2019年4月17日(水)~18日(木)にターゲットメディア株式会社主催で開催された「第1回 MarkeMedia Days」において、共同日本写真印刷(株)の磯野周司が「実例紹介!営業支援、マーケティングでのパーソナライズド動画活用最前線」をテーマに登壇。
今回は、その講演の内容をご紹介いたします。
OneDougaチームリーダー
磯野 周司
横浜国立大学 工学部卒。在学中は、ヨットと変動風解析がライフワーク。卒業後、大手広告会社、住宅関連の事業会社、外資系Webサービス会社を経て、現職に至る。2015年2月よりパーソナライズド動画を研究。同年、OneDougaを立ち上げ。2019年1月より共同印刷グループで活動中。
はじめに
スマートフォン動画広告市場の急速な拡大により、動画マーケティングへの注目も高まっています。BtoCの分野はもちろん、BtoBでも積極的に活用されています。
前半では、期待が高まる動画市場の現状と将来について、以下4つの数字を通してお伝えします。
- ・2022年まで年平均成長率25%でトラフィックが増えつづける
- ・視聴者のスクリーンを1カ月に約70時間も占有するようになる
- ・54%の人が企業発信のコンテンツとして動画を高評価する
- ・パーソナライズで視聴者とのエンゲージメントが5倍になる
今、注目を集めている次世代通信「5G」は、携帯キャリア各社でプレサービスが開始される予定です。5Gでは処理できるデータの量が増え、4K動画など、さらに解像度の高い動画が活用できるようになります。これまで以上に、リアルタイムでコンテンツをパーソナライズできるようになり、「パーソナライズド動画」の需要も高まることが予測されます。
後半では、その「パーソナライズド動画」の効果と共に、すでに活用している企業の事例をご紹介します。
動画市場動向
・2022年まで年平均成長率25%でトラフィックが増えつづける
「国内のIPトラフィック」については、2017年時点では月に5.4EB(※)視聴されていましたが、2022年には年平均成長率25%で、月に16.9EBになっていると予測されています。
※EB(エクサバイト)はデータ量などを表す単位で、TB(テラバイト)の100万倍。
「IPビデオのトラフィック」については、2017年で月に4.1EB、2022年には年平均成長率25%で、月に12.8EBになっていると予測されています。
IPビデオの定義は、インターネットビデオ、IP VoD(ビデオオンデマンド)、ファイル共有によるビデオファイルの交換、ビデオストリーミングによるゲーム、法人系ではビデオ会議も含まれます。
また、「ビジネスにおけるIPビデオのトラフィック」については、2017年で月に0.7EB、2022年には年平均成長率35%で、月に2.3EBになっていると予測されています。
企業については、BtoBの利用が増えていき、ビデオカンファレンスがほぼ主流になっていくと考えられます。
・視聴者のスクリーンを1カ月に約70時間も占有するようになる
トラフィックが増加の一途をたどっていることがわかりますが、それを時間に置き換えると、どのくらいに増えるのかを見ていきましょう。
2022年の月間12.8EBのトラフィックを、仮に1億人が視聴したとする場合、一人当たりの月間視聴は約128GBとなります。
時間に直すと、60秒を30MBとした場合には一人当たり月間 約71時間。つまり、1日およそ2時間強くらいの視聴時間になります。
これまでテレビを見ていた時間が、インターネットテレビを見ている時間に置き換わるというイメージです。
・54%の人が企業発信のコンテンツとして動画を高評価する
コンシューマーは、企業が配信する動画をどう受け取っているのでしょうか。それがわかるのが、次のコンテンツ評価のデータです。これはアメリカのデータで、コンシューマーに対して「あなたが支持するブランドや事業からどのような種類のコンテンツを見たいですか」と聞いた結果です。
日本との差異はあるかもしれませんが、動画が最も高く、54%となりました。動画はわかりやすいので、多いのではないかと思われます。2位以降はEメール、SNSでの画像、またSNSでの動画が34%と続きます。
また、「どのような種類のビデオをソーシャルメディアで見るのが好きですか」という問いに対しては、エンタメ系がトップ、おもしろい系が2位。そして、3位は意外にも情報系や教育系で、61%と比較的多く受け入れられています。多いと思われた感動系より多い結果となっています。
出典:A HubSpot Digital Consumer Trends Report
動画広告市場予測
サイバーエージェントが毎年出している「動画広告市場推計」の2018年版では、2018年は1,843億円、年次成長率23%で2022年には4,187億円と予測されています。
近年と比べ、伸びに鈍化がなくなっています。その理由は、今後の「5G」の普及や世界の動画市場の伸びにあると考えられます。
出典:株式会社サイバーエージェント 「2018年動画広告市場調査」
以上のマーケットリサーチの結果から、動画の成長は著しいことが予測されています。企業は今後、動画を活用しない手はないといえます。
パーソナライズド動画の効果
動画のなかでも、おすすめしているのがパーソナライズド動画です。続いて、なぜパーソナライズがよいのかを解説します。
パーソナライズド動画とセグメント動画
はじめに、セグメント動画とパーソナライズド動画の定義をご説明します。
それぞれの動画は、以下のように区分されます。どちらの動画も、動画の内容そのものに視聴者固有の情報やセグメント条件が反映されます。
