「すべての人のためのデザイン」であるユニバーサルデザイン(以下、UD)を、グラフィックデザインの視点から解説する連載企画。第2回は、なぜ印刷物やWebメディアにもUDが必要なのかを解説します。
[編集協力:株式会社モリサワ]
メディアにもUDを用いるべき4つの理由
印刷物やWebメディアにもユニバーサルデザインを用いる理由は4つあります。
(1)デザインを機能させるため
UDに配慮しないと、見る人によってはその情報は無意味になる可能性があります。デザインを確実に機能させるために、「そのデザインで伝わるか」をしっかり考える必要があります。
(2)より多くの人に伝えるため
UDの視点を持って申込書のフォーマットを作ることによって、より多くの方が理解しやすいデザインになり、記入漏れや見逃しを減らせる可能性があります。理解しやすいデザインにすることで、安心感を高めることができます。
(3)イメージアップにつながる
UDに積極的に取り組んでいることは、会社の信用・信頼の確保やブランド価値の向上につながります。
(4)合理的配慮に対応できる
UDへの取り組みは、2013年に制定され、2021年に改正された「障害者差別解消法」への対応につながります。また、「SDGs」の推進にもなります。
障害者差別解消法の改正
「障害者差別解消法」は、すべての国民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障がいを理由とする差別の解消を推進することを目的として、2013年6月に制定されました。
簡単にいうと「障がいを理由に差別されない」ための法律です。事業者や行政機関などに、障がいのある人から社会の中にあるバリア(障壁)を取り除くために何らかの対応が求められた時、負担が重過ぎない範囲で対応を行うこととしています。
これまで行政機関は「義務」、事業者は「努力義務」となっていましたが、2024年4月からは事業者も義務化されるため、多くの企業が対応を進めています。
こういった社会的背景から、メディアにおいてもUD化に取り組む企業が増えているのです。
出典:内閣府(https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_chirashi-r05.html)
SDGsとUDの共通点
SDGsの目標4・目標10・目標16については、印刷物やWebメディアにおけるUDへの取り組みと、深い関連性があります。
メディアのUD化は、大きな価値を生む!
UDに取り組むということは、利用者の視点に立って使いやすさを考慮しながらデザインすることを意味します。そして整理された見やすいデザインは、企業にとって大きな価値となります。これは製品だけでなく、メディアも当てはまるということがおわかりいただけましたでしょうか。
皆さまの会社もぜひ、印刷物やWebメディアにUDを取り入れてください。なお、本連載では第3回から、メディアにおける具体的なUD活用法を解説する予定です。こちらも参考にしてください。
《シリーズ企画》
広告・販促・広報ですぐに役立つ「ユニバーサルデザイン入門」
- (1)「見え方」の多様性
- (2)ユニバーサルデザインを用いる理由
- (3)UDフォントとは
- (4)Webサイトでのフォント活用
- (5)配慮のポイント・基本編
- (6)配慮のポイント・実践編
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