いま、世界的にQRコード決済に注目が集まっています。中国の巨大ECサイトを運営するアリババ社によるQRコード決済が可能な「アリペイ」をはじめ、日本でも有名企業やメガバンクがQRコード決済に踏み切るニュースが相次いでいます。
またECの需要が増す中、物流における在庫管理による業務効率化を実現する「物流改革」が各所で進められている中、RFIDなどの新しいコード活用も注目されています。
QRコードやRFIDをはじめとした自動認識技術には、他にもさまざまなものがあるのをご存知でしょうか。また、進化する新しいコードは、ビジネスにおけるさまざまなシーンにおける活用と共に、働き方改革で求められる業務効率化にも役立てられる可能性が広がっています。ぜひ確認しておきましょう。
従来のバーコードやQRコード・RFIDの違いを整理!
自動認識技術とは、「人間を介さず、ハード、ソフトを含む機器により自動的にバーコード、磁気カード、RFIDなどのデータを取込み、内容を認識する」(日本自動認識システム協会HPより抜粋)技術のこと。
パスモやスイカといった乗車券、社員証、電子マネーなどのICカードに使われている技術も、コンビニで読み取る商品のバーコードも、すべて「自動認識技術」です。
このような自動認識技術には、他にどのような種類があるのでしょうか? 最も基本的なのがバーコードとQRコードです。それぞれ1次元コード、2次元コードに分類されます。
・1次元コード
白黒の棒で構成されている縞模様の符号。線の太さ、間隔を変えることで数字や文字の情報を表現します。買い物をしたときにレジでピッと読み取る、商品につけられたバーコードも1次元コードです。
バーコードはJANコード(国際的にはEANコード)と呼ばれていて、ほとんどの生活用品に付けられています。13桁もしくは8桁で構成され、国・商品メーカー・商品アイテムの情報が含まれています。店舗ではPOSシステム(販売時点情報管理システム)と連動して、価格・売上・在庫などの管理を行っています。
他にも1次元コードには物流コードとして使用されるITFコード、工業用として仕様されるNW-7、CODE39など、さまざまな種類があります。
・2次元コード
線の太さや間隔など横方向にしか情報を持たない1次元コードと異なり、縦横両方向に情報を持つのが2次元コードです。そのため、1次元コードの数十倍から数百倍の情報を持つことが可能です。
2次元コードのなかでも代表的なのが、「QRコード」です。QRコードは(株)デンソーウェーブが開発したコードで、2002年以降、QRコードが読み取れる機能を搭載した携帯電話の発売と共に、急速に広まりました。
携帯電話からWebサイトにアクセスする際、QRコードを読み取ればURLが表示されるのは、QRコードがアルファベット、数字、記号などの多くの文字情報を持つことができるためです。
QRコードは、キャンペーンWebサイトへの誘導やロッカーの鍵代わり、企業の在庫管理などに活用されています。最近注目されているのが、冒頭で紹介したQRコード決済。店頭で商品を購入するときにスマートフォンで読み取るだけで決済ができるスマートさと便利さが特長です。先日、日本のメガバンク3行がQRコード決済の規格統一と連携の方針を固めたことが報じられました。今後、日本でもますます注目を集めると予想されます。
その他にも、2次元コードにはDataMatrixやVeriCodeなどがあり、電子部品や半導体など余分なスペースの少ない、小さな部品の管理に使われています。
一方で課題も…「一度にたくさん読み取りたい」を叶える新コード技術
これらの1次元コード、2次元コードは安定したシステム運用ができるメリットがありますが、一つひとつリーダで読み取る必要があります。つまり、複数の情報を同時に認識することはできません。しかし、いま在庫管理などの現場で求められている業務効率化・工数削減を考えた場合、複数の情報を一括で読み取ることは必要不可欠といえます。。その解決策となる自動認識技術が近年登場しており、主にRFIDとその他の新コードが挙げられます。
・RFID(Radio Frequency IDentification)
RFIDとは電磁誘導・電磁波を用いてRFタグ(電子タグ)に記憶された情報を読み書きするシステムです。バーコードとの大きな違いは、電波の届く範囲であれば複数を一度に読み取ることができる点です。
