「販促物の種類やボリュームが多く、配送や保管の費用がふくらんでしまっている」「運用拠点が分散していて、在庫や受発注状況が見えない」「販促物ごとに取り扱い方法が異なり、管理が大変…」などなど、販売促進に関わるなかで「物流」に関するお悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。

特に今、労働力不足やコロナ禍でのECの拡大などを受け、業務負荷やコスト低減のニーズはさらに高まりつつあります。
そのような状況のなか、物流サービスには今どのようなものが求められ、また今後どのように変わろうとしているか。HintClip編集長の杉山毅が、共同印刷のグループ会社としてさまざまな物流サービスを提供している共同物流株式会社の「首都圏物流センター」を訪問し、経営企画部部長の梅垣雅義にインタビューを行いました。

「製品」と「販促物」の切り分けが進む物流サービス

杉山:近年、物流業界を取り巻く環境は大きく変化していると思います。まずは、昨今の業界のトレンドについてお聞かせください。

梅垣:物流業界の大きなトレンドとして挙げられるのが、「省人化・自動化」です。少子高齢化によって労働人口が減少しているため、将来を見据えてIoTやAIを活用し省人化・自動化していこうという動きが業界全体で活発化しています。
特に大手の印刷会社では、大規模な自動倉庫を建設したり、DX(デジタルトランスフォーメーション)※を推進したりと、非常に意欲的な動きが見られます。こうした動きは20年ほど前からありましたが、コロナ禍でのEC物流の増加を背景に、より加速している印象を受けますね。

※DX(デジタルトランスフォーメーション):データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

杉山:販促物の物流に関してはどのような変化が見られますか。

梅垣:販促物においては、「アウトソーシング化」「保管場所の集約化」が挙げられます。もともと販促物はメーカーの営業部門が持っていることが多く、全国に複数の営業拠点がある場合、その拠点ごとに管理をしているというケースが多くありました。しかし、それでは在庫管理に手間がかかりますし、無駄なコストも発生しやすいので、アウトソーシングして1カ所にまとめていこうという動きが出てきています。
その背景にあるのは、リモートワークの増加です。コロナ禍になってから、営業でも出社せずに、自宅を拠点として仕事をする方が増えました。そうなると、アウトシーシングして1カ所にまとめておいた方が、必要なときに必要な分だけ必要な場所に発送してもらえるので、営業担当者にとっては仕事がしやすいわけです。リモートワークの増加によって、こうしたメリットに気づかれる企業や担当者が増えたため、保管方法の見直しが進んでいる状況です。


[販促物の物流サービスのトレンド]

  • ●アウトソーシング化
  • ●保管場所の集約化
  • ●製品と販促物の物流の切り分け

杉山:「EC物流の増加」が物流業界全体の課題のようですが、販促物の物流においては「EC物流の増加」により、どのような影響を受けていますか。

梅垣:EC物流の増加という面では、「保管物を種類ごとに切り分け」するお客さまが増えていますね。同じ物流でも、メーカーの「製品」と「販促物」では求められる管理も工程も異なります。製品であれば管理にJANコード※が使われますが、販促物にはそのJANコードがありません。
そのため、製品と販促物を一緒に保管して出荷する場合、販促物の個々の梱包に、コード入りのラベルを貼る業務が発生してしまいます。
製品と販促物の両方に柔軟に対応できる広さや仕組みが整っていれば問題ありませんが、店舗販売とECの両方を展開している企業の多くは、そのような環境を整備できていません。そのため、ECの出荷量が増えるにつれて管理しきれなくなり、コスト増にもつながっているため、「それならば製品と販促物を切り分けて管理しよう」と考えられるようになっています。

※JANコード…Japanese Article Numberの略で、「どの事業者のどの商品か」を表す世界共通の商品識別番号。標準タイプ(13桁)と短縮タイプ(8桁)の2つの種類がある。

梅垣雅義

私たちがお役に立てること 販促物に特化した共同印刷の物流サービス 販促物のデイリーでの保管発送業務のほか、新製品や季節ごとに行われるキャンペーン施策。販促物の企画・制作・製造から保管・発送・事務局業務まで対応します。 詳細はこちら

「物流加工」と「保管」でプラスαの価値を提供したい

杉山:共同物流の事業概要を教えてください。

梅垣:当社は、共同印刷の輸送部門を母体として1964(昭和39)年に設立され、以降、販促物の物流サービスを軸に物流関連事業を展開してきました。現在、首都圏(越谷)・東京(和光)・越生を物流加工事業の拠点とし、 各種サービスを提供しています。

当社が常に心がけているのが、“人と人をつなぐ物流”です。物流は荷を扱うとともに情報やサービスを提供しており、それによって社会に貢献する企業でありたいと考えています。

