Webマーケティングを考えるとき、メインの取り組みとなるのがGoogleやYahoo!といった「検索サイト」からの動線をいかに作るかです。しかし、検索サイトを主としたWebマーケティングは近いうちに大きく変わっていくかもしれません。ググらない若者たちがいるからです。
なぜ若者はググらないのか?
「ググる」というのは「Googleで検索する」の略語として使われるネットスラングのひとつで、Googleに限らず広義で「検索サイトで調べる」という意味で使われたりもします。
しかし、現在では10代20代の若年層ではGoogle(検索サイト)をハブとして使わないWeb活用が増えてきているといわれています。
【若年層がGoogleを使わない理由】
・検索サイトは情報が遅い
若年層の場合、情報を発信するニュース系WebメディアよりもTwitter等のユーザーが発信する情報の方が早いという理由から、SNSで検索するケースが多いようです。Webメディアの場合は、情報をまとめて記事にしてから編集を行うといったように、公式ページで公開するための一連の作業が必要となるため、どうしてもタイムラグが生じます。その代わりに情報の信頼性が高いというメリットがあるのですが、「ざっくりでもよいから、何が起こったか早く知りたい」という若年層にはスピードの方が重視されてしまうでしょう。
・検索サイトには「リアル」がない
若年層は検索サイトにはビジネスの色を感じ、そこに自分たちにとってのリアルがないと感じています。こうした若年層にフィルターのかかっていない生の声を求められた場合、やはり個人の発する情報にはかなわないということになってしまうでしょう。
・個と個の関係で情報を得ている
今は従来のように特定メディアからしか情報を得られないという時代ではなく、誰もがSNSで情報を発信しているため、自分とフィーリングの近いアイコンとなる人物から情報を得たがる人もいます。よりリアルに近い情報を求める若年層にとっては、そうした人物からの情報の方が信頼されやすいと言えるでしょう。
・用途に合わせたサイトの使い分けをしている
本を買うならAmazon、飲食店を調べるなら食べログ、美容・化粧品の情報を探すなら@cosmeと用途に合わせてサイトの使い分けをしているため、あえてGoogleを利用する理由がないという場合もあります。専門サイトの方がより早く必要な商品・サービスや情報にたどり着ける可能性が高いというイメージもあるでしょう。
企業が発信する情報は届かないのか?
前述の例に「検索するサイトの使い分け」があるように、まったく検索サイトが使われなくなったわけではありません。ただし、それぞれのメディアがどのような目的で使われているのか?という点を今後はより深く検証しなければ、的の外れた効果の薄いWebマーケティングを繰り返すことになってしまいます。常に各メディアの特性と、ユーザーがそれらをどのように利用しているかを把握することが、今後のマーケターに求められることになります。
SNS広告の特徴を把握しよう
検索サイトがまったく使われなくなったわけではないとはいえ、やはり今の時代はまず各SNSの特性や運用方法を把握することがキーとなります。Webマーケティングにおいては特にSNS広告の特徴をつかまなければなりません。代表的なSNS広告の特徴を見てみましょう。
写真を共有するSNSとして多くの利用者を獲得しているInstagram。「インスタ映え」という言葉が流行したように、ファッション、美容、グルメ、旅行などビジュアルに訴えやすいビジネスの広告に適しています。10代~20代の女性の利用者が多いため、特にファッションや美容といった分野での効果が期待できます。
広告は画像や動画などさまざまな広告形式でタイムライン上に出稿することが可能です。そのほか、ストーリーとストーリーの間に動画の広告を出せる「ストーリーズ」という機能もあります。この方法は広告として認識されにくいというメリットがあります。ただし、10代~20代の女性の利用者が多いという特性に注意が必要です。「インスタ映え」という言葉が流行したとはいえ、40代以上の男性が対象となるビジネスの場合、商品・サービスの内容によっては大きな効果が期待できないということになるでしょう。
アカウントを作成する際に実名での登録が義務付けられているFacebookには、氏名以外にも住所、年齢といった広告配信上キーとなるデータが登録されています。こうした個人情報をもとに細かなターゲティングを行える点がメリットです。
