ECの浸透が加速している昨今、店頭における顧客コミュニケーションについて、課題を感じている方も多いのではないでしょうか。顧客ニーズや購買行動の変化から、従来の方法より発展させた新しい施策を考えることも必要になってきています。

そこで本記事では、店頭販促の基本や店頭販促物の種類、店頭販促を行うときに押さえたいポイント、ポップや什器などの「店頭POP」で狙える効果などを制作事例を交えてご紹介します。

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店頭販促とは?まずは基本を確認!

まずは店頭販促の基本を押さえておきましょう。商品の良さを消費者に伝える店頭におけるプロモーションの役割をよく理解して、商品の売上アップのための3つのポイントを守り、集客率の向上や新たな顧客獲得を狙っていきましょう。

●店頭販促とは

店頭販促とは、お客さまを実店舗へと来店促進し、「商品が欲しい、買いたい」という欲求をかき立てて購買行動に結びつける活動のことです。いわゆる広告は、より多くの人に対する情報発信から認知拡大までが目的ですが、店頭販促の目的は「商品販売」であり、この目的を達成するためには、この店頭販促によるあらゆる面からのプロモーションが重要となります。

●店頭販促の基本的な3つのポイント

店頭販促を行い、商品の売上アップを目指すためには、次の3つのポイントが重要になります。

  1. 1.来店促進から来店客数を増やす
  2. 2.購入単価を上げる
  3. 3.来店回数の増加

1.来店促進から来店客数を増やす

DMやちらし、web広告などを用いて、限定キャンペーンやおすすめ商品の紹介などを行って新たなお客さまやリピートのお客さまの来店促進を図り、実店舗へ誘引します。他には店頭イベントや試飲会などがこれらの施策に当たります。

2.購入単価を上げる

次に、店に入ったお客さまに対して、買いたくなるような店内のレイアウト、陳列方法、POP広告などの工夫をし、滞在時間を延ばす施策により、お客さまの購入金額や頻度を高めます。ポイントは、その商品を購入したことによるメリットや効果を端的に伝達し、動機づけをすることにあります。

また購入目的以外の商品の「ついで買い」を促進するため、例えば、プリンターのすぐ横に消耗品の予備インクを陳列するなどといったクロスセルもあります。また商品の買換えをしたいお客さまには、今よりも上位モデルをお薦めするアップセルを展開すると良いでしょう。

お客さまが何を望んでいるかをよく考え、購入者の立場に立ったアプローチが必要です。

3.来店回数を高める

一度以上店舗で商品を購入したお客さまを、どれだけ「ロイヤルカスタマー化」できるかが、お店の安定した売り上げ(収益)の鍵となります。ロイヤルカスタマー化を促進するためには、「また行きたい」「また買いたい」と思ってもらうための特典サービスやポイントカード発行の案内、クーポン付のDM送付などの来店後のフォローも大切です。

店頭販促に欠かせない店頭販促物の種類

店頭販促を実施するに当たり、店頭販促物は必要不可欠です。店頭販促物にはさまざまな種類があります。そのうち、よく使われている主な販促物をご紹介します。

  • ・店頭ポップ
    プライスカードや「New」などの新商品であることを知らせる告知、お店からのおすすめコメントなどを記すステッカーなどのことです。商品の近くでよく使用されています。

  • ・店頭什器
    店頭什器とは、店頭において商品やサンプルなどを陳列、設置するためのラック、棚、ショーケース、ディスプレイテーブル、アクリルボックス、ワゴンなどのほか、小型の雑貨なども含む、器具・器材全般を指します。商品をより買ってもらいやすいよう、きれいに陳列したり、その特性をアピールしたりするのに重要な店頭販促物です。

  • ・デジタルサイネージ
    電子看板のことで、ディスプレイなどの電子表示機器を用いて情報を発信するメディアです。従来のアナログの販促ツールと比べて情報量を多く盛り込むことができるのが特徴です。店頭はもちろん、屋外、公共の場、交通機関などの場所で使われています。

  • ・モニターPOP
    コンパクトサイズの液晶モニターなどに映像を流して訴求するものです。CMや商品説明などを映像で音声で伝えることで、効果的に販促ができます。

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  • ・のぼり
    縦に長い布を棒にくくり付けた表示物です。キャッチーな屋外販促ツールとしてよく利用されています。ミニサイズのミニのぼりは商品の近くに設置されることもあります。

  • ・タペストリー
    店の壁に貼ったり、天井から吊るしたりして掲示する販促ツールです。生地は化学繊維や綿などが使われます。雨風に強い素材であれば屋外にも向いています。