杉山:昨今のトレンドを受けて、今後伸ばしていきたい事業やサービスは何でしょうか。

梅垣:当社の事業は、大きく次の三つのカテゴリーに分かれます。
一つ目が「輸送」。共同印刷グループの一員として印刷物の輸送で培ったノウハウを生かし、お客さまのニーズに合った輸送手段を選び、安全に運びます。
二つ目が「加工」。物流加工センターに各種機器を配置し、館内セキュリティを備えた上で個人情報や機密に対応するノウハウを提供します。
そして三つ目が「保管」。お客さまの荷物を大切にお預かりし、必要に応じて出荷の手配を行います。
この三つのなかで、「輸送」は他社との差別化が図りにくい部分です。そのため、今後は「加工」で差別化を図り、それに伴って「保管」を伸ばしていきたいと考えています。

[三つの事業カテゴリー]

3つの事業カテゴリー 輸送 加工 保管

首都圏物流センター≪2019年3月に竣工した首都圏物流センター。本社、首都圏営業所も併設≫

倉庫のフォークリフト写真左≪入出荷バース(荷下ろし場)。屋外には大ひさしが設置され、雨天時の作業も可能≫
写真右≪倉庫は、在庫回転率の高い在庫と低い在庫に分け、効率的に管理≫

万全のセキュリティで高付加価値作業を提供「首都圏物流センター」

杉山:首都圏物流センターはどのような特長があるのでしょうか。

梅垣:首都圏物流センターの一番の特長は「高度なセキュリティ」です。
多くの個人情報や機密情報を取り扱う当社にとって、セキュリティは事業を展開する上での絶対条件です。そのため、首都圏物流センターでは、全フロアでICカードによる入退室管理とモニターカメラでの管理を実施しています。ICカードは、ゲートから始まり、エレベーター、各部屋に至るまであらゆる動線で必要になります。モニターカメラは倉庫にも設置しており、死角はゼロです。
今後はご要望に応じて、夜間や電源が切られた後の暗い状態でも監視ができる赤外線カメラの設置を検討したいと考えています。

セキュリティ・スイングゲートと電動式移動パレットラック写真左≪セキュリティ・スイングゲート。入退双方向に通行が可能≫
写真右≪倉庫内の電動式移動パレットラック。無駄なスペースをなくし、格納効率がアップ≫


杉山:高付加価値サービスのための環境も整備されているようですが、個々の施設の特長について教えてください。

梅垣:「機密作業室」では、各種販促物の計測、丁合、ラベリング、封入、梱包などを行います。例えば、光センサーでDMの束を計量できる「光員数機」や、バーコードを読み込ませると自動でデータを取得し印字・ラベル貼りができる「オートラベラー」など、高効率・高精度な作業機器を配備し、ミスや不良がでない仕組みを構築しています。

カウンティングスケールとラベリングマシン写真左≪販促物の重量から個数を計測できるカウンティングスケール≫
写真右≪ラベリングマシン。ハガキサイズであれば1時間に最大8,000通の貼り付けが可能≫

セットアップの様子と光員数機写真左≪ギフト、家電、通販商品のセットアップの様子。種類ごとに異なる加工を手際よく行う≫
写真右≪光員数機。光センサーによる高精度の員数カウントで品質を保証≫

「クリーンルーム」では、化粧品・医薬部外品製造業許可を取得し、徹底した衛生管理のもと、化粧品・医薬部外品の包装・表示・保管などの作業を行っています。
このクリーンルームでは、異物を「混入させない」のではなく、異物を「入れない」ための設備と仕組みを構築しています。出入り口は、片方のシャッターが閉鎖しないともう片方のシャッターが開閉しない「インターロック式シートシャッター」を導入。また、前室で靴カバーの装着、白衣・帽子・手袋の着用、エアシャワーなどを済ませないと入室できない仕組みになっています。

エアシャワーと靴カバー取り付け機写真左≪ホコリなどを除去するエアシャワーは、お客さまの品質基準に準じて動作時間を設定≫
写真右≪前室の靴カバー取り付け器。足を入れると自動的に装着される≫

クリーンルーム≪クリーンルーム作業場。各種計量器やオートラベラーが設置され、エンドユーザーへの発送業務を効率的に行える≫

販売促進に関わる資材・業務、そのすべてに対応

杉山:共同物流は創業以来、販促物の物流に携わっていますが、強みはどのようなところにありますか。

梅垣:大きく分けて、三つの強みがあります。
まず、一つ目が「すべての販促資材の物流管理に対応できる」こと。一口に販促物といっても、カタログやチラシ、POP、ノベルティなどの販促グッズから、代理店・販社向けの営業ツール、クライアント向け見本品まで、多種多様です。当社ではそのすべてを、出庫から着日指定発送・納品完了まで、トータルでサポートすることが可能です。
二つ目が「少量多頻度物流が得意」ということです。販促物の物流は、少量かつ多頻度での対応力が強く求められます。当社の場合、創業以来販促物の物流に特化したサービスを提供してきましたので、きめ細やかな対応が可能です。
三つ目が「販促活動をDXなどで一貫して支援する管理体制」です。販促活動には、キャンペーンの事務局やデータ処理など、さまざまな付帯業務があります。これらを一貫して支援できる機能を完備している点は、当社の強みだと言えます。最近では、共同印刷グループが提供する販促物の在庫管理・注文システム「LOGISMART®(ロジスマート)」の拡張機能の開発も進めています。

