「マイ・ショッピング・コンシェルジュ」はサービス提供を終了しました。

2018年6月に開催された本セミナーでは、購買行動とともに大きく変化する消費者インサイトに基づき、購買体験の価値を最大化させる方法や、効果的なプロモーション施策の考え方を、ケーススタディを交えてご紹介しました。

本記事では共同印刷株式会社 田邉憲一と(株)エスキュービズム 社長室室長 真田幹己さまによる講演をご紹介します。

【こちらの記事は連載です】
リアル×デジタル時代に見据えるべき購買行動パターンとインサイト
『ワタシプラス』が実践する店頭とECのつなぐコミュニケーション戦略とは

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『マイ・ショッピングコンシェルジュ®』開発の背景
デジタルサイネージ導入のメリット
『マイ・ショッピング・コンシェルジュ®』とは
VRコマースによる新しい顧客体験
ECの課題
『You cam make』
PICSPOT
全く新しい、動画を利用したECサイトインタフェイス 動画コマースのご紹介

『マイ・ショッピングコンシェルジュ®』開発の背景

2020年に向けて市場は大きく変わっていきます。一つは少子高齢化です。
特に日本は超高齢化社会を迎えることになり、国内市場はどんどんシュリンクしていきます。

一方で、インバウンドは2020年には4000万人に達するというような予測がされています。そのような背景を受け、小売業の業態も変化を余儀なくされています。
データ的にも、専門店化やEC対応、業界自体の再編が必要という傾向がはっきりと出ています。

また、消費者の購買スタイルは非常に変化が早くなっています。
それに対し、企業は人材の確保やコストの削減、さらなるコンペティターと対峙するための競争力の強化やサービスの進化、インバウンド対応、また、今後見込まれるキャッシュレスに対応していく必要があります。リアル店舗にとって本当に大変な時代が来ると感じています。このような背景から、マクロ環境の変化に対応する次世代ソリューションを約5年前から開発しています。

今回ご紹介する『マイ・ショッピング・コンシェルジュ®』という商材は、オムニチャネルに対応したシステムです。
この後ご講演いただくエスキュービズムさまで扱っているECのシステムをベースに、お客さまのスマートフォンアプリやリアル店舗のデジタルサイネージなど、あらゆる顧客接点を一元で管理していこうと独自に開発しました。

「省スペースで、省人力な、坪効率の高いお店づくり」をめざそうという目標でプロジェクトも始めています。
以下は店舗イメージを平面図に落としたものですが、「リアルなものが見たい、食べたい」という要望もあるため、生鮮食品コーナーや人が接客してくれるカウンター、そしてイートインコーナースペースに、デジタルサイネージとリアルな商品を置いています。また、スタッフエリアやプライベートなエリアなどはコンパクトにまとめています。

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タッチパネルサイネージを導入している施設は増えてきましたが、お客さまが触らないという相談を多く受けます。
こうした課題に対し、印刷会社が得意としているコンテンツの編集やUIのグラフィックなど、いかに差別化してお客さまに触ってもらうか、そしてタッチログをどうマーケティングに生かしていくのか、このようなことを考えながら開発を進めています。

デジタルサイネージ導入のメリット

デジタルサイネージの良いところは、多言語化が簡単にできるという点です。
当社が作るアプリでは、普段英語を使うアプリ会員がサイネージにログインすると、自動的にサイネージの言語も英語に切り替わるというシステムを構築しています。お客さまとサイネージをリンクさせる際に、ビーコンサーバーを使って電波を発信し、お客さまがログインするとサイネージと一体になるサービスとなっています。このログイン技術は特許申請中です。

また、ビーコンの電波の強弱によって、ビーコンから届かない圏外でもお客さまの位置に合わせた最適なアプローチをしていくことが可能です。
こうすることでお客さまの行動がログとして残ります。このログをマーケティングへいかに活用していくかがコンセプトです。

