企業が主体となってステークホルダーとコミュニケーションするためのオウンドメディア。当社の担当ディレクターがオウンドメディアの制作と運用のポイントについて前編・後編に分けて、わかりやすく解説する企画の前編です。

前編は、活用目的やメリット、課題への対応策などについてです。

[原稿執筆]
共同印刷株式会社 コミュニケーションデザインセンター コンテンツプロデュース部第二部第三課 課長 牛久敦
共同印刷株式会社 コミュニケーションデザインセンター コンテンツプロデュース部第二部第四課 課長 野上雅夫

オウンドメディアの定義と特徴

オウンドメディアは「企業が主体となってステークホルダーとコミュニケーションするためのメディア全般」と当社では定義しています。一般的には、ペイドメディア、アーンドメディアと比較されることが多いようです。

オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアの比較

オウンドメディアは自社で主導権を持ち、コントロールすることが可能です。他のメディアでは困難な切り口でコンテンツを作成したり、独自の視点で掘り下げたりするのに適しています。自社サイト内や直営店舗などで発信されるのが一般的です。

しかし自社発信であるがゆえに、他のメディアよりターゲットにリーチしにくいという問題があります。その存在を見つけてもらう必要があるため、認知拡大にある程度の時間がかかります。したがって長期的な運営前提にする必要があります。

また、媒体の種類が多いのも特徴です。Webだけでなく、カタログや会報誌といった紙媒体や、直営店舗、ショールーム、イベントなども広義的にはオウンドメディアと言えます。

オウンドメディアの定義と主な種類

共同印刷は120年以上の歴史の中で、会社案内のパンフレット、会報誌、カタログといった、オフラインのレガシーなオウンドメディアを作り続けてきました。そして現在は、オンラインのオウンドメディアも多く手がけています。紙媒体での制作ノウハウは、オンラインのオウンドメディアにもいろいろな面で生かされています。

オウンドメディアの主な活用目的、役割

オウンドメディアはコミュニケーションの場面によってさまざまな役割を担うことが可能で、設定は自由自在です。目的に応じて、コンテンツの幅を広くも狭くもできます。

その役割は、大きく分けると以下の4つになります。

① ブランディング

消費者の、SNSへの拡散効果によるブランド認知・理解・共感の獲得やファン化を促します。開発秘話などをコンテンツ化することで、一般消費者への認知度が低いBtoBブランドの認知・理解向上も期待できます。「社内の一体感醸成」といった、インナーブランディングにも有効です。

② 集客/③ 売り上げ向上

一般的にオウンドメディアは既存顧客へのアプローチに有効です。自社運営のECサイトやランディングページは、新規顧客の集客や売り上げ向上にも適しています。

④ リクルーティング

人材募集サイトでは、他のメディアより自社らしさをより強く訴求できます。

オウンドメディアの活用メリット

オウンドメディアには、さまざまな活用メリットがあります。

① 機能面

  • ・目的や役割を自由自在に設定できる
  • ・コントロールがしやすい
  • ・一貫性を保ちやすい
  • ・利用するメディアの特徴や制約にコンテンツが左右されにくい
  • ・柔軟な運用が可能(更新頻度、タイミング、コンテンツの内容、コンテンツの量など)

② コスト面

  • ・莫大な媒体費用を使うことなく広範囲にリーチできる
  • ・継続運営しやすい(LTVの向上に貢献しやすい)
  • ・オンラインなら、比較的低コストで始められる場合がある(オウンドメディア向けプラットフォームサービスなどの活用も可能)

運営上の「よくある課題」と対応策

オウンドメディアはメリットが多いように感じるかもしれません。しかし実際には、運営する上でさまざまな課題に直面します。特に多いのが、「継続運営の困難化」という問題です。これには主に3つの原因が考えられますが、対策を講じることである程度の改善・解決が可能です。

[原因1]最初から長期運用を考慮していない

対策…LTV向上などの目的を明確化した上で、長期運用を前提に企画する。

[原因2]KPIの設定が適切でない(例:「短期間でのPV数」をKPIに設定したが、達成できなかった)

対策…目的にあったKPIを設定する。オウンドメディアは長期運営が前提なので、長期視点でKPIを設定すべき。

[原因3]リソース不足(人的リソース、情報リソース)

体制や更新頻度・発行頻度の見直し、紙媒体とWeb媒体でのコンテンツの共通化・差別化・連動化といった工夫で、運営しやすくする。

後編では、オンライン・オフラインの「使い分け」と「連動」について解説します。

共同印刷株式会社

コミュニケーションデザインセンター コンテンツプロデュース部第二部第三課 課長

牛久 敦

化粧品メーカー、デザイン制作会社を経て、2007年共同印刷入社。企画制作部門で通販カタログを中心に、カタログ・情報誌・DMなどの紙媒体のディレクションを担当。近年はマネージャーとして、コンテンツ制作の強みを生かし、紙媒体とデジタルの融合をテーマに取り組みを行っている。

共同印刷株式会社

コミュニケーションデザインセンター コンテンツプロデュース部第二部第四課 課長

野上 雅夫

大学在学中にフリーランスとして広報物(出版物やWeb)の企画制作のキャリアをスタート。2003年に共同印刷株式会社入社後は、クリエイティブ部門にて官公庁・鉄道・金融・メーカー・マスコミ・小売りなどのクライアントを担当。主にデジタル領域のディレクション業務に従事する。近年はマネージャーとして、デジタル&フィジカルを横断するオウンドメディアの啓蒙に勤しんでいる。

当社のディレクター2名がオウンドメディアについて、深掘りするウェビナーが、以下からご覧になれます。

アーカイブ動画視聴:HintClipウェビナー 「共創のオウンドメディア」

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