ビジネスにおいて「動画マーケティング」が重要な役割を担うことは前編の通りです。中でも、動画ツールとして広告利用が急成長しているSNS 関連。実際、各企業の動画コンテンツ視聴率は、YouTubeは99%、Facebookでは2016~2017年にかけて何と258%も増加しています。さらに、文字と写真のイメージが強いTwitterでも、動画付きツイートは6倍多くリツイートされるとも言われています。以前のマーケティングで一般的だったテレビCMと比べ、SNSと紐付けた動画コンテンツは今後外せない「広告市場」となるでしょう。後編では各SNSから、アメリカで注目を集めている動画サービスを紹介しつつ、活用の戦略を見ていきたいと思います。
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海外から学ぶ! 動画マーケティングを成功に導く戦略のヒントとは? 【前編】~アメリカで効果を上げているSNS広告動画~
1、Facebook事例「Airbnb」
Facebookは毎月22.7億人以上のアクティブユーザーがいると言われ、SNSでは「最大の視聴者数」を誇ると言えます。これは世界人口の3分の1を超え、しかも毎日約1億時間分の動画が視聴されています。また、2500万の広告主と5000万の小規模企業がマーケティングページを掲載。投稿のみならず、付随のチャットアプリ「Messenger」を通して、企業マーケティング担当者とユーザーが個別にコミュニケーションできます。広告費をかけず多くのユーザーから「生の声」を聞く手段の一つとしても有効でしょう。
その中で民泊仲介サービス「Airbnb」は、「Vacation Mom (休暇中の母)」というテーマを辞書風に紹介、ユーザーが実際に自分の母親と旅先で出くわした心温まるエピソードを語っています。再生回数は240万回超えとなっており、利用がない&まだ知らない人々へ「ATTRACT(惹きつける)」 、既知のユーザーには「DELIGHT(喜んでもらう)」典型的な動画と言えるでしょう。他にも、Facebookページに1500万人以上のフォロワーと70件を超える動画もアップされています。そこからはAirbnbの武器である「民泊」に対し、動画という生の声を通して、不安感の軽減、民泊独特のフレンドリーさを伝え、顧客へのコンバージョンを図っています。
●動画 https://www.facebook.com/airbnb/videos/10155338026157458/
●動画 https://www.facebook.com/pg/airbnb/videos/
2、YouTube事例「Groupon」・「Youtuber」
YouTubeの統計によると91カ国・80カ国語で、毎日「10億時間」以上の動画視聴があります。 そして、YouTubeは親会社のGoogleに次ぐ世界第2位の「検索エンジン」でもあるのです。ですから、世界中の不特定多数の潜在顧客に自社をアピールし、顧客へつなげる意味でもかなり有効な広告媒体です。
まずは、クーポンサイト「Groupon」の事例です。家事や育児に疲れた親たちがグルーポンのクーポンを利用し、レジャーにグルメにマッサージとお得に楽しむ様子が動画に盛り込まれています。クーポンサイトのようなサービス内容が多岐にわたる場合、動画へ具体的な利用イメージの取り込みが有効です。それによってユーザーは自分と関連づけて視聴し、潜在顧客から見込み客へ、顧客からリピートと言った一連の流れに誘導していくことが可能になるのです。
●動画 https://youtu.be/yVKyP7i4LHk
次に「Youtuber(ユーチューバー)」を広告塔に利用する手段で、例えば、チャンネル登録者数が35万人にのぼるsoothingsista氏の動画。彼女は自分の経験からメガネ購入の困り事における具体例をあげた上で、商品の特徴・サービス内容・オーダー方法、さらに企業のHPに至るまで、前編の4ステップに基づき紹介しています。一般サイトでの「インフルエンサー」にあたる「Youtuber(ユーチューバー)」の紹介は、より多くの情報拡散が可能です。さらに、チャンネル登録をしている視聴者は彼らに好感や信頼感を持つ人たちであり、セールスファネルが絞られているので、より購入や契約に繋がりやすいのは明白です。