  • ・ポスター
    店の壁や街頭に貼り出す、手軽に作ることができる販促ツールです。取り外しが容易であることから季節限定のお得な情報、キャンペーン情報などの訴求に向いています。

  • ・バナー
    バナーは、バナースタンドとも呼ばれており、大きなスクリーンなどの面を利用して効果的にインパクトのある訴求ができる販促ツールです。視認性が高いことから、大型商業施設にも向いています。従来の看板などに比べて印刷面の変更や交換が容易であることや、巻き取り式などもあり、コンパクトに収納・移動できるのも特徴です。

  • ・横断幕
    横長の布などに文字やイラストを描かれた販促ツールです。大きくインパクトのある訴求ができることから、店内でのセールやキャンペーンの告知などによく使用されています。

  • ・パネル
    大小さまざまなサイズの軽量も発砲ボードで、店頭販促でもよく使われているツールです。ツヤを出す加工で、より美しくインパクトのある訴求ができます。ポスター同様に設置が簡単なので、期間限定のセールやキャンペーンなどの情報を効果的に訴求できます。

  • ・販促物(ノベルティ)
    ノベルティとは、企業やブランドなどのロゴが入った消耗品や日用雑貨などのことで、来店記念やキャンペーンなどの際に無償で配布するものです。ポケットティッシュやメモ帳などが定番です。ブランドや商品の認知を高めるのに活用できます。

これらの店頭販促物の特性をよく理解して、シーンや目的に適したものを選ぶことが大切です。そしてお客さまに対して効果的にアピールできるように制作して、商品購入につなげましょう。

店頭POPとは

店頭販促物の中でも、特に重要な「店頭POP」について解説します。

店頭POPというと、一般的にはさまざまな意味合いがありますが、ここでは「ポップや店頭什器など、店頭で販促を行うのに欠かせないもの全般」と定義します。

POPとは「Point of Purchase (Advertising)」の略です。つまり「購買時点の広告」、消費者が商品を購入する時点で、売場に置かれる広告全般を指します。店頭では、商品についての情報を店員に代わって提供し、購買意欲を促進させる広告媒体となります。

店頭POPが日本で使われ始めたのは、米国から日本に伝わった1950年代後半から1960年代前半頃といわれています。スーパーマーケット形式の量販店が輸入されたと同時に、店頭POPも輸入されたのです。それまで主流だった“店員が口頭で商品の説明をしながら販売するスタイル”に代わって人件費削減のためにPOP広告が活躍するようになったといわれています。

店頭POPで狙える効果

店頭POPを活用することにより、お客さまの購買意欲を高め、売上につなげることができます。つまり、店頭POPが、購買意欲の促進と購買のひと押しになるということです。

例えば商品が展示されているそばに「NEW」や「30%オフ!」などの割引を強調するポップを配置することで、お客さまの目を引き、「買ってみようかな」という気にさせることができます。

事例:「New」のポップに工夫

商品が女性対象のアイテムであれば、目を引かせるのは、やはり「マゼンタ(M100)」の色が有効で、多く使われています。

NEW

裏からホログラムを当てて、キラキラさせてより目を引くように工夫したものです。

NEWホログラム.jpg

また店頭POPは、用途に応じて誘導POPと商品POPに分かれます。これについては、次の「店頭販促を行うときに押さえたいポイント」の中で解説します。

店頭販促を行うときに押さえたいポイント

続いて、実際に店頭販促の施策を実施する方法をご紹介していきます。施策の中でも重要な要素となる、売り場作り、商品陳列、店頭POP制作の基本についてご紹介します。

1.売り場環境作りの基本

  1. (1)買い物の順序に合わせて作る
    売り場作りの基本は、次のように、売り場に訪れたお客さまの買い物の順序に合わせて作ることです。
    来店→見る→探す→触る→選ぶ→買う
  2. (2)見やすさ、買いやすさ
    商品を見たり、手に取ったりしやすい買いやすい売り場作りも欠かせません。買いやすさには次の3つの条件があります。
  • ●見やすい高さと幅
    お客さまの目線に合わせた目や胸の高さ、視界に入る幅などを考慮。
  • ●選びやすく手に取りやすい位置
    見やすさと手に取りやすさを考え、複数の箇所に商品をうまく配置。
  • ●見やすい全体のレイアウト
    入り口から店舗の奥にかけて高くなるようにレイアウトを組むのが基本。これらを意識して整えることで買いやすい売り場となり、快適にお客さまに買い物をしてもらうことができます。
  1. (3)マーチャンダイズプレゼンテーション
    「マーチャンダイズプレゼンテーション」という考え方も売り場作りに取り入れましょう。これは店舗のレイアウトをいかに作るかというもので、売り場を大きく次の3つの役割を持つ場所に分けることで、買いやすい売り場を作る方法です。
  • ・VP(ビジュアルプレゼンテーション)
    ショップの顔となりコンセプトや季節のメッセージなどを見せる場所。
  • ・PP(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)
    特定の商品をクローズアップし、商品の魅力やバリエーションなどを紹介する場所。

