「そろそろリフレッシュを兼ねて、旅行に行きたいな」「あんな素敵なホテルで、優雅な時間を過ごしてみたいな」

ホテル業界や旅行業界にとって、美しい写真や動画を活用したビジュアルマーケティングは、消費者の興味を引くために欠かせないものです。しかし、ただ普通に写真や動画を使うだけのマーケティングは今やありきたり。そこからさらに一歩踏み込んだものにするにはどうしたらよいのかが悩みどころです。そこで今回紹介するのは、ビジュアルコンテンツに聴覚や触覚、嗅覚への訴求をプラスした、マリオットホテルの「the Teleporter(ザ・テレポーター)」です。4D バーチャルリアリティー・システムを駆使することで、室内にいながら、まるでハワイのビーチやロンドンのダウンタウンを実際に訪れているような感覚を楽しめます。

「旅に出たい」という欲求をくすぐる

ホテルや旅行会社にとって、コンバージョンへの第一ステップは消費者に「旅に出たい」と思わせることです。では、その思いを生み出すために、企業はどんなことができるでしょうか?

「五感をくすぐる」というフレーズがあるように、人は視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚の5つの感覚を持っています。写真や動画といったビジュアルコンテンツでは、視覚や聴覚をくすぐることができますよね。そこにさらにもう2つの感覚に対する刺激を追加することで、一歩前進を遂げたのが「the Teleporter」。最新のバーチャルリアリティーのテクノロジーを使い、「触覚」「嗅覚」を刺激するコンテンツを生み出すことに成功しました。

バーチャルの世界をより現実に近づけるテクノロジー

バーチャルリアリティーのコンセプトは昔からあるもので、映画やアニメのワンシーンで何度も登場しています。サウンドやCG(コンピューターグラフィック)を融合させることで、まるでその場にいるようなリアルな空間を生み出すこのテクノロジーは、今後さまざまな分野での実用化が注目されています。しかし現時点では、多くの一般消費者にとってバーチャルリアリティーは夢の世界。「興味があるけれど、手が出ない。実際に使ったことがないテクノロジー」といった印象を持っている人も多いのではないでしょか。

「the Teleporter」に使用されたのは「Oculus Rift DK2 virtual headset」と呼ばれるシステムです。ヘッドセットがユーザーの頭の動きを察知することで、ユーザーは実際にその場にいるかのような臨場感を味わうことができます。バーチャルの世界をより現実の世界に近づけるテクノロジーとして、業界でも注目されています。

視覚・聴覚+触覚・嗅覚に訴えるその仕組みとは

マリオットホテルがYouTubeに公開している「the Teleporter」の製作裏の動画を見てみましょう。

システムの開発にあたり、3Dで360度展開の動画を撮る新しい技術の開発を行いました。その動画に触覚で感じることのできる熱・風・水といった4D要素と、嗅覚に訴える匂いの要素を追加し、ユーザーの身体全体に訴えかけます。

ユーザーは、「太陽の暖かさ」「風に吹かれる心地よさ」「地面の揺れ」などを体感することができます。また、動画と共に「匂い」を流すことで、目に映し出されるバーチャルの世界がよりリアルなものに感じられます。つまりこれは、「暖かい太陽のもと潮の香りがする……」「小高い丘で風を感じていると森林の緑特有の香りが漂ってくる……」といった状況なので、その効果の高さは容易に想像がつきますね。

顧客のモチベーション向上に適した方法を見つけよう

マーケティングを成功させるために大切なポイントは、自社のターゲット顧客にどんなモチベーションを与えることがコンバージョンにつながるかを見定めることです。そのうえで、そのモチベーションをいかに創出するのか、そのためにどのようなメッセージを発信すればよいのかを考え、マーケティングに活かしていきましょう。

参考サイト

おすすめ資料