●セグメント動画
性別、年齢などの特定のセグメント条件を動画に反映したもの。
【セグメント条件例】
視聴者:性別、年齢・年代、地域、趣味嗜好、誕生日
動画配信者:過去購入商品、最寄り店舗、担当営業
●パーソナライズド動画
視聴者固有の情報を動画に反映したもの。
【視聴者固有の情報例】
氏名、住所、契約内容、個人購入履歴、家族構成、住所
出典:共同印刷監修「ゼロから分かるパーソナライズド動画入門第2版」
・パーソナライズで視聴者とのエンゲージメントが5倍になる
OneDougaの実測データ解析では、動画のパーソナライズにより、視聴者とのエンゲージメントは通常の動画の5倍になるという結果が出ました。これはどういう数字なのかを解説します。
上記の図は、eメールを配信したときのファネルです。リスト数、開封数、クリック数(アクセス数)、アクション数(再生数)がありますが、この一番下のアクション数、つまりどのくらいの人数が再生したのかについて、通常の動画、セグメント動画、パーソナライズド動画を比較してみましょう。
通常の動画は10%、セグメント動画は38%程度、パーソナライズド動画は50%を超えています。
以下の数字は、再生数をアクセス数で割ってわかる再生率です。
- Video 11.8%
- Segment Video 37.6%
- Personalized Video 54.1%
この数字からも、企業から消費者へ配信する動画は、パーソナライズド動画が有効であることがわかります。もちろん、マーケティングをパーソナライズできる各種ツールが整っている環境面も成功の一因になります。
ちなみに、「視聴維持率が高い」という点もパーソナライズド動画の特長です。簡単に言えば、「動画を最後まで見る確率が高い」ということです。
一般的に企業から配信した動画は視聴維持率が50%程度といわれていますが、パーソナライズド動画の場合、一回再生開始すると、最後まで再生してくれる確率が上がるのです。
パーソナライズド動画事例紹介
続いて、共同印刷が提供する動画ソリューション「OneDouga(ワンドウガ)」の制作事例をご紹介します。OneDougaは、パーソナライズド動画の制作と配信、視聴履歴分析を簡単に実現できる動画ソリューションです。
1.パーソナライズド動画の用途
パーソナライズド動画がどのような用途で制作されているか、業態別にご紹介します。
●BtoC
(1)マーケティング&営業支援
(2)顧客満足
●BtoBtoC or BtoB
(1)営業支援
●業態問わず
(1)経営・マネジメント支援
(2)人事支援
(3)業務支援
(4)リスクマネジメント支援
より詳しい内容は、DL資料にまとめています。ぜひご参考にしてください。
『実例紹介!!パーソナライズド動画活用最前線』
2.5つの事例
どのような内容のパーソナライズド動画(一部セグメント動画含む)を制作したのかを5つの事例でご紹介します。
(1)不動産会社A社さま
●活用目的
営業支援(テレマーケティング サポート)
●解決課題
営業パーソンによるテレアポ獲得数の向上
●動画の内容
物件を売買する不動産会社A社へ資料請求したお客さまやモデルルームの来場者に、物件の案内をパーソナライズド動画で視聴していただきました。興味を寄せていただいた物件の画像やインテリアのおすすめポイント、最後に営業担当者の写真や名前を入れました。
(2)学校法人B大学さま
●活用目的
より多くの出願・入学者の歩留まり向上
●解決課題
大学の魅力を伝えると共に、入学後の生活を想起させるような、感性に訴えかける動画をダイレクトに届け、訴求を図る
●動画の内容
一般入試合格者の受験生および保護者に向け、学校内や入学式を疑似体験できる動画を制作しました。
(3)資産運用会社C社さま
●活用目的
リスク診断シミュレートの結果をセグメント動画で配信し、資産配分の提案を行う
●解決課題
投資信託のハードルを下げて、潜在客を顕在化する
●動画の内容
ある資産運用会社の公式ホームページ上で、投資に興味がある方、投資を始めようと思っている方向けにリスク診断シミュレートの結果をセグメント動画で配信し、資産配分の提案を行いました。
(4)各社
●活用目的
年始のあいさつ
●解決課題
新年最初のあいさつメールでインパクトを与えて、接点強化
●動画の内容
複数の企業向けに、BtoBの顧客、見込客などのステークホルダーへ向けた年賀状を動画で制作し、年始のあいさつメールなどに活用していただきました。
(5)ドラッグストアD社さま
●活用目的
内定承諾率の向上
●解決課題
オヤカク(※)対策
※企業が内定者に両親から入社の承諾が取れているか確認する、または内定者の両親に直接連絡をして入社の承諾を取る活動のこと。
●動画の内容
内定者のうち特定学部卒業見込みの方に向け、社長やリクルーター、面接担当者が登場し、メッセージを送る動画を制作しました。面接担当者の「入社いただきたい理由」や「内定を出した理由」など、内定者が気になる個別の内容を盛り込みました
パーソナライズド動画の活用方法
パーソナライズド動画の具体的な活用方法をイメージできるよう、実際の事例を踏まえた活用方法をフローや仕組みと共にご紹介します。
企業がパーソナライズド動画を検討する時は、人手不足で伝えることができない、商品が分かりにくいため上手く伝えられないなど顧客とのコミュニケーション上の課題を抱えている場合が多いでしょう。
パーソナライズド動画を活用すれば、そうした課題は解決しやすくなります。
1.「動画×SMS」で店舗誘因!
