現在、消費者が日々利用する主な購買チャネルにはネット通販、カタログ通販、実店舗などがあります。それぞれどんな商品が、どんな世代に、どんな理由で利用されているのかを複数の調査結果から探ってみました。それぞれの購買チャネルは、どのように利用されているのでしょうか。その特徴をとらえることで、販売側はチャネルの使い分けを有効に実施することができるでしょう。
今回は、2021年実施の調査データからネット通販・カタログ通販・実店舗の3つのチャネルの使い分け実態をご紹介します。
前編では「ネット通販」と「カタログ通販」の利用傾向、後編では「実店舗」の利用傾向と「3つのチャネルの強み」についてご紹介します。


【目次】
[前編]
第1章 ネット通販の利用傾向
(1)ネットで購入する商品の傾向
(2)ネットで購入する理由
(3)ネットでの購買行動の特徴

第2章 カタログ通販の利用傾向
(1)カタログで購入する商品の傾向
(2)カタログで購入する理由
(3)カタログでの購買行動の特徴

まとめ

[後編]
第3章 実店舗の利用傾向
(1)実店舗で購入する商品の傾向
(2)実店舗で購入する理由
(3)実店舗での購買行動の特徴

第4章 ネット通販・カタログ通販・実店舗の強みまとめ
(1)ネット通販の強み
(2) カタログ通販の強み
(3) 実店舗の強み

まとめ


第1章 ネット通販の利用傾向

ネット通販は、近年、スマートフォンの普及により利用が促進されています。そして新型コロナウイルス感染拡大以降、さらにその傾向が強まっているようです。コロナ以降ではコロナ前と比べ、感染対策や外出自粛による巣ごもり生活から、購入商品が変化しました。

(1)ネットで購入する商品の傾向

各調査から、コロナ以降のネット通販での購入商品の傾向を見ていきましょう。

・家電、婦人用衣類、健康食品、化粧品などで伸長

総務省の「家計消費状況調査」のネット通販で購入された品目別データでは、コロナ前までは旅行関係費とチケットの支出が多く3割弱を占めていましたが、コロナの感染拡大により減少。一方で、家電、婦人用衣類、健康食品、化粧品など幅広い品目で支出が伸びています。

・男性は「家電」、女性は「食品、飲料」が最多

ネット通販で買ったことがあるもの.jpg

株式会社プラネットが2021年9月に、インターネットで4,000人から回答を得た「ネット通販」に関する意識調査の結果では、ネット通販利用の商品は多い順に、「食品・飲料」「衣料品、衣料雑貨」「家電製品」「本」「日用品」となりました。

男性は「家電」「食品・飲料」「パソコン、周辺機器」「本」、女性は「食品・飲料」「衣料品、衣料雑貨」「本」「化粧品」の順に多い結果となりました。

(2)ネット通販で購入する理由

・「安さ」を重視して判断
プラネットの同調査では、ネット通販で買い物の判断を下す際に何を重視しているか、と尋ねたところ、「価格」が79.9%と断トツでトップに。次いで「実店舗との価格差」38.9%、「利用可能なポイントサービス」38.2%、「商品代金以外の料金(送料など)の安さ」36.8%でした。
また近年、重くかさばるものを購入するときには実店舗のスーパーではなく、ネットスーパーを利用する傾向があるといわれていることから、ネット通販には「利便性」が重視されている側面もあると考えられます。

(3)ネット通販での購買行動の特徴

・ネット通販サイト上で情報収集してから購入
プラネットの同調査で、ネット通販で買い物の判断を下す際に何を重視しているかで多かった項目のうち、「ネット通販サイト上のレビュー、口コミ」36.3%、「ネット通販サイト上の商品説明」29.5%、「ネット通販サイト上の商品の写真」21.5%と、ネット通販サイト上の情報を参考に買い物をしている人が目立ちました。