導入のメリットは、店舗にとっては、タッチポイントが増え集客力が上がることや情報発信が可能になること。最も大きな効果は、CRMOne to Oneマーケティング」の最適化やインバウンド対応ができることです。生活者側のメリットは、レコメンドやクーポンによって満足度の高いユーザーエクスペリエンスが実現できること。また簡単、便利にお買い物ができる環境が得られるということです。

私は小売りの現場にいたとき、高齢の方から「施設が広すぎる」と苦情をいただいたことがあります。いろいろなお客さまに、いかに快適に、簡単に、便利にお買い物をしていただけるかという点を追求していきたいと思っています。

今後、高齢者は、運転免許の返上などで外出が減る方がどんどん増えていくと思われます。そうした際に、当社のサービスによって快適な顧客体験が提供できるのではと思っています。

子育て層には、店内を歩き回らなくても、サイネージのセルフコーナーで注文した商品を店員に持ってきてもらうというサロンのような考え方など、ワンランク上のサービスをめざしていきたいと思います。

働いている方は、仕事から帰る頃のスーパーには、欲しいものがほとんど残っていないという経験があるのではないでしょうか。
それを解消する方法として、今後はアプリを使って事前に注文しておき、帰宅途中に店舗や専用のロッカーで受け取るという光景も増えるのではないかと考えています。

『マイ・ショッピング・コンシェルジュ®』とは

『マイ・ショッピング・コンシェルジュ®』を絵にすると以下のようなイメージです。
リアルの接点、デジタルの接点、すべての顧客接点でお客さまの購買行動、検索行動などのログを取り、メインデータベースで一元管理します。これを元にプロモーション展開をしていくというシステムです。

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これまでは、フルパッケージのシステムでしたが、現在はエントリープラン、スタータープランをご用意し、「すべて導入するのは難しいが実証実験してみたい」「ちょっと試してみたい」という企業向けの月額プランも用意しています。

さらに、海外からいらしたお客さまに、日本の商品のファンになってもらい、帰国後も継続してサービスを享受いただけるようなサービスとして、プラットフォーム開発を進めたいと考えています。

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VRコマースによる新しい顧客体験

新しい顧客体験、ユーザーエクスペリエンスを可能にするという点では、VRを使ってリアル店舗にいるような体験してもらおうと開発しているVRコマースがあります。
ECの課題や店舗の課題をうまく解決したい、というニーズから開発された商品です。基本コンセプトは、「VRで手に取るような体験」です。

このデモ映像*は実際にリアル店舗をカメラで撮影して天球画像を作成しています。VR画像中の商品を選ぶとECに連携して買えるという仕組みです。
お店に行かなくても、お店にいるような感覚で買い物ができるということです。
高画質で撮影すると4000倍まで拡大できますから、アパレル商品の質感や、当社でいうと高級な複製画の販売に向いています。
(*デモ映像にご興味のある方はお気軽にお問合せください)

高画質のため、POPやパッケージの文字が読めるまでに拡大でき、繊維の質感もかなりリアルに見られます。またフルCGで作ることも可能で、リアルな店を持っていない場合などには最適です。

複製画のVRとして、フルCGで美術館を作成しています。商品を選んでタップすると拡大して見ることができ、「この商品いいな」と思ったら、カートに入れるボタンを押すとECにつながるところまで開発が進んでいます。リアルな建物を撮影したようなクオリティが感じられると思います。

VRコマースの特徴を簡単に整理すると、バーチャル化された店舗が決済機能を持ち、お店に行かずにお店に行ったかのようなショッピング体験ができるということです。
VRを実現する際、一番の課題はVRの映像に映っている商品をどのように登録し、棚替えするかということでした。

この課題は、当社が開発した、複数を同時に読み取れる二次元コード『フルスキャンコード®』を活用してクリアしています。

『フルスキャンコード®』は、複数の商品を一括で読み取る機能と画質の認識精度が非常に高いことが特徴です。物流倉庫の暗いところやQRコードがかすれたところでも読み取れるように画像認識の精度を上げて開発されていますので、空間にダミーで当社の『フルスキャンコード®』を散りばめて読み取るテストをしたところ、歪んだ天球画像でもしっかり認識することができました。
さらに実店舗での撮影テストを経て、課題であった棚替えも、プライスカードにフルスキャンコードを印字することで可能になりました。

