2016年においてFacebookのVP(ヴァイスプレジデント)であるNicola Mendelsohn氏は、2021年までにFacebookのコンテンツが「すべての動画」になると予測しました。さらに、Cisco Systems G.K.社によれば、全世界の消費者によるインターネットトラフィックに占める動画トラフィックの割合は、 2016年の73 %から2021 年までには 82 % になるとも予測しています。

このような各種データからも、世界で動画マーケティングが今後の主流となると予測されており、日本でも企業があの手この手でYouTubeなどを活用した動画マーケティングに着手し始めています。しかし、動画マーケティングで効果を得るためには基本を知る必要があります。そこで、前編では動画マーケティングを成功に導くポイントとして、戦略の基本となるデータの読み解き方と、ソーシャルメディア専門家のChristine Gritmon氏が「INBOUND 2018」で語った「販売ファネルで有効に動画を活用する4つのステップ」をご紹介します。

【この記事には後編があります】
海外から学ぶ! 動画マーケティングを成功に導く戦略のヒントとは? 【後編】~アメリカで効果を上げているSNS広告動画~

データを紐解き、動画戦略を導き出す

02.jpg

まず、動画マーケティングが先行している米国から、有効ないくつかの統計や指標を示した調査データを紐解いてみましょう。その中で、動画プラットフォームを運営するVidyard社の「2018 Video in Business Benchmark Report」によると、以下の事実がすでに明らかになっています。

  1. 1、ハイテク関連および専門サービスのビジネスでは、毎月のように最新の動画を公開する傾向がある
  2. 2、ビジネス関連動画の視聴回数の89%はデスクトップブラウザで閲覧されており、携帯端末ではわずか11%である。
  3. 3、動画の平均的な長さは9分ですが、昨年公開されたすべての動画のうち75%は2分足らずとなっている。
  4. 4、動画を最後まで閲覧する視聴者の平均割合は46%で、動画の長さは最後までの閲覧に大きく影響。90秒未満の動画が平均59%に対し、30分以上はわずか14%のみとなる。
  5. 5、動画マーケティングについて効果測定や分析を行っている企業では、動画制作に関するROI(=return on investment、投資に対し得られる利益)は2倍に改善しています。

上記資料では他にもいくつかの示唆が示されています。ただし、動画マーケティングについては戦略を組み立てた上で、実施された施策分析・効果測定を行うことがまず重要です。それによって、短時間で視聴者の興味関心を引きつけながら、潜在・既存顧客化などのコンバージョンへと導いていく必要性が見えてきます。

見込み客からリピートまで、セールスファネルに合わせて制作

03.jpg

効果的な動画マーケティングを行うためには、タレントなどを起用した華美なものや多額の投資をかける必要はありません。高い評価を得ている中には、時間やお金をほとんどかけず、視聴者にとって役立つコンテンツとなっているものもあります。

動画マーケティングにおいては上述のように調査データや各種指標を紐解きつつ、いかに次のステップへ導くかというプロセスを考慮する必要があります。それは販売の仕組みで、人の心をつかんで見込み客から顧客へ、そしてリピート化させることでもあります。

それには顧客が購買に至るまでの心理にあわせた動画を活用しアプローチします。顧客化へと導くステップは「1、ATTRACT(惹きつける)→2、CONVERT(顧客へ転換する)→3、CLOSE(購入に導く)→4、DELIGHT(喜んでもらう)」の4つがあり、それぞれの段階に合わせた動画制作を意識する必要があります。

4つの基本ステップとは?

動画マーケティングにおけるベースとなる4つのステップは、それぞれにアプローチするターゲット層も変わるので提供すべき動画素材も当然変化します。しかし、これをうまく活用して各ステップのターゲット層を絞り込み、細かくコンテンツを変えれば、少ない投資で高い効果を生み出す動画マーケティングを実現できるのです。ですから、まずは基本の4つを押さえる必要があります。

1、ATTRACT(惹きつける)

このステップでは既存の顧客やファン層に近いけれど、自社を知らない人々がターゲットです。ブランドや商品・サービスについての情報がまったくない段階なので、短いビデオで自社がどのようなブランドであるか、その特長やニュアンスを端的に伝えるビデオが有効です。

2、CONVERT(顧客へ転換する)

ここでは見込み客へ転換していくステップです。押さえておくべきポイントは、なぜ自社商品やサービスが役立つのか、また信頼に値するのかを伝えることです。そして、自社の価値を伝えるためのオファーやダウンロードコンテンツなどをプレゼントするタイミングでもあります。ターゲットとしては、過去に自社のWebサイトを訪れた人やメーリングリスト、過去の顧客などが挙げられます。

3、CLOSE(購入に導く)

いよいよ、購入へ導く(クロージング)ステップです。「案件を獲得するために先に与える」ような価値あるビデオコンテンツが有効となります。例えば、ライブ動画やウェビナー(オンラインセミナー)、またはWeb会議ソフトなどのようなツールを使ったコンサルティングです。

さらにはFacebookピクセルツールを使い、より絞り込まれた「有力な見込み客」のみへのアプローチも考えられるでしょう。ここで忘れてはならないのが「十分に与えてから刈り取る」という観点です。

4、DELIGHT(喜んでもらう)

最後のステップでは既存顧客へのアプローチを強化します。既存顧客は何度もリピートする可能性もあり、また別の角度から見れば、潜在的に自社を好意的に広めてくれるプロモーターでもあります。そこで、ここでは顧客にもっと貢献できるような「付加価値」を提供する動画が有効でしょう。

1つのアイデアとして例を挙げるならば、自社商品やサービスを使い成功した顧客の動画作成が考えられます。あるいは、顧客自らが作成したコンテンツ(動画や写真など)を収集したり、無料サービスをPRする動画の展開という方法もあるでしょう。ゴールは、ユニークあるいは革新的な方法で顧客を驚かせ、顧客を「伝道師」に変えてしまうことです。

まとめ

04.jpg

ユーザーの92%は動画を見て購入意思を決定している、あるいはメッセージの“95%”をも覚えているというデータもあるほど、動画マーケティングは潜在的な可能性を多く持っています。一方で、活用においては統計や指標を参考に、かつマーケティングの基本的な4つのステップを踏まえ戦略を組み立てる必要があります。これを機に、今後の自社ブランドや商品・サービスの方向性や顧客リストなどを見据えながら、自社オリジナルの動画マーケティング戦略を構築してみてはいかがでしょうか。

【後編はこちら】
海外から学ぶ! 動画マーケティングを成功に導く戦略のヒントとは? 【後編】~アメリカで効果を上げているSNS広告動画~

【合わせてお読みください】
今から追いつく!動画マーケティング、はじめの一歩
動画マーケティングのリアルタイム化! LIVE配信がアツい
動画活用にInstagramという選択肢:視聴者に届くアピール法4選
マーケティング動画制作担当者必見!バズる動画を作る4つのポイント
【海外プロモーション事例】バラエティー豊富!IKEAの動画シリーズが面白い


おすすめ資料