  • ・IP(アイテムプレゼンテーション)
    商品を実際に選んでもらう商品陳列の場所。売り場の8割を占める。

【売り場作りのポイント】
売り場作りのポイントとして、次の3つがあります。

  1. (1)一目で何の売場なのかが視覚的にわかる。
    例:ジャンボダミーのPOPをつける など。

  2. (2)どんな基準で商品を並べているかがわかる。
    例:売れている商品やおすすめ商品ごとに商品を並べる など

  3. (3)「その商品が持つ効果や効能によってどうなるか?」ということが表現できている。
    例:冷蔵庫を売る場合、「冷却性能アップ」ではなく「鮮度がさらに長持ち」などと置き換えるなどして、テクノロジーや機能だけの表現を避け、わかりやすく表現する。

2.商品陳列の基本

商品陳列の場においては、店舗内の回遊性を高め、滞在時間を伸ばすためにも、お客さまが思わず足を止めてしまうポイントを作るのも欠かせません。商品陳列の方法として次の3つの種類があります。

  • ●グルーピング
    商品をグループに分けて展開します。例えばファッションショップであればジャケット、パンツ、インナーなどの種類による分類や、モノトーン、パステルなどの色による分類、フォーマル、カジュアルなどのスタイル別の分類などを行い、別々に展開します。

  • ●ゾーニング
    分類された商品のまとまりごとに、ゾーンを区画することです。手に取りやすい位置のゴールデンゾーン、縦方向や横方向に並べる陳列方法などがあります。

  • ●フェイシング
    フェイシングとは、「フェイス」つまり商品の最前面の状態に配慮することです。お客さまが直面する商品を並べる数を決め、配置します。売れ筋の品は数を多くするのも一つのフェイシングです。

これらをうまく行うことで、お客さまにとって見やすく、そしてわかりやすい商品陳列が実現し、選びやすく、思わず手に取りたくなる売り場になります。

【商品陳列のポイント】
商品陳列を行う際は、まずは『どこの売場で展開するのか』を考えます。例えば、壁面の定番棚ならラインナップについての使用手順や種別などによって陳列方法に注意します。

広い通路の催事スペースにおけるアウト展開であれば、とにかく目立たせて『登場感』や『新製品感』を演出し、関連商品を探していただくために定番棚への誘導を狙います。その次に、どの高さに設置されるかによって、商品配置や陳列台の角度などを設定していきます。売りたい商品をメインに、関連商品が紐付くような一体感のある陳列を心掛けています。

3.店頭POPの基本

店舗に足を踏み入れたお客さまが「買いたい」と思うきっかけとなる店頭POPも重要です。店頭POPは、用途に応じて誘導POPと商品POPの大きく2種類があり、それぞれを使い分けることが重要です。

  1. (1)誘導POP
    店外や店内で目を引き、入店・売場への誘導を促すPOPです。
    例.店舗の内外に置くのぼり、垂れ幕、突出し看板、売場案内図、誘導案内表示板など
  • 【誘導POP制作のポイント】
    誘導POPは、お客さまが店に入りたいと思ったり、迷うことなく店内で見たいもの、買いたいものを簡単に見つけたりしてもらえるようにしなくてはなりません。よって誘導POP制作の際に重要なのは、お客さまにとっての快適さを盛り込むことです。目につきやすさ、読みやすさ、パッと見たわかりやすさ、ある程度の質の高さもポイントになります。
  1. (2)商品POP
    商品POPは、各商品の情報を伝えたり、購入へと結びつけたりする役割を持つ店頭POPです。プライスカード(値札)、特徴や機能を案内するショーカードやモニターPOP、割引案内など、注意をひくための「ポップ」はもちろん、実際の商品を陳列する紙やアクリル什器、ドラッグストアなどで見かけるハンガー什器などの「店頭什器」も含みます。
  • 【商品POP制作のポイント】
    目を引きやすいように色使いやデザインにこだわる