広告はFacebook内のほか、Instagramのフィードやストーリーズ、Facebookが提供する「Facebook Marketplace」などにも出稿することが可能です。広告の目的は「コンバージョン」「トラフィック」「エンゲージメント」等11個のなかから選択できます。このように細かな設定ができる点は便利ですが、Facebook広告は審査が厳しく、規約違反にならないよう注意が必要です。
リツイート機能の利用が可能で、高い拡散性が大きな特徴となっているTwitter。特に10代や20代の利用者が多いため、若年層向けの商品・サービスの広告に適しています。広告に対する課金は二次拡散に対しては行われないため、リツイートが多ければ費用対効果が高くなるというメリットがあります。
広告はTwitter内に画像や動画を取り入れたフォーマットで出稿できますが、画像をタイムライン上で非表示にできる機能があるため、注意が必要です。また、拡散性が高いということは、好ましくない情報も瞬時に広まるということなので、投稿する情報については細心の注意を払わなければなりません。
LINE
どの年代も利用率が高いLINE。幅広い年齢層に向けた広告が出稿できます。また、日常のコミュニケーションに使用されることが多いSNSであるため、広告を見てもらえる機会も多いと言えるでしょう。
広告は、LINEニュース、LINEタイムラインなど、LINEが展開している種々のサービスで配信することが可能です。ただし、広告を出稿できる商品やサービスは限られており、また出稿の審査も厳しいという点を踏まえて利用する必要があります。
YouTube
世界中の人々に日常的に利用されている動画共有サービスのYouTube。実際の動きを見てもらいたい機器類や、動きを加えることで素材感を表現したい商材(アパレル、雑貨、その他)などの広告に向いています。
広告はほかの動画の再生前、再生中、再生後に再生されるタイプや、ユーザーの検索結果が出る画面に表示されるタイプなどがあります。YouTube広告は動画によって強いインパクトを生み出せるというメリットはありますが、ほかの動画の再生前や再生中に広告が再生されると、ユーザーによっては「もともと見たかった動画を中断させられた」という気分になるため、その点を理解しておく必要があるでしょう。
以下の動画マーケティングの記事も参考にしてみてください。動画マーケティングとは?活用目的とメリット、動画制作のポイントをご紹介!
ターゲットの特性を考慮したWebマーケティングを
Webマーケティングを行ううえでは各SNSの特性だけでなく、ターゲットの特性を十分に理解することが必要になります。上述のようにInstagramが流行したからといって、どんなターゲット層に対してもInstagramで広告を出せばよいというものではありません。BtoBビジネスでは、自社サイトでじっくりと専門的な内容のコンテンツを配信しながらマーケティングに取り組んだ方が集客効果が期待できる場合もありますし、BtoCビジネスであってもターゲットが10代~20代の女性ではない場合は、ほかのSNSやECサイトでのマーケティングにも力を注いだ方がよい場合もあるでしょう。
ターゲットの特性を把握するには、年齢や性別のほかに地域の特徴も理解することが大切です。以下は、インドネシアにおけるデジタルマーケティングの事例です。現地ではどういった情報がどのSNSを通じて発信されているか、どんな情報が人々に信頼されやすいかといったことを把握しつつマーケティングに取り組んでいるのが分かります。ぜひ参考にしてみてください。
現地経営者に聞く!デジタルマーケティング最新事例【インドネシア(前編)】
現地経営者に聞く!デジタルマーケティング最新事例【インドネシア(後編)】
魅力的なコンテンツで引き付ける
どんなSNSを利用する場合であっても、また、どんなターゲットに向けた広告を出稿する場合であっても、最終的には魅力的な文章でユーザーを引き付けることがマーケティング成功の鍵となります。美しい画像やインパクトの強い動画を広告に取り入れているのに、なぜかユーザーの反応が思ったように得られない……といった場合は、広告に書かれた文章をいま一度見直してみてはいかがでしょうか。以下の記事にはライティングのポイントがまとめられています。ぜひこちらの内容も参考にして、Webマーケティングを成功に導いてください。