多くの企業が商品開発などに取り入れ始めている「ユニバーサルデザイン」。実はプロモーションツールやブランディングにも活用できることをご存知でしょうか。そこで今回は、広告・販促・広報の視点からユニバーサルデザインをご紹介します。

原稿執筆:共同印刷株式会社 コミュニケーションデザインセンター 射矢竜平(UCDA認定2級プロデューサー)


ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザイン(Universal Design、以下「UD」)とは、施設や製品、情報などの設計を、文化・言語・国籍の違いや年齢・性別・能力の差異、障がいの有無などに関わらず、誰もが安心して使えるようにデザインすることをいいます。

最近では、海外からの旅行客が日本語を読めなくても理解できるよう、案内板などを工夫しているケースが多く見られます。これもUDの一例です。

ユニバーサルデザインの7原則

UDは、1985年、アメリカの建築家・教育者であり、車椅子を利用する障がい者でもあったロナルド・メイス博士が提唱しました。
メイス博士が中心となって、ユニバーサルデザインを実現するポイントとしてまとめたのが「ユニバーサルデザイン7原則」です。

ユニバーサルデザインの7原則

1.公平な利用…誰もが利用できるようにデザインすること。
2.使用における柔軟性…幅広い人たちの能力に有効であること。
3.単純でかつ直感的な使用…単純で、簡単に使えること。
4.認知できる情報…情報がわかりやすく理解しやすいこと。
5.エラーに対する許容…ちょっとした操作ミスが事故などにつながらないこと。
6.労力の軽減…負担が少なく快適で、疲れにくいこと。
7.接近や利用のためのサイズとスペース…誰にでも使える大きさや広さがあること。

UDで得られる3つのメリット

企業・団体がUDを利用すると、主に以下の3つのメリットが得られます。

サステナビリティの向上

ユニバーサルデザインの「誰もが」「安心して」という考え方は、SDGsと共通しています。具体的には、以下の3つの目標が通底しています。

  • ●目標4「質の高い教育をみんなに」
  • ●目標10「人や国の不平等をなくそう」
  • ●目標11「住み続けられるまちづくりを」

エンゲージメントの向上

UDに取り組んでいることをアピールすることで、ステークホルダーの共感を創出し、エンゲージメントを高めることができます。

販売促進

商品だけでなくパッケージや販促物にUDを取り入れることで、商品の魅力などの「わかりやすさ」が向上し、販促効果の向上が見込めます。

プロモーションツールにおけるUD実践法

ユニバーサルデザインは、販促・広告・広報の領域でも利用が広がっています。特に増えているのが、誰にとっても見やすく読みやすい「ユニバーサルデザインフォント(以下、UDフォント)」の活用です。日本語のUDフォントには、一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(以下、UCDA)などが開発した「みんなの文字®」などがあります。

また、色の見え方における個人差や色覚の多様性に配慮した「カラーユニバーサルデザイン」の採用も増えています。
当社ではクライアント企業の特性に合った最適なUDの活用を提案していますが、最近は「UDの実現」が要件として提示されるケースも増えています。

UDが使われる主なツール、メディア

・商品パッケージ
・カタログ、パンフレット、POPなどの販促物
・会報誌などの定期刊行物
・統合報告書、CSR報告書
・Webサイト

ディレクション上の留意点

プロモーションツールにUDを使用する場合、最も大切なのは「ユーザー視点」です。特に、商品情報の伝達において最も重要な「文字」のUD化に気を配る必要があります。具体的には、以下の3つがキーワードとなります。
1.視認性…見えやすさ、わかりやすさ
2.可読性…読みやすさ
3.判読性…誤読しにくさ、文字の判別しやすさ
ちなみにUDフォントは、これらを実現するために作られたといえます。

グラフィックにおけるUDの認証「UCDA認証」

「みんなの文字®」を開発したUCDAは、わかりやすさを評価する唯一の第三者機関として「UCDA認証」という認証制度の運営も行っています。

取得メリット

UCDA認証を取得することで、コミュニケーションのわかりやすさの向上や、それに伴う業務効率化が期待できます。また、ステークホルダーにコミュニケーションを重視する姿勢をアピールできます。

認証の原則と基準

UCDA認証では、以下の「わかりやすさの9項目」を重要な「評価基準」としています。
1.情報量
2.タスク
3.テキスト(文意)
4.レイアウト
5.タイポグラフィ(文字)
6.色彩設計
7.マーク・図表
8.記入(入力)欄
9.使用上の問題

認証の種類

UCDA認証には、以下の2種類が存在します。
●レベル-1「見やすいデザイン」…デザインの「見やすさ」を認証する
●レベル-2「伝わるデザイン」…ユーザーの理解度まで検証して「伝わりやすさ」を認証する

認証取得について

当社ではUCDA認定の有資格者が窓口となって、認証取得をサポートしています。

UCDAの当社サポート事例

最後に、当社がUCDA認証取得などをサポートした事例を2つご紹介します。

プラス株式会社ジョインテックスカンパニー

●ツール名:商品カタログ「smartoffice活用BOOK」
●当社サポート内容:UCDA認証「見やすいデザイン」取得
●クライアントご担当者コメント
弊社で提供している法人向け購買・調達プラットフォーム(smartoffice)は多くの品揃え・機能を有しています。そのようなこともあり、ご利用いただくお客さまにとって、カタログに付随する「活用BOOK」はご確認いただく機会が多いものでした。「活用BOOK」をこれまで以上に見やすく、わかりやすい紙面にすることで、これまで以上に「お客さまに寄り添う」ことをめざしました。そんな取り組みのなか、客観的な評価を得るため、UCDA認証「見やすいデザイン」を取得することといたしました。

一般社団法人 全国信用組合中央協会

●ツール名:会報誌「しんくみ」
●当社サポート内容:UCDA認証フォント「みんなの文字®」の使用

まとめ

広告・販促・広報メディアの受けてである顧客にとって「見やすい」「わかりやすい」ことは、ブランドの好意形成や購買意欲の喚起につながります。

顧客に寄り添えて、サステナブルなユニバーサルデザインの採用をご検討されたら、ぜひ当社にお気軽にご相談ください。UDCAの承認などもすべてサポートいたします。

共同印刷株式会社

コミュニケーションデザインセンター ディレクター

射矢 竜平

制作会社やフリーランスのグラフィックデザイナー、ディレクターとしてキャリアを積み、2020年に共同印刷グループの株式会社コスモグラフィックに入社。組織改編により2022年4月から現職。主にカタログ、パンフレット、情報誌などのクリエイティブディレクションを中心に、播磨坂スタジオと連携し撮影のフォトディレクターとしても活躍中。2021年に「UCDA認定2級プロデューサー」資格を取得。誰もが分かりやすいデザインをめざし、ユニバーサルコミュニケーションデザインの概念を生かしたツール・メディアのクリエイティブ提案をクライアントに行っている。
UCDA認定2級プロデューサー。

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