カタログの企画制作では、マーケティングやクリエイティブにおける課題解決と同じくらい、納品までのプロセス管理が重要です。しかし多くの場合、そこにはさまざまな無駄が存在しています。その「無駄」を限りなくゼロに近づけるには、何をすべきなのでしょうか? そこで今回は、当社のプロモーションメディア事業部で20年以上にわたり「カタログ制作管理のプロ」として活動する岡島 真氏に、「カタログ制作最適化コンサルティングサービス」について話を聞きました。

〈ファシリテーター〉HintClip編集長 杉山 毅

1.「効率化」の視点から、プロセスを見直し改善するサービス

杉山:「カタログ制作最適化コンサルティングサービス」とはどんなサービスでしょうか?
岡島:文字通り、カタログ制作全体のプロセスを最適化・効率化します。版下などによるアナログ制作の時代から現在に至るまでの、さまざまな受注経験から得た知見をもとに作り上げたサービスです。カタログ制作をご依頼いただいたお客さまには受注内容の一部としてご提供していますが、コンサルティングだけのご相談も受け付けています。
杉山:どのように効率化するのですか?
岡島:各プロセスには顕在化した課題だけでなく、まだ顕在化していない課題も存在します。全体の流れを整理することで初めて気付く課題も多いですね。そこで最初はスケジュール全体の流れをしっかり把握するようにしています。
杉山:そこから問題点を洗い出すのですね。
岡島:そうですね。例えば、当社がデザインカンプを提出してから赤字が戻るまでの間、お客さまは何をしているのかという問題があります。こちらがカンプをお渡しするのは窓口になっているご担当者一人ですが、社内では10人以上にチェックを仰ぎ、それをご担当者が何日もかけて手書きで転記・集約してから当社に渡しているかもしれません。こうした社内事情はこちらから質問しないとわかりません。
杉山:スケジュールの把握以外に心がけていることはありますか?
岡島:「オリエンシート(RFP)」の記載内容の確認と質問ですね。カタログ制作はお客さまから当社への「オリエンテーション」から始まりますが、そこで渡されるオリエンシートに記載されている情報は、カタログへの掲載内容など一般的なことが中心で、制作プロセスにおける課題やご要望などは書かれていないことが多いのです。その「書かれていない」部分に関するヒアリングを重ねるなどして、状況をより深く、的確につかむようにしています。
杉山:お話を伺っているとこのサービスは、「お客さまに質問を繰り返し、対話しながら進めていく」という感じがしますね。
岡島:その通りです。このコンサルティングサービスは、お客さまに課題解決という価値を一方的にご提供するのではなく、より高品質なカタログを作るために、話し合いながら一緒に取り組んでいくものだと思っています。
杉山:「当社がプロセスを効率化します」という単純で一方的なサービスではなく、もっと奥が深いということですね。

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■改善手法① 手順を省く

杉山:効率化のための、具体的な改善手法を教えてください。
岡島:テクニックは多岐に渡りますが、大きく4つに分類できます。一つ目が「手順を省く」です。
杉山:不要なプロセスをなくすことですね。
岡島:そうですね。例えば「色校」です。あるお客さまが数十年間発行し続けているカタログで、必ず色校を3回出しているとします。当社では、その理由を必ず質問しています。単に「3回出すのが通例だから」というだけの理由だった場合は、現在の印刷技術や商品特性などから、本当に3回出すべきなのかを慎重に検討します。もしかしたら3回を2回に減らせるかもしれません。

■改善手法② 流れを変える

岡島:二つ目が「スケジュールの変更」です。通常、カタログは納期から逆算してオリエンテーション日を設定しますが、その当日にどれくらいの情報が提示されるのかによって、スケジュールの組み立て方は大きく変わります。例えば、オリエン当日に6割しか情報が当社に提供されず、その事実を当社が把握できていないとします。当社は10割の情報をいただけたつもりで企画制作を進めるので、精度の低いデザインラフを提出する可能性が高くなります。
杉山:どの情報がいつ入手できるのかを把握した上で、精度・品質・納期について複合的に考えながら、細分化したスケジュールをつくる、ということですね。
岡島:そうですね。また、これは特に撮影の場合ですが、当社が受注したカタログ以外のことも考えてスケジューリングすることが増えています。
杉山:どういうことでしょうか?
岡島:撮影した商品写真を、カタログ発行より前にWebサイトなどの別のメディアで使うことが増えているのです。販促メディアの主役が紙のカタログだった時代なら、撮影効率を高めるために全商品をカタログ納品日の2カ月前頃に一気に撮っていました。しかし最近はWebに掲載する商品だけを先に撮影するなど、柔軟にスケジューリングしています。

