、性別、居住地、学歴、職業といった基本的な条件だけでなく、趣味や、興味・関心、アフターファイブや休日の過ごし方など、ライフスタイル全般において細かく設定します。するとターゲットの内面までもがより明確に浮かび上がり、刺さる企画や方法がイメージしやすくなります。
2つ目は、「ターゲットを意識した企画の立案と見せ方」です。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、「お客さまは自分が本当に欲しいものを説明できない」との言葉を残しました。
こうした潜在的な欲求に対するツボを「消費者(顧客)インサイト」といいます。
明確にしたターゲットに対して、自分が欲しかったものやサービスに気づかせる、こうした企画ができるかどうかが情報誌発行の効果を左右するといえます。
また企画の見せ方も重要になります。明確にしたターゲットに対して、その企画をどう見せれば読んでもらえるのか、刺さるのか。ここは制作スタッフの腕の見せ場です。
3つ目は、「発行のタイミング」です。
①新商品の発売や新サービスの開始、②季節によるタイミングは外せません。
それ以外には、商品発売、サービス開始あるいは創業から○年といった③周年記念も、お客さまにアプローチできる大きなきっかけになります。
特にこうした周年記念はお客さまへの感謝の意を表すと同時に、ファン層をさらに強固に、あるいは拡大するよい機会となります。積極的に利用しましょう。
周年事業に関する詳しい記事は、こちらもご覧ください。
『周年事業で企業ブランディングを実践!伝えるべきメッセージとその方法とは?』
■共有したい情報こそ、保存できる紙媒体を活用
自宅は最もリラックスした空間です。
仕事や作業時には、受け入れる情報量が既にキャパシティをオーバーして刺さらない情報も、リラックスしているからこそ読者の記憶に残り、感性や欲望を刺激する確率が高くなります。
また何気なく部屋に置いておかれることも多く、本人も意識していないような、ふとしたきっかけでページを開いたときに、初めて見たときには刺さらなかった情報が、あらためて届く場合も多くあります。
過去にこんな事例がありました。
あるシステムインテグレータの企業が“情報共有のIT化”“ペーパーレス化”の一環として、紙媒体だった社内報をイントラ配信にしました。
すると閲覧率が激減し、中期経営計画等の企業戦略に対する社員の認知度や理解度が低下。そのため、システムインテグレータというペーパーレスの最先端と思われる企業が、社内報を紙媒体に戻したというものです。
保存ができる紙媒体は、時間が経っても見返すこともできるため、共有しておきたい重要な内容は紙メディアが適切でしょう。
■まとめ
「紙メディア」には“感性に訴える情緒的価値を持った普遍性と閲覧性の高さ”という強みがあります。
IT技術の進歩により、人のライフスタイルは多様化し、同時に情報取得の手段も人それぞれです。目的に合った適切な形で、情報をきちんと届けることが重要でしょう。
当社では、会報誌を発行されている企業さまのサポートをしております。
参考記事:『デジタル時代のアナログマーケティング』~会報誌「partner」でつながる顧客コミュニケーションとは?
効果的な顧客とのコミュニケーションの築き方や、情報誌制作についてなどお気軽にご相談ください。
取材協力
プロモーションメディア事業部 制作ディレクター
木内 栄子
私たちがお役に立てること
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