    商品POPは売り上げに直接関わってくるため、プライスカードや割引案内等は誘導POP同様に、目の引きやすさや、わかりやすさ、見やすさが重要です。特に色使いやデザインにこだわってPOPを制作することが大切です。ビビッドカラーは特に目を引きやすいのでおすすめです。
  • 【事例:色使いやデザインにこだわった商品POP
    色は人の心理に働きかける効果があるといわれており、まずは何に対して目を止めてもらい、どんな訴求をしてお客さまのどのような心理に働きかけるかを考えます。目を引きやすくするためには、「純色」という各色相において最も彩度が高い色を使用します。鮮やかで冴えた色調は積極的で、活気のあるイメージの想起にもつながります。

下記の事例は、日焼け止めの商品POPの制作事例です。日焼け止めといえば「強い日差しを受けている」イメージがありますので、一目で「どんな商品か?」を連想してもらうために、下記の写真のような色使いやデザインを施して制作しました。

また展開スペースが売場の主通路に面している什器のエンドということもあり、お客さまが足を止めていただくのに時間がかからないよう工夫を施したデザインで作成しています。

日焼け止め商品POP制作事例

スタッフのコメントや口コミを記す
商品POPの場合、お客さまに購買後のことをイメージしてもらうことも大切です。そのためには使い方や使用感などをショップカードに記すのも一つの方法です。

例えば『ショップ店員のおすすめ』などと手描きし、手作り感を加える、スタッフが商品を愛用していることをアピールする、消費者から寄せられた口コミや感想などの声を紹介など、お客さまに親近感を持ってもらえるようなメッセージを伝えることで購買につながりやすくなります。

事例:スタッフのコメントや口コミを記したポップ

商品を店員スタッフに使用してもらい、商品の良さをポップに書き込んでもらうために、コメント欄をあえて無地で制作しました。

店員のおススメPOP

下記は、口コミポップの事例です。商品画像や機能訴求まわりにこうした口コミを添えることで、より効果的な演出ができます。

店頭販促.jpg

●ターゲティングの重要性

店頭POP制作において「ターゲティング」はとても重要です。その商品が持つベネフィットを大いに感じるユーザーをターゲットにする必要があります。商品のベネフィットを感じないユーザーに訴求をしても効果が薄いため、それを避けるためにも、ターゲットを明確にすることが欠かせません。ターゲットを絞り込むことで、ユーザーの特性やニーズをしっかりと汲み取り、狙ったマーケットに対して有効にコストをかけることができます。また、ターゲットは百貨店、専門店、GMS(ゼネラルマーチャンダイズストア/総合スーパー)、ドラッグストア、バラエティストアなどの展開する販売チャネルによっても大きく変化してきます。こうした販売チャネルも考慮してターゲット設定をすることも、店頭POPで成果を出すポイントです。

事例:ターゲットによってポップのデザインを変更

クレンジング化粧品の商品POPを制作する際、ターゲット設定が「A:20代女性~30代前半の女性」の場合と「B:20代女性~30前半の独身OLの女性で販売チャネルはドラッグストアのみ」の場合とで、ポップを作り分けました。

A:20代女性~30代前半の女性

店頭販促A.jpg

20代女性~30代前半という広い年齢層で、販売チャネルを限定しない場合、どこに置かれてもイメージを損なわないものを制作する必要があります。裏を返せば他社との違いを出しにくいものになりがちになってしまいますので、十分に工夫が必要です。

B:20代女性~30前半の独身OLの女性で販売チャネルはドラッグストアのみ

店頭販促B.jpg

ターゲットが「独身OL」で、展開場所が「ドラッグストア」という設定であれば、収入も安定していて、来店者の多くが身近なショップであることが想定できます。そして比較的、低価格で購入できるものである必要もあります。これらの観点から、親しみを感じさせ、より視覚的にアプローチできるデザインで制作しました。

まとめ

店頭販促は、店舗における売り上げアップのために非常に重要な活動です。成果を確実に出すためには、闇雲に行わず、目的を明確にしてターゲットを絞り、お客さま目線で実施することが大切です。

また店頭POPは目を引くものであることが大前提です。ポップ・店頭什器共に、配色やデザインなど細かい部分にまでこだわって制作することで、お客さまを効果的に誘導し、購入につなげることができます。

売り場の環境作りや商品陳列、店頭POPすべてにおいて、効果の出るノウハウやルールがあります。共同印刷では、店頭販促全般について、店舗調査、制作、サポートを行っております。ぜひお気軽にご相談ください。

取材協力

共同印刷株式会社

プロモーションメディア事業部

佐藤 広明

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