ディレクターはクリエイティブチームを機能させるための「ハブ」

紙媒体とWeb媒体。通販事業社にとって、顧客が媒体に接触する態度を想定しながら、それぞれに最適なMDやクリエイティブを設計して、相乗効果を得ることは日々の課題です。
共同印刷で、この前線に立っているのがクリエイティブディレクターの梶原友希です。
作業の煩雑さがとりわけ高い両媒体のハンドリングは、いったいどのようになされているのか。今回は彼女ならではの仕事の取り組み方、課題解決の手法についてインタビューしました。

<ファシリテーター>Hint Clip編集長 杉山 毅

■紙とWeb、リードタイムの差をカバーする緻密な段取り

杉山:梶原さんは、以前は広告代理店で営業職を経験しており、現在当社でクリエイティブディレクターをしていますが、どんな案件を担当してきたのでしょうか。
梶原:主に女性をターゲットにした化粧品や雑貨、インナーなどの通販カタログを担当してきました。現在は健康食品の通販媒体をメインに担当しています。
杉山:日頃の制作業務で感じている課題はありますか。
梶原:紙とWebの連動です。お客さまは長年情報誌を発行してきたのですが、今はWebファーストにしたいという要望も強くなってきています。同時に誌面からWebを見てもらうにはどう展開するかということが課題になっています。
杉山:ターゲットも環境も違いますが、どのように対応していますか。
梶原:当社の取り組みとしては、誌面チームとWebチームを構築したうえで、相互に連携して動けるような態勢を整えています。
杉山:リードタイムも違いますね。
梶原:どうしても紙媒体の方が先に動き出しますから、オリエンテーションも紙チームの方が先になり、編集作業も先に行います。それをWebに持っていくことがメインの流れになっています。
杉山:紙とWeb、それぞれ独自のオリエンテーションを受けて、独自の編集をするんですね。
梶原:そこをどう融合するか、そのあたりが課題ですね。
杉山:リードタイムのコントロールはどうしていますか。
梶原:ミーティングの時間や回数を適正化するために、会議資料、提出物、提案資料の精度を上げる、編集の切り口やアイデア、見せ方の完成度を高くする、よりわかりやすい資料を添付する。
そうすることで、お客さまに効率よく的確なジャッジをしてもらえる状況をつくる努力を重ねています。
杉山:一見大変なように思えますが、結果としてリードタイムの適正化につながっているんですね。

[クリエイティブディレクションとメディアミックスのイメージ]

メディアミックス体制.jpg

■オールリモート導入で作業を効率化

梶原氏ピン__01_0016.jpg

梶原:さらに、オールリモートでミーティングをやっています。撮影の立ち会いもズームを使っています。
杉山:画像の確認は、文字の確認よりジャッジが早そうですね。
梶原:オンラインで、まずはこちらでテスト撮影した画面を見ていただいて、「いや、ここのアングルを変えてくれ」と言われたら、アングルを変えてまた撮ってというやり取りをします。すぐその場でレスポンスをいただけます。
杉山:リモートの場合、その場で詰めた話をするのは大変そうですが、フォローはどうしていますか。
梶原:例えば、緻密な提案資料を提出して、お客さまの理解度を高めています。
杉山:緻密な資料というと、例えば何ですか?
梶原:お客さまの社内で、資料だけが配布されてもいいように、企画意図やポイントを書き添えたり、サンプル写真などを添付します。企画理解をフォローする努力は惜しみません。
杉山:書きっぱなしではなく、そのような丁寧なコメントも入れているんですね。
梶原:そうですね。撮影会議の場合も、できるだけ丁寧な撮影ラフを出しています。まず、お客さまが撮影ラフを見て、修正点や不明点をリモートでやりとりする会議があります。次に、その内容を受け、社内で回答をまとめて、撮影への疑問点をできるだけ事前に解消しています。
杉山:そういうやり方ならお客さまは安心ですね。
梶原:安心だと思いますし、当社としてもお客さまと、企画意図を深く共有してから撮影に臨むので、クリエイティブの精度も高まります。

