企業PRの手法には、会社案内や企業PR誌、周年誌、企業カレンダーなどのパンフレットや冊子などの紙媒体、およびWeb媒体を用いた情報発信があります。今回は、共同印刷株式会社の渕上 佳代が、企業PRの概要から、その重要性の高まり、そして企業PRの手法のなかでも、主に紙媒体ツールで効果を出すポイントを解説します。

■企業PRとは?

まずはじめに、企業PRの定義について確認しておきましょう。

PRとは「Public Relations(パブリック リレーションズ)」の略で、「企業(組織体)」と「パブリック」が、互いに利益のある良好な関係を構築し、それを維持していく活動のことです。

パブリックと聞いて真っ先に思いつくのが、顧客・見込み客・潜在顧客、サプライヤー、株主、従業員といった利害関係のある「ステークホルダー」でしょう。しかし企業(組織体)のパブリックは、もっと広い意味で使われており、例えば、地域社会からグローバルレベルまで含まれます。

つまり企業PRは、「企業(組織体)」と「その企業を取り巻くもの=パブリック」との間で良い関係を築き、それを維持していくために必要なマネジメント機能と説明できます。

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■企業PRの重要性

企業PRは、企業にとって重要な活動・機能です。なぜそこまで重要なのでしょうか。

それは、企業経営が、市場環境や社会情勢の影響を受けるためです。企業PRを担う広報担当者は、企業経営が順調に行われるように、常に社会や各ステークホルダーの動向をつかむと同時に、社内外に適時、適切に企業活動を伝える重要な役割があります。

また、もう一つの理由として、近年重要視されている「コーポレート・ガバナンスの透明性」が挙げられます。企業価値は、株主や投資家をはじめとした社会全体へ積極的に情報を開示し、透明性の高い経営を行うことで高めていくことが可能です。企業が持続的に成長するためにも、企業PRの必要性は増しています。

■企業PRの紙媒体ツール

主に紙媒体を用いるツールには次のものがあります。

1.会社案内
会社の歴史・実績、トップの意思や企業理念、事業内容、商品・製品紹介、社会的活動、社風などを伝えるための冊子です。

2.企業広報誌
事業内容や活動を紹介宣伝する目的で作られる冊子です。

3.ディスクロージャー誌
株主や投資家に企業の経営方針や財務状況、業務内容を開示し適正な評価を受けるために発行します。開示が義務づけられている「有価証券報告書」や任意開示の「アニュアル・レポート」などがあります。近年はグローバル視点でのIR活動が重要性を増しており、外国語版も多く発行されています。

4.CSR関連誌
CSRとは企業が利益の追求だけでなく、社会的責任を担った存在として、従業員、顧客(消費者)、地域社会、環境などに配慮した事業活動を行うことです。CSR関連の情報は冊子やレポートとして定期的に発行されます。

5.周年誌
創立10年の節目などに周年記念事業の一環として作る冊子です。長い道のりを記録として残し、次世代につなぐために社史を掲載するのが通例です。

6.企業カレンダー
企業が独自に制作するカレンダーです。企業理念やイメージが反映されるため、挨拶の役割やイメージ戦略が可能なツールで、主にステークホルダーに配布します。

■効果的な企業PRを行うためのポイント

企業PRを効果的に行うには、次のことにポイントを置いて実施することが大切です。

●ターゲットを意識する
まずターゲットを明確にしましょう。その上で、ターゲットに「何を」「どのような手法で」伝えるか、「届きやすい表現」になっているかを検討・確認します。

●各ツールを連携させる
前述の企業PRのツールは、それぞれを単独で制作するのではなく、連携させて整合性を取り、各ツールで伝えるべきことを整理し「見える化」した上で制作することがポイントです。

●ツールごとに計画的に継続する仕組みを作る
それぞれの手法の適性に合わせて、短期~中期~長期的な視点で取り組みます。効果が見えなくなった時は見直すなど、PDCA的に継続することが大切です。

■効果の出る企業PRのツールの制作ポイント

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続いて、制作時にどのような工夫をすることで効果を出せるのか、ポイントを解説します。

1.会社案内
トップ巻頭言、事業部門、事業内容などのコンテンツは、事例レポートやインタビュー形式など、さまざまな方法を用いて変化をつけるのがポイントです。キャッチコピーやデザイン上でも工夫し、わかりやすく伝えましょう。

2.企業PR誌
読者であるステークホルダーの共感、支持を得られるよう、企業の活動内容を、多角的な表現手法で紹介します。著名人へのインタビュー・原稿作成や、執筆者への原稿依頼および文章校正、写真撮影など、制作にはさまざまな作業があるため、企画段階から十分に検討し、創意工夫しましょう。制作担当者には、数多くある制作工程や、あらゆる関係者を調整するコーディネート力が求められます。

3.ディスクロージャー誌
ディスクロージャーは、会社法や金融商品取引法などの法律に基づく法定開示、証券取引所などが定める諸規則にのっとった適時開示を遵守することが必須です。
制作担当者は、これらの重要な開示情報を正しく掲載すると共に、法律改正による開示項目の変更などにも気づくことができるよう、専門性を高める必要があります。それにより株主、投資家の信頼を得ることができます。

4.CSR関連
多くの場合、自社の特徴を際立たせるために業界動向を意識して企画を構成します。また、理解を深めてもらうために特集を設けるなど、創意工夫が必要です。最近はCSR関連のツールに、客観的な評価として「第三者意見」を盛り込むケースが増えています。専門家やステークホルダーへのインタビューや原稿依頼が増えているため、制作担当者にもCSRに関する十分な知識が求められます。

5.周年誌
一番のポイントは、社内向けなのか社外向けなのか、記録としての資料保存なのか、社内のノウハウ蓄積なのかなど、「発行目的」を明確にすることです。いずれも読み手が興味を持って読めるように配慮した本誌構成、表現方法を考える必要があります。

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6.企業カレンダー
カレンダーは一年中飾られる?ため、常にお客さまなどのステークホルダーの身近にありたいという趣旨で発行されます。親しみやすく、よいブランドイメージを伝えることが大切です。

すべてのツールに共通する制作のポイントとして、計画通りに作成しても、社会状況の変化に応じて都度見直す必要があるという点もあります。柔軟に見直し、変化に対応していくことが大切です。

まとめ

企業PRに有効なツールの概要と効果的な制作のポイントを解説しました。いずれも重要なのは、目的とターゲットの明確化やツールの連携、そして社会状況を見極めながら必要に応じて見直しを行うことです。パブリックとの良好な関係を構築し、長きにわたって維持するためにも、制作担当者は常に企業とその周辺、社会情勢をしっかりと捉えておく必要があります。

共同印刷では、各企業PRツールの制作実績が豊富にあります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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