・ネット通販利用が増加・特に60歳以上で目立つ

総務省の「家計消費状況調査」では、緊急事態宣言が発出された2020年4月以降ネット通販利用が増加し、5月には50.5%、緊急事態宣言解除後の6月も50.8%と高水準を維持しています。
65歳以上の世帯においても伸びており、6月に入ってもほかの年齢階級とは異なり、31.2%と上昇を続けているのが特徴的でした。

また総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」では、「普段利用しているインターネットサービス」は「インターネットショッピング」が73.4%と最も高くなっています。年代別にみると、大きな差異はないものの、60歳以上が最も多く、78.0%にも上りました。

【普段利用しているインターネットサービス】

利用しているネットサービス.png

(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」

【インターネットショッピングおよびオークション・フリマの利用状況】

利用状況.png

(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」

ここまで、ネット通販における利用実態をみてきました。コロナ禍により、家電、婦人用衣類、健康食品、化粧品など生活に密着した商品カテゴリに伸びが見られ、年代別ではシニア層の利用が拡大するなどの変化がみられました。

第2章 カタログ通販の利用傾向

ここからは、カタログ通販の利用の傾向についてみていきましょう。

(1)カタログで購入する商品の傾向

・衣料品カタログでは機能性インナーやコートが人気

通販カタログ事業を行うベルーナのミセス向け衣料品カタログ利用者は、年齢が上がるほど増加し、60代では9割にのぼるという情報があります。コロナ禍においては巣ごもり需要の影響を受け、インナーや家具雑貨系が好調となりました。また近年はメンズ通販カタログが堅調で、これまでレディースのイメージが強かった衣料品のカタログ通販も、男性利用が見られ、新たな傾向があるようです。

・カタログでしか買えない逸品が売り上げ上位

衣料品や雑貨など幅広いジャンルの商品を取り扱う通販カタログ「通販生活」の2021年夏の売り
上げランキングによれば、雑貨、ファッション、食品それぞれ、次の結果となりました。

雑貨TOP3
1位 ダニ捕りマット
2位 メディカル枕
3位 マキタのターボ(充電式クリーナー)

ファッションTOP3
1位 猛暑対策パーカ
2位 綿麻ガーゼの涼やかベスト
3位 天日干しふっくらブラウス

食品TOP3
1位 石川酒造場の元祖もろみ酢
2位 長崎県たちばな湾の薄焼いわし
3位 伊東魚油製造場のマグロのあたま

いずれも個性的で、カタログ通販でしか買えない逸品が並んでいるのが特徴的です。

(2)カタログで購入する理由

・関与度が高い商品を買うチャネル

一般的に、カタログ通販の購買行動の特徴として、ネット通販のように、「安いから」「手軽だから」などの理由よりは、カタログ掲載の商品に惹かれ、興味を持ち、その背景や開発ストーリー、機能性などに共感してから購入するという流れがあるといわれています。

(3)カタログでの購買行動の特徴

・購入をじっくり楽しむ

カタログ通販は、家でじっくりカタログを眺め読み込んでから購入を決める、という購入行動そのものを楽しめるという側面もあることが推察できます。

まとめ

前編では、最新のデータからネット通販とカタログ通販の利用状況について紹介してきました。
両者の大きな違いは「購入理由」に顕著に見られ、ネット通販では「安さ」と「利便性」なのに対して、カタログ通販では「関与度が高い」商品を購入できるからという点でした。
また、コロナ禍の影響では、ネット通販で購入する商品カテゴリとして、より実用的な消耗品が増え、年代別ではシニア層の利用が拡大したことが特徴的でした。
後編では、実店舗の利用実態に迫ります。

【調査出典】
プラネット「ネット通販に関する意識調査」(2021年)
総務省「ネットショッピング利用世帯の割合の推移(世帯主の年齢階級別)」(2017年1月~2020年6月)
総務省「令和3年版 情報通信白書」(2021年)


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