LOGISMART®(ロジスマート):販促物の在庫管理・注文システム
https://www.kyodoprinting.co.jp/products/it-communication/system/logismart.html


[共同物流の三つの強み]

  • ●すべての販促資材の物流管理に対応できる
  • ●少量多頻度物流が得意
  • ●販促活動をDXなどで一貫して支援する管理体制

杉山:上記のような強みを発揮するために、仕組みの面で何か違いがあるのでしょうか。

梅垣:強みを支える仕組みとして、当社独自のWMS※があります。先述したように、販促物に関してはJANコードなどの特別な商品コードがありません。当社は創業以来、商業印刷物すなわち販促物に携わってきたので、“販促物を特定できるバーコードを付与し管理する独自システム”を構築しています。そのため、どのような販促物のご依頼をいただいても対応できるのです。

※WMS…Warehouse Management Systemの略称で、倉庫管理システムを意味する。入荷、在庫、流通加工、帳票類の発行、出荷、棚卸など、物流センター内の一連の作業を一元管理して効率化するソフトウェアのこと。

梅垣


[共同物流の販促物物流サービスの事例]

  • ■大手保険会社さま
    保険約款、パンフレット、ノベルティ保管・発送作業
  • ■大手食品メーカーさま
    店頭販促サービススタッフから返送された販促物・資材の検品から清掃、再送のための再梱包、保管・発送作業
  • ■通信会社さま
    ユーザーから返品されたルーターを分別し、再利用できる製品はクリーニング・修理をして再納品するリファビッシュ(回収利活用)
  • ■大手家電メーカーさま
    ユーザーから返送された製品に販促品をセットして再送するためのパッケージ加工作業
  • ■広告代理店さま、大手食品メーカーさま、大手家電メーカーさま
    キャンペーン窓口などの業務、キャンペーン景品の保管・セット・発送などの業務全般
  • ■国内大手医薬品メーカーさま、国内大手化粧品メーカーさま
    サンプル品セット作業から発送作業

回収→加工→再発送の循環を回すことで、廃棄物の削減にも貢献!

杉山:事例を見ると、販促物や販促資材を輸送・加工・保管するだけでなく、再循環させている事例も多いですね。

梅垣:そこも当社の強みだと感じています。今はコロナ禍で数は多くありませんが、当社では店頭販売の現場でスタッフの方々が使用する販促物・販促資材の発送業務を行っています。発送といいましたが、それで終わりではありません。店頭販売終了後は、その販促物を回収し、検品・保管。再度店頭販売のタイミングがきた際に、中身を作り直して再度納品しています。このように、回収して再活用する物流のことを「静脈物流」と呼んでおり、当社ではこうした実績をいくつか持っています。これは、生産者から消費者へ生産物を届ける「動脈物流」と対比した取り組みです。
「静脈物流」をさらに発展させることができれば、さまざまな可能性が出てきます。例えばメーカーであれば、ユーザーから機器を回収し、洗浄や修理などを行った後、再度ユーザーに発送するということも可能です。無駄な廃棄をせずにリファビッシュ(回収利活用)することで、ESGやSDGsの取り組みにもつながるのではないかと考えています。

杉山:環境負荷低減という意味では、プラスチックを減らしたり、再生紙を使ったりするだけではそこまで大きな効果は見込めない面があります。
そうしたなかで、「仕組み」そのものを提案する必要があると感じています。当グループには、パッケージ部門と物流部門があるので、再利用に適した容器を開発して、回収・洗浄・再充填し、再利用するサプライチェーンに加われば、ビジネスを展開することが可能なはずです。また、店頭什器などの販促物についても同様に、回収・整備して再利用ができます。
さらに、当社のマーケティング機能を使えば、その環境に配慮した「循環の仕組み」に参加している企業のブランディングを支援することもできる。
環境への取り組みに積極的なメーカーや流通のお客さまに、そんな「仕組み」を提案したいですね。

[リファビッシュ(回収利活用)な物流サービス例]

リファビッシュのフロー図

梅垣:そうですね。そのためにも、共同印刷グループ各社との協業にさらに力を入れていきたいと考えています。グループには情報コミュニケーション、情報セキュリティ、生活・産業資材など多様な事業のインフラが整っています。こうしたさまざまな部門とコラボレーションすることによって、紙媒体だけではない新しい領域に事業を拡大していくことができるのではないかと考えています。

共同物流株式会社

経営企画部 部長

梅垣 雅義

1964年生まれ、京都府出身。大学卒業後、倉庫会社入社。保税蔵置場(ワイン・医薬品)、音響機器、飲料、食品、雑貨などの倉庫・輸送業務を担当。その後、物流子会社で新規拠点、販促品センターの立ち上げ、営業・管理などに携わり、2017年共同物流入社。2018年越谷開設準備室長、2019年より現職。

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