■お客さまに安心をもたらすワンストップ

杉山:当社の強みというと、紙でもWebでも、企画制作から納品まで窓口を一つに集約することができるということがあると思います。
梶原:はい。当社は全部社内でこなせるので、シームレスなコミュニケーションが取れます。何か問題があったときも、当社で受けて当社で解決するので、窓口が一つであることで、お客さまはとても安心なのではないかと思います。
杉山:オールインワンというところですね。
梶原:そこが最大の強みだと思います。
杉山:逆に言うと、全部リスクを抱えているので大変ですね。
梶原:その大変さはありますが、営業から制作まで全部請け負っているので、普段から各部署と密なやり取りができています。何かあっても、そこに至るまでの流れを理解し合えていますから、解決するのも早いです。
杉山:お客さまによっては、紙は当社だけれどWebは別会社ということもありますね。
梶原:それをしているお客さまのコントロール力はすごいなと思いますが、トラブル発生時の作業の負担はかなり大きいと思います。そういう意味でも当社のようなワンストップ型の動きは、お客さまには大きなメリットがあると思います。

■求められる資質のなかで、大事なのはコミュニケーション力

[クリエイティブディレクターが求められる資質]

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杉山:クリエイティブディレクターが求められる資質として、マネージメント力やプランニング力などがありますが、梶原さんがクリエイティブディレクターとして重要視している資質は何ですか。
梶原:一般的にクリエイティブディレクションは、クリエイティブに目線が行きがちになると思いますが、私は全体と関わるディレクションに軸をおいています。いろいろな考え方があると思いますが、クリエイティブディレクターには必要なことだと思っています。
杉山:全体と関わるとは、具体的にはどのような動きをしているのですか。
梶原:営業とのやり取り、撮影にも立ち合います。もちろんお客さまの窓口でもありますし、あらゆる人たちと関わるという意味で、ハブ的ポジションですね。
杉山:お客さまと社内各所をつないでいるということですか。
梶原:はい。商品コンセプトや販促課題など、オリエンシートの言葉をそのまま伝えるのではなく、お客さまがどうありたいか、どうやりたいか、それを自分なりに理解して、そのフィルターを通して、各チームのメンバーに向けて翻訳します。
杉山:「翻訳」するとは、さまざまな立場のメンバーに理解しやすい言語に「変換」して伝える、ということですか。
梶原:そうですね。担当する役割ごとに適した言語で伝えることで、制作スタッフの動きがスムーズになり、問題を解決できます。翻訳は重要な役割だと思っています。
杉山:コミュニケーション力が必要とされますね。
梶原:クリエイティブディレクターの資質という意味で、重要なものの一つだと思います。
杉山:そのほかにプランニングもクリエイティブも見なければならないですよね。
梶原:もちろん見ていますが、例えばコピーやデザインなどの領域は、プロフェッショナルの仕事として、クリエイターの提案を尊重しています。
でも、たとえ良いクリエイティブでも、お客さまの意図とズレていれば、これはちょっと違うという話もします。
杉山:違うなら違うとはっきりと伝える。それもコミュニケーション力が必要な場面ですね。

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■スキルを高め、クオリティにこだわっていく

杉山:梶原さんが描く今後のビジョンを聞かせてください。
梶原:まずは、Webと紙、両媒体を回すことで好循環、相乗効果を出せたらと思います。相乗効果を狙いつつも、まだ実感する段階には至っていないですし、お客さまも今は手探り状態です。もう一つは、クオリティにこだわっていきたいと思っています。
自分のコミュニケーション力やハブ機能、翻訳機能を高めて、よりクオリティの高い媒体を作り、お客さまの課題解決に努めていきたいです。

杉山:高いコミュニケーション力を武器に、クリエイティブディレクターとして、梶原さんの今後の成長が期待されます。

共同印刷株式会社

共同印刷株式会社 コミュニケーションデザインセンター
クリエイティブディレクター
梶原 友希

2005年〜広告代理店の営業としてジャンルの異なる数社を担当し、コミュニケーション力や対応力を培う。
2014年〜共同印刷に制作ディレクターとして入社。主に女性をターゲットとした通販カタログや会報誌のクリエイティブをメインに、美容、健康、アパレル系などさまざまな商材のディレクションを担当する。また顧客の課題を解決すべく、クリエイティブだけに留まらず幅広い視点で提案活動をおこなう。

共同印刷株式会社

共同印刷株式会社 ビジネスマーケティング部
Hint Clip 編集長
杉山 毅
1982年共同印刷株式会社入社。商業印刷部門の企画営業を経て、1987年よりセールスプロモーション部門でクライアントの事業戦略・マーケティング戦略のプランニングから、広告・広報・販促の各種ツール・メディアのクリエイティブ・ディレクションを担当。2008年からコーポレートコミュニケーション部門にて広報、IR・総会、サスティナビリティなどを部長として担当。2017年の自社の創立120周年では、CIとコーポレートブランド構築を含む周年事業の全体を統括管理。2020年4月から現職。


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