■改善手法③ 代行する

岡島:三つ目は「代行」です。例えば当社では、通販カタログなどで「サプライヤー校正」の発送業務を代行しています。
杉山:「サプライヤー校正」とは?
岡島:カタログに商品を提供しているサプライヤーに、掲載内容を校正してもらうことです。当社が全サプライヤーのリストを管理し、該当商品の掲載ページのPDFを、「○月○日までに内容をご確認ください」というメッセージとともに、当社からサプライヤーに送付します。
杉山:代行できる業務はほかにもいろいろありそうですね。
岡島:制作プロセスにおいて当社が行ったほうが効率的なものについては、積極的に代行を提案しています。

■改善手法④ 方法を変える

岡島:最後の手法が「方法の変更」です。主に作業のデジタル化やシステムの導入を提案します。
杉山:デザインカンプのオンライン校正などですね。
岡島:そうですね。PDFのコメント機能を使ってファイルに直接赤字を入れることで、大量の校正紙を運搬したり、校正紙をコピーして配付したり…といった雑務をなくせます。社内で複数の担当者が書き込んだ赤字を一つの校正紙に集約する作業も効率化できますし、転記漏れの防止にも役立ちます。
杉山:Zoomのようなオンライン会議システムをカタログ制作会議に活用するお客さまも増えているようですね。
岡島:最近は会議だけでなく、スタジオでの撮影立ち会いもリモートで行っています。制作チームと話し合いながら撮影方法を決めたり写真の仕上がりを確認したりできるので、リアルで立ち会う感覚にかなり近いと思います。リアルで立ち会う場合は、撮影時間中はスタジオでの待機時間が長くなりがちですが、リモートなら必要な時だけ接続して確認作業を行い、ほかの時間は自席や自宅で別の作業をすることができます。

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2.「効率化」の先にある「業績向上」が真のゴール

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杉山:「カタログ制作最適化コンサルティングサービス」では、どんなことを特に重視していますか?
岡島:制作プロセスの効率化によって生まれた時間を「資源」として捉え、お客さまのマーケティング活動においてどのように活用するべきかを、常に考えるようにしています。例えば、より売れるカタログにするためのテコ入れやリニューアルをするには、制作プロセスに余裕がなければ実現できません。また、カタログ制作の効率化で生まれた時間はカタログ以外の部分でも生かされるべきだと考えています。例えば、商品開発やマーチャンダイジングといった、「商品のプロ」であるお客さまが本来集中すべき業務にその時間を使っていただきたいですね。
杉山:なるほど。効率化がこのサービスのゴールではない、ということですね。
岡島:そうですね。真のゴールは、その先にある「売り上げアップ」や「業績向上」なのです。そのためにも、ぜひ当社のコンサルティングサービスを積極的にご活用いただきたいと思います。私たちが「カタログ制作管理のプロ」として、そして誰よりも「カタログ制作」に愛着を持つ営業として、プロセス全体を再設計します。
杉山:「カタログ制作への愛着」ですか…。
そうですね、当社のカタログチームはみんなカタログ制作に情熱を持っていますよね。
岡島:その通り! 制作ディレクターも私も、常に“こだわり”をもってこの仕事に取り組んでいます。私たちの“想い”が、お客さまの業績向上の原動力につながると信じています。

株式会社吉野家 企画本部 広報課長 山岸裕子さま

共同印刷株式会社 プロモーションメディア事業部
営業第4部 部長 岡島 真

共同印刷入社以来25年、商業印刷の営業として、数多くの通販会社さまやメーカーさまのカタログを担当。マーケティング・クリエイティブ領域から、製造・発送までのOne Stopサービスの構築が強み。長年のキャリアで培ったノウハウを生かして、カタログの品質はもとより、お客さまの負荷軽減や制作過程の見直しなどのコンサルティングに取り組んでいる。


共同印刷は、ネット通販、カタログ通販、実店舗などのメディア・ツールの企画制作実績が豊富なプロフェッショナル集団です。
多様なプロモーション課題の解決をお手伝いいたします。

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