例えば、図書館での蔵書管理・貸出返却処理や、物品の在庫管理・棚卸などに導入されています。これまでバーコードを一つひとつ読み取って管理していたものが、複数一括処理できるようになったことで、処理スピードが上がり、各作業の効率化が実現しました。また昨今、どの業界でも人手不足が叫ばれる中、救いの一手となる無人化の可能性も広がっています。
RFタグにもさまざまな種類があります。形状別ではカード型、ラベル型、金属対応のタグなどがあり、機能別ではリーダからの電波を利用して動作する「パッシブタグ」、電池を内蔵して自ら電波を送信する「アクティブタグ」などがあります。これらを環境・用途によって使い分けます。
一見して、従来のバーコードなどと比べて優位性のあるRFIDですが、一方で課題もあります。まずRFタグは、バーコードに比べると価格が高いという面があることです。これまでバーコード管理だった現場に新たにRFIDを導入するとなると、機器の総入れ替え、システムの刷新などをはじめ、大幅な環境や運用変更が入ることになるため、コストだけでなく意識改革も必要になってきます。場合によっては運営・管理の労働人材そのものの質も変える必要が出てくる可能性もあります。また、RFIDは電波や水分など、周辺環境の影響を受けやすいという面もあります。RFID導入は、こうした特徴を理解したうえで行う必要があります。
・カラーコード
「カメレオンコード」「カラービット」など、色で認識をするコードです。1次元コード・2次元コードと異なり複数を素早く認識できること、RFIDのように周りの環境に影響を受けないこと、専用リーダが必要ないことなどのメリットがあり、注目されています。
・FullScanCode(フルスキャンコード)
共同印刷が開発した新しい2次元コードです。一番の特長は、2次元コードにもかかわらず、複数一括読み取りが可能な点です。専用リーダでなく、スマートフォンで読み取れます※。コードを動的な状態で読み取ることができる点や、カラーコードのように周囲の明るさや色合いの影響を受けにくいことも利点です。まさにこれまでの自動認識技術の“いいとこ取り”を実現したコードといえるでしょう。
※スマートフォンへのFullScanCodeの読み取り機能搭載が必要です。
このFullScanCodeを導入した企業事例に、複数並んだ荷物一つひとつにつけられた2次元コードをスマートフォンによって一括で素早く読み取ることで、管理業務が効率化したというケースがあります。
LIXILが実践する、棚卸工数の削減 ~FullScanCode(フルスキャンコード)導入事例
働き方改革、人手不足、EC浸透で増え続けるオーダーなどの背景を考えると、複数一括読み取り機能は、すぐにでも導入したい技術といえます。FullScanCodeは機器の一部の入れ替え、システムの一部改修で導入でき、コストもおおむね維持できるといったメリットがあり、比較的導入しやすいコード技術といえます。
多くの企業が商品を手作業や目視検査で管理していますが、時間がかかる上に間違いが発生しやすいという課題を持っています。共同印刷では運用の最適化を考えた上で、FullScanCodeの特長を生かした読み取りから管理までのシステムを設計、それに沿ったアプリを作成・提供し、課題解決のお手伝いをしています。
複数一括読み取りでコードの常識が変わる!?
日本では、10年以上前から、バーコードに代わる新技術としてRFIDの普及が期待されてきました。そこにカラーコードやFullScanCodeという新技術が加わったことで、自動認識技術はますます広がりをみせています。
いまQRコード決済が注目されていますが、まだ一つひとつを読み取っていることが多いのが現状です。しかし、先の事例のように企業における在庫管理用途としてはもちろん、消費者の決済や生活シーンでも「1度にたくさんのコードを読み取る」ことが当たり前になる日も近いかもしれません。
FullScanCodeは、すでに有名企業の日本国内工場の棚卸管理システムにモデル採用されたり、物品管理クラウドサービスに採用されたりしています。活用の幅を広げる、この新しいコード読み取り技術についてさらに詳しく知りたい方は、DL資料をご覧ください。
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