「すべての人のためのデザイン」をめざすユニバーサルデザイン。近年は印刷やWebサイトの分野でも積極的に活用されています。そこで今回から6回にわたり、グラフィックデザインの視点からユニバーサルデザインを詳しく解説いたします。

[編集協力:株式会社モリサワ]

★閲覧にあたって
色の見え方には個人差があります。色覚シミュレーションによって再現される色は、実際に見えている世界を再現したものではありません。判断の目安、参考として捉えましょう。

メディアにおけるユニバーサルデザインとは

「ユニバーサルデザイン」という言葉は、年齢や性別などに関わらず、できるだけ多くの人が利用できるよう、製品や建物、空間などに対してデザイン的な配慮をしていきましょうという考えです。
グラフィックデザインの分野では、「メディア・ユニバーサルデザイン」という言葉が使われることがあります。これは、個人の色の感じ方、年齢による見え方の差や理解力に関係なく、情報を受けとるより多くの方に正しく情報が伝わるようにするという考え方です。

情報は、主に視覚から得られる

人間には周りの世界を認知するさまざまな感知能力がありますが、基本的には五感(五つの感覚)で物事を認知しています。そして、情報の約8割は視覚から得ているといわれています。
したがって印刷物やWebのデザインは、情報伝達において極めて大きな役割を担っているといえるでしょう。

色覚特性者の見え方

「色覚多様性」という言葉をご存知でしょうか。人の色の認識は多様であり、色を感じとり見分ける力が異なるという意味です。その中で色の情報が伝わりづらい人達がおり、「色覚特性者」と呼ばれることがあります。
色覚特性者は主に、赤を認識するL錐体がなかったり機能していない「P型」、緑を認識するM錐体がなかったり機能していない「D型」、青を認識するS錐体がなかったり、機能していない「T型」などがあります。

色覚特性者が色相環を見ると、下の図のようになります。
このように赤や緑が特に変わってしまい認識しにくいため、配色によっては情報が伝わりづらい状態になります。

色覚に問題のある人は他にも…

色覚特性者は国内に約320万人いるといわれています。男性は約20人に1人、女性は約500人に1人で、圧倒的に男性が多い傾向があります。
また、視覚に何らかの問題を持っている人は、このほかに弱視者・高齢者が挙げられます。
「弱視者」は、まったく見えないわけではないものの視力が低下し、ものが見えにくい人のことで、国内に約145万人いるといわれています。
そして、圧倒的多数なのが「高齢者」です。遠くを見たり近くを見たり、自由にピントを変える力が衰えることによって起こる「老眼(老視)」のほか、水晶体が加齢などにより白く濁る「白内障」になると、視力が低下して視覚的情報が得にくくなります。

高齢者には、こう見えている

高齢者は加齢により目の水晶体が白濁したり、黄色く変化するために全体的に黄色がかって見えたりします。具体的には、茶色や黒や紫などの濃い色はすべて黒っぽく見え、老眼も伴うことでぼやけて、より見えにくくなります。


《シリーズ企画》
広告・販促・広報ですぐに役立つ「ユニバーサルデザイン入門」

  • (1)「見え方」の多様性
  • (2)ユニバーサルデザインを用いる理由
  • (3)UDフォントとは
  • (4)Webサイトでのフォント活用
  • (5)配慮のポイント・基本編
  • (6)配慮のポイント・実践編

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