最近ベトナムの若者を中心に流行しはじめているのが、ライブ動画を配信中に商品を販売する「ライブコマース」です。日本でも昨年から“ライブコマース専用のサービス”ができ、それに伴い既存のファッションサイトやフリマアプリがライブコマース機能を付け始めたことが話題になりました。

同様にベトナム、特に都市部のホーチミンではライブコマースを活用した販売をするショップが増えてきています。ライブコマースにはリアルタイムで配信を行う“ストリーム配信”と配信後、動画に編集を加えて配信をする“アーカイブ配信”の2種類がありますが、いま話題となっているのはリアルタイムで配信を行う“ストリーム配信”です。

盛り上がりを見せるベトナムのEC市場

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ベトナムではEC市場の規模が年々拡大しており、ベトナム電子商取引協会はベトナムのEC市場は2022年までに約100億ドルに拡大するという試算を発表しました。スマートフォンの普及もEC市場の拡大を後押ししています。

ベトナムのEC市場で存在感をみせているのは「Facebookファンページショッピング」。約4,400万人の利用者がいるFacebook。個人アカウントは多くのFacebookファンページとつながりをもっています。ECサイトを1から作成するよりも圧倒的に簡単、そして無料で販売ができる点がベトナム人に気に入られており、企業だけでなく個人での出店も多く見られます。

友達が“いいね”をしていたり、友達がFacebookページにコメントを書き込んだりしているのをみて、安心感が口コミで広がることもあります。個人出店で年商100万ドルを超える人も出てきているというほど、ECの1つのプラットフォームとしてFacebookページショッピングは地位を確立しています。

Facebook上でのストリーム配信が人気

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ファッションサイトやコスメサイトが運営している公式Facebookページで、ショッピング機能、ライブ機能を活用したストリーム配信販売が行われるようになってきました。販売されている商品は女性向けの商品が多く、KOL(キーオピニオンリーダー:拡散力のあるインフルエンサー)やモデルの子が動画内で着用している洋服やアクセサリー、その日のメイクに使ったアイテムなどを動画で紹介し、配信中に注文を受け付けます。

購入方法はとても簡単で、配信しているライブ動画のコメント欄にほしいサイズや個数を記入していきます。連絡先としてコメント欄に“電話番号”を記入されている様子はベトナムならでは。動画配信中にコメント欄に入った質問などにもリアルタイムで答えてくれるのもストリーム配信の特徴。ファッションの場合だと、10~20分の動画内で洋服を5~10回、着替えて次々と商品を紹介していきます。動画配信終了後、コメント欄に記載した情報を元にサイト運営者から注文者情報や、発送場所など詳細情報を聞く連絡がくるようになっています。

ベトナムではクレジットの普及が遅れていることもあり、代金引換での取引が90%以上を占めています。そのためサイト運営者が悩まされるのは返品率や受け取り拒否、といった問題です。ユーザー側は例えクレジットカードが普及しても、サイトと同じ商品が届くか信用することができない間は代金引換で対応したいというニーズもあります。

商品が届くかどうかという心配も、ECサイトで写真を見て選ぶよりも、実際に着用している様子を動画で視聴し、その場で販売できるスキームはユーザーの不安を解消してくれます。品物が正確にユーザーの手元に届くか、という配送面も心配されていましたが、最近では物流専門のアプリケーションやタクシー配車サービスが展開する配送サービスもあり、配送の課題も解決されつつあります。

Facebookを活用したソーシャルコマースだけではなく、「TikTok」や「YouTube」も活用され始めています。ちなみに 「TikTok」は中国発のアプリで、日本でも10代~20代前半を中心に流行っていますが、ベトナムでも同様に10代~20代を中心に流行中です。15秒動画を撮影し、アプリ内で誰でも簡単に編集も可能。編集した動画を「Tiktok」内でシェアすることでフォロワーを集めることができます。
このようなソーシャルアプリを活用した若者向けの商品プロモーションがベトナムでは流行ってきています。今後もライブコマース戦略から目が離せません。

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