人口が2億人を超えるインドネシア。JETROの発表によると、2015年11月の時点で1,533社の日本企業がインドネシアに進出しています。また、約5%という堅調な経済成長率を維持しており、今後ますます魅力あるマーケットとしての成長が期待されます。インドネシアでは広告コストが安価であることや、Facebook(フェイスブック)などのSNSを活用しやすい土壌があるなど、マーケティング戦略を組み立てやすい環境が整っているともいえます。一方、市場調査不足によるプロモーションの失敗など、思ったような成果を上げることができない企業があるのも事実です。果たして、どのようなプロモーション戦略が現地で有効なのか、具体的な事例を交えながらそのヒントをご紹介します。

1.インドネシアといえばはずせない!Facebookの活用

 ユーザー数が20億人を突破し、右肩上がりで成長し続けるFacebookは、インターネットのマーケティングから切り離すことはできません。
デジタル広告市場が急成長しているインドネシアを拠点に、デジタルマーケティング事業、動画クリエイティブ制作事業を展開する白土航太さんにお話を伺いました。白土さんが運営するFacebookページ「Peoples ID」(https://www.facebook.com/peoplesindo/)のフォロワーは約29万人。東京都港区に人口が約25万人であることを考えると、その規模の大きさがわかります。

インドネシアSNS前編-(1).jpg

インドネシアにおけるプロモーション戦略は、自社のFacebookページを充実させるか、インフィード広告への掲載が効果的だと感じています」と語る白土さん。インフィード広告とは、WEBサイトやアプリなどで、コンテンツとコンテンツの間に表示される広告のことです。視認性が高く、他のコンテンツに関連した商品の広告を用いることでユーザーの警戒心を和らげるというメリットがあります。また、インドネシアにおいてFacebookページを運用した場合、ひとつの「いいね!」(該当するFacebookページに「Like(いいね)ボタンを押すこと」)を1円以下の単価で獲得できるケースもあるそうです。ページへの「いいね!」を獲得した後に、インフィード広告でユーザーへ有益な情報を届けることができれば、テレビCMや雑誌広告などの媒体よりも安価に、たくさんの消費者へ情報を届けることが可能になります。

実際に白土さんがFacebookページの「いいね!」を増やすために行った事例をご紹介します。一つ目は、ユーザーのニュースフィードにFacebookページのカバー画像を広告として流すということです。この広告は低予算で、すぐに「いいね!」を集めることができます。二つ目は、ユーザーのニュースフィードに動画広告を配信することです。動画でFacebookページの詳細について説明することで、画像に比べてエンゲージメントの高いユーザーを獲得することができます。しかし、動画制作のための時間とコストがかかることが課題です。
これ以外にも、自社のFacebookページの「いいね」が少ない時には、数十万規模の「いいね!」を持っているFacebookページへの広告を出稿するという手法もあります。自社と相性の良いページを見つけて出稿できれば、その拡散により、費用を抑えながら、ターゲット層に広く認知させることができます。

2.フォロワー数は数百万人!人気Youtuberを活用せよ!

強い影響力を持つインフルエンサーを介して、ターゲットにアプローチする手法は、世界的にもWEBマーケティングのトレンドです。特にインドネシアにおいては、メディアや、Google検索などによりヒットしたWEBサイトコンテンツへの信頼度が低く、社交性が高いインドネシアの国民性から、友人からの口コミや有名人が紹介した情報に対する信頼度が高い傾向があるそうです。そのため、多数のユーザーを抱え、社会的影響力が強いYouTubeを活用しているYouTuber(ユーチューバー)は、消費者の購買意欲をかきたてる効果的なプロモーション戦略として有効です。

ただし、インドネシアのYouTuberと日本のYoutuberとでは若干異なることを留意する必要があります。日本のYoutuberは、髪型や表情などで強いインパクトを与えたり、動画にカラフルなテロップを挿入するなど、ビジュアル重視で視聴者に印象を残す手法を取る傾向があります。また、たくさんの視聴者に飽きさせずに動画を視聴してもらうため、長くても5分から10分程度の動画が一般的です。
一方、インドネシアのYoutuberは、インパクトよりも内容重視で、視聴者に対して自分をアピールするよりも、自分が紹介するべき商品やサービスについて、詳細に感想を伝えます。動画の長さは、10分から20分と尺が長いのも特徴です。このような認識の違いから、日本ではエンターテイメント性が高いメディアとされているYouTubeですが、インドネシアでは信頼度の高いメディアとして認知されているのです。

Youtuberを上手に活用している好事例として、インドネシアで人気の高い丸亀製麺が挙げられます。丸亀製麺は株式会社トリドールホールディングスが展開するうどん専門店です。2013年3月ジャカルタ市内に1号店をオープンして以来人気はうなぎ登り。現在、インドネシアにて38店舗、展開しています。セルフ式のうどん店というまったく新しい業態のレストランを成功させた理由のひとつに、YouTuberの存在があります。チャンネル登録者数が18万人を超える「Ken&Grad」や5.3万人の「EnjoyAja」など、インドネシアで人気のYoutuberが丸亀製麺で実際に注文したり、食事をするレビュー動画が、多数アップロードされているのです。彼らの動画が、インドネシアに新たな食文化を浸透させるきっかけの一つになったのではないでしょうか。

白土さんによると、インドネシアにおけるSNSマーケティングをはじめとするデジタルマーケティングで重要なことは、その時のSNSトレンドをきめ細かく捉えること。実際、数年前にインドネシアでインフルエンサーマーケティングの筆頭だったTwitter(ツイッター)は、現在そのポジションをYouTubeやInstagram(インスタグラム)に譲っています。新しいもの、おもしろいものを常に求め続けるインドネシアの消費者に対し、常にアンテナを張り動向をキャッチアップしていくことが成功の鍵となりそうです。

※後編につづく

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白土 航太様
PT.CUEBiC DIGITAL INDONESIA

インドネシアにてwebマーケティング事業、動画制作・マーケティング事業を展開。
ヒトオリエンテッドなデジタルマーケティングをミッションに掲げ、デジタルな時代だからこそ活きる「ヒト」に寄り添ったマーケティングが強み。
親会社 株式会社キュービック

参考
https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/basic_01.html
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21779340S7A001C1FFE000/
https://blog.members.co.jp/article/25935
https://www.marugame-seimen.com/foreign_shop/
https://www.youtube.com/watch?v=OwN3uN6qC38&t=69s

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