「動画×SMS(ショートメッセージサービス)」によって店舗誘因を行う方法です。これはパーソナライズド動画ではなく、通常の動画の活用事例です。
●課題
・店舗にもっと誘引したいが、なかなか自社のサービスを理解してもらえない。
・従来のDM施策にプラスアルファで強化が必要。
・効果測定をしっかり行いたい。
●動画配信フロー
OneDougaでキャンペーン動画のユニークURLを発行
↓
SMSでユニークURLを見込み客に配信
↓
見込み客がSMSからユニークURLにアクセス
↓
来店
プロモーションにショートメッセージサービスを導入しました。来店させるところまでが担当部のミッション。パーソナライズド動画でもセグメント動画でもない、通常の動画ですが、ユニークURLのため、個人視聴がカウントでき、効果測定が可能になります。
作業担当者に、システムから個人データを入れていただいて、OneDougaは動画のユニークURLを送信しました。3ステップくらいでできる、簡単な仕組みです。利用者の方が動画を視聴したら、その視聴データを取得しました。
●成果
動画を見た方の来店率が高まりました。
2.「パーソナライズド動画×マーケティングオートメーション(MA)」→ナーチャリング強化動画
パーソナライズド動画とMA、つまりマーケティングオートメーションをかけ合わせる活用方法です。カスタマージャーニーにおいて、見込み客に“効く”メッセージをパーソナライズド動画で自動で作成し、配信します。
●課題
リードナーチャリングを強化したい
●動画配信フロー
見込み客がWebページに流入
【動画メッセージ】
「Webサイトへ訪問いただいたお客さまへ」
↓
資料請求
【動画メッセージ】
「〇〇さま、資料請求ありがとうございました。」
↓
誕生日◯◯日前
【動画メッセージ】
「〇〇さま お誕生日の〇〇日前となりましたので、ご提案します。」
↓
打ち合わせ予約
【動画メッセージ】
「〇〇さま ◯月◯日の面会ご予約担当のご紹介です。」
↓
新規契約
【動画メッセージ】
「〇〇さま、ご契約御礼申し上げます。」
マーケティングオートメーションのトリガーキャンペーンを活用し、MAのデータベースにある個人情報や顧客ステータス(スコア)によって内容の異なる動画を配信します。
例えば、次の値をパラメータや引数にして、動画コンテンツの内容を個別に変更できます。
・氏名
・誕生日
・特定商品ページの閲覧履歴
・資料請求の有無
・対面商談の有無
・担当者情報
●成果
カスタマージャーニーの各段階において、効果的にリードナーチャリングを行うことが可能です。
そのほかの活用事例は『実例紹介!!パーソナライズド動画活用最前線』にまとめています。ぜひDLしてご覧ください。
・売却系の不動産会社によるパーソナライズ動画活用事例
「パーソナライズド動画×Eメール」→ファーストアプローチ強化動画
・SFAを活用した、自動車のディーラーの事例
「パーソナライズド動画×SFA」→来店者向け営業ツール動画
・Web成約を強化するための動画を制作した事例
「セグメント動画×LPO(ランディングページ最適化)」→Web成約強化動画
まとめ
動画市場の動向や今後の予測、およびパーソナライズド動画の活用事例をご紹介しました。
パーソナライズド動画は、あくまでもコンテンツの一つであり、活用方法は非常にたくさんあります。
今回はマーケティング&営業支援の活用事例をご紹介しましたが、先に挙げた「パーソナライズド動画制作事例まとめ」の活用例は、氷山の一角にすぎません。
今後は人事、業務支援、研修用のトレーニング動画やリスクマネジメントなどのバックオフィス系でもパーソナライズド動画の活用が増えると見込んでいます。これらの分野では、まだあまり動画は使われていませんが、今後はニーズが高まっていくと考えています。
ユーザーのニーズは、どんどん変わっていきます。それに応じたコンテンツを活用したいと検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
【OneDougaLP】
https://www.onedouga.jp/
関連資料
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実例紹介!!パーソナライズド動画活用最前線
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