企業が主体となってステークホルダーとコミュニケーションするためのオウンドメディア。当社の担当ディレクターがオウンドメディアの制作と運用のポイントについて前編・後編に分けて、わかりやすく解説する企画の後編です。
後編は、オンラインとオフラインの効果的な活用術についてです。
原稿執筆
共同印刷株式会社 コミュニケーションデザインセンター コンテンツプロデュース部第二部第三課 課長 牛久敦
共同印刷株式会社 コミュニケーションデザインセンター コンテンツプロデュース部第二部第四課 課長 野上雅夫
オンラインとオフラインの比較
一般的に言われているオンラインとオフラインの違いを表にまとめてみました。
オウンドメディアについても同様ですが、当社の実務経験に基づいて両者の違いをまとめ直すと、以下のことが言えます。
オンライン
メリット
- ①即時性・鮮度が高い(紙媒体よりリードタイムが短い)
- ②コンテンツが蓄積される(公開から時間が経ってからもみていただける可能性がある)
- ③時間・場所を選ばず閲覧や注文・購買(ECの場合)ができる
- ④データの収集・分析をしやすい(オフラインでは取得しにくいデータも容易に取得できる。閲覧履歴、閲覧時間など)
デメリット、課題
- ①デジタルリテラシーが低いターゲットや高齢者への配慮が必要
- ②運営担当者自身もデジタルリテラシーが必要
- ③「低予算で高い効果」とは限らない(動画を除けば、コンテンツの制作コストはオフラインとほぼ同額と考えるべき)
オフライン
メリット
- ①「モノ」として手元に残る/保管できる
- ②紙ならではの工夫ができる(特殊な紙、特色印刷、箔押し…といった印刷技術。クオリティ訴求やブランディングに有効)
- ③理念的・哲学的なコンテンツの提供に適している(オンラインより「想い」を感じやすい)
- ④手触りなどで、読み手の五感を刺激できる
- ⑤ターゲットのセグメントがしやすい(エリアマーケティング、ターゲッティング)
デメリット、課題
- ①オンラインよりリードタイムが長い
- ②オンラインより即時性・鮮度が低い
- ③オンラインよりデータの収集・分析が難しい
オンライン・オフラインの「使い分け」と「連動」
これまでオフラインを主軸にオウンドメディア展開をしていた企業がオンラインを展開する場合、いきなりオンラインに完全移行するのではなく、連動した情報発信や顧客動線を考えた上で、双方を融合させる必要があります。
その際、以下の3つが重要になります。
①相互補完を実現する
両者が強みを生かして補完し合えるのが理想です。
(例)某・総合通販会社さま「カート落ちDM」
この通販会社では、オンラインの自社ECサイトで「カート落ち」した会員に対し、メールではなく、より強い存在感のある紙のパーソナルDMを、24時間以内に印刷・発送しています。オンラインのデメリットをオフラインが補完する好例です。
②同一のブランド体験を実現する
オンラインとオフラインでの一貫性・統一性が重要です。しかし、実現するのは非常に難しいと言えます。メディアの数や施策が増えると、ブレが生じがちです。エンドユーザーから見た場合にオンラインとオフラインが連動・融合していて、常に共通したブランド体験ができることが理想です。
③徹底的に議論する
オウンドメディアの活用に「成功パターン」は存在しません。なぜなら、どの会社も商品特性・市場特性・顧客傾向などはまったく異なるからです。自社の商品やブランドに最適なコミュニケーション戦略を、オンライン・オフラインの特性をしっかり理解した上で、議論を重ねてしっかり作り上げる必要があります。
メディア特性を理解した上で各メディアの役割を明確にし、戦術的な視点からコミュニケーション設計を行うことで、プロモーション効果を最大化する——これが理想的なストーリーです。
共同印刷株式会社
コミュニケーションデザインセンター コンテンツプロデュース部第二部第三課 課長
牛久 敦
化粧品メーカー、デザイン制作会社を経て、2007年共同印刷入社。企画制作部門で通販カタログを中心に、カタログ・情報誌・DMなどの紙媒体のディレクションを担当。近年はマネージャーとして、コンテンツ制作の強みを生かし、紙媒体とデジタルの融合をテーマに取り組みを行っている。
共同印刷株式会社
コミュニケーションデザインセンター コンテンツプロデュース部第二部第四課 課長
野上 雅夫
大学在学中にフリーランスとして広報物(出版物やWeb)の企画制作のキャリアをスタート。2003年に共同印刷株式会社入社後は、クリエイティブ部門にて官公庁・鉄道・金融・メーカー・マスコミ・小売りなどのクライアントを担当。主にデジタル領域のディレクション業務に従事する。近年はマネージャーとして、デジタル&フィジカルを横断するオウンドメディアの啓蒙に勤しんでいる。
当社のディレクター2名がオウンドメディアについて、深掘りするウェビナーが、以下からご覧になれます。
アーカイブ動画視聴:HintClipウェビナー 「共創のオウンドメディア」
関連資料
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カスタマージャーニーマップを基にプロモーション施策を解説!デジタルとフィジカルを融合する参考書
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