●動画 https://www.youtube.com/watch?v=8SGYDB7vzBs
3、Instagram事例「Ben and Jerry’s」
Instagramによる統計によると毎日5億件の「投稿」、4億件の「ストーリー」と呼ばれる写真・動画投稿があります。Instagramは、もともと写真メインのSNSで視覚で人を惹きつける、遊び心のある投稿が人気です。
オリジナリティのあるアイスクリームで有名な「Ben and Jerry’s」は、2018年12月現在で81万人を超えるフォロワーと、2000件以上の投稿を公開。しかも、その投稿の半数以上は動画です。フレイバーネタやアイスクリームレシピ、社会貢献活動など動画内容は多岐に渡り、潜在から既存顧客まで幅広いターゲットへの訴求を行い、Instagramの特徴をうまく掴んだマーケティング戦略を行っています。
例えば、2018年1月に発売された「CORE」。2種類のフレーバーが半分ずつ、中央にソースが入ったアイスクリーム。これの2つの食べ方が動画で紹介されています。それだけで再生回数は1200万回以上。新商品の度にユーモアが効いた動画を配信し思わず食べたくなるのです。この動画1つで4ステップの3つを盛り込み、そしてInstagramの特徴である、ユーザーが「商品をインスタ映えするような写真・動画を撮り投稿」する、つまり4ステップの4番目がオートメーション的に行われ、ユーザーが自発的に「伝道師」となる仕組みです。
●動画 https://www.instagram.com/p/BddkGpqDQlS/?utm_source=ig_embed&utm_medium=loading
4、Twitter事例「MLB」・「Proper Tasty Recipes」
Twitterと言えば文字の印象が強く、英語280文字、日本語140文字の制限もあります。しかし、動画配信も可能で基本は最大140秒ですが、やはり動画の方が印象に残ります。実際に、写真付きツイートよりもリツイートの割合が6倍も多く、実際に動画を使ったマーケティングでは、動画なしと比べ10倍の契約率、契約コストも半分に抑えられたといいます。
その中で、「MLB」のTwitterには『MLB Stat of the Day』というコーナーがあり、その日のハイライトを動画で伝えています。ESPNや地元ニュースよりも手っ取り早く見られ、配信後わずか一週間たらずで47,600回を超える数が再生されています。
有力な見込み客に「CLOSE(購入に導く)」と「DELIGHT(喜んでもらう)」を注力した動画とも言えます。このように自分の気になる情報が短時間で得られることは、忙しいサラリーマンのような人でも、実際に野球場へ足を運ばせることに繋がるのです。
●動画 https://twitter.com/MLBStats/status/1069712801545912321
また、そんな多忙な人をターゲットにした「Proper Tasty Recipes」では3分ならぬ、7秒の「超高速レシピ動画」を見ることができます。面倒な料理が簡単でさっと作れそうと思えば、試してみたくなるもの。実際にその時間でできるわけではないですが、たった7秒で「ATTRACT(惹きつける)」ことができ顧客へのステップへ導けるとすれば、動画として十分な「役割」を果たしていると言えるのではないでしょうか。
●動画 https://twitter.com/i/status/730864571121061888
まとめ
動画は多くの感覚を刺激し、より幅広い情報を人々に与えられます。今回ご紹介したものは、それぞれがSNSの持つ特徴的な部分を効果測定した上で自社の動画マーケティングに取り込み、戦略を組み立てています。さらに、統計や指標を元に視聴者が求める尺や、ユーモアのアプローチも忘れていません。特に、SNSにおいては視聴者が楽しみ、拡散させたくなる作りが「動画マーケティング」における成功のキーポイントとなるのは間違いなさそうです。
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海外から学ぶ! 動画マーケティングを成功に導く戦略のヒントとは? 【前編】~アメリカで効果を上げているSNS広告動画~