フルスキャンコードの詳しい内容はこちらをご覧ください。
次世代二次元バーコード FullScanCode

ECの課題

次に、ECの課題である、「現物を確認して買いたい」というニーズについてお話しします。これを解決するものとして新しい商材を作っています。
名前はまだ仮ですが、『MISEdemo什器』です。

これはショッピングサイネージをリアルサンプルの什器に合体させたものです。
例えば、空港や駅の構内でインバウンドのお客さまにセルフで検索してもらったり、サンプリングできるコーナーとして設置したり、店舗の一角に置き、実際の商品を確かめてもらった後にレジで購入したり、QRコードからECサイトで買い物し、そのまま自宅に配送することも可能です。
インバウンドの旅行者であれば、滞在先のホテルに届けたり、出発空港に送っておいたりするなど新しい買い物の提案が可能です。

「アイランドタイプB」は、空港で一台だけ実証実験を行っており、通常のECよりもコンバージョンが高めに出ることがわかっています。『MISEdemo什器』は店舗のスペースに合わせて、あらゆる形で作ることが可能です。

ショッピングサイネージとリアルなサンプル什器を合体させ、実際の商品を見ながらECで買い物ができる『MISEdemo什器』のような商品も、今後は力を入れて開発していきたいと思っています。

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オムニチャネルはシステム連携、人事評価、売り上げの評価をどこに置くかなど、多くの課題があります。しかし、オムニメディアであれば、あらゆるメディアを連携させて管理することが可能だと思っています。

『You cam make』

『You cam make』というバーチャルメイクのアプリなどを作っている企業との提携も検討しています。
『You cam make』はグローバルではかなりのダウンロード数を誇っており、また、さまざまなアプリを比較調査した当社の女性社員も、フィット感や色の出方などが抜きん出ていると評価しています。

『You cam make』は今年の春に新しいソリューションが発表されました。
お客さまのスマートフォンと、ビューティーアドバイザーのスマートフォンを遠隔でつなぎカウンセリングを行うという商材です。
『You cam make』も、お店に行くのではなく、お店が来てくれるというような発想ですね。百貨店のカウンターでメイクしてもらうのは勇気がいるものですが、こうしたものであれば自宅で子育て中のママも赤ちゃんが寝ている間にバーチャルメイクのシミュレーションができます。
このアプリのいいところは、選んだ商品などが全部顧客のカルテになり、データで残ることです。つまり選んだ商品がすべてリストになっていくということです。

また、BtoC向けの『You cam make』のシステムを使い、ビューティーアドバイザー教育用ツールとしてもカスタマイズ可能です。
ロイヤルユーザーのお客さまには、『You cam make』のスタンドフレーム(iPad)でいつも使っているメーカーさんの最新の色を試したり、肌診断とカレンダー機能で日々のお肌の管理をしたりなど、店頭だけではなく、自宅で使用するという考え方もあるかもしれません。

PICSPOT

最近の傾向として、お客さまはマス広告ではなかなか動かなくなっています。
一方、SNSを中心としたお客さまの声(口コミ)でユーザーが購買行動を起こす傾向にあります。当社が業務提携しているPICSPOTは、リアルな体験を共通のハッシュタグで拡散し、コミュニティを作っていくシステムです。
PICSPOTカメラは、iPadを搭載し、デジタルサイネージが組み込まれたピックスポットプリンタという筐体とセットで活用します。お客さまが撮影した記念写真にハッシュタグをつけてクラウドにあげ、サイネージにアップされると、その場でオリジナルのプリントがもらえるという、イベント会場でよく使われているソリューションの一つです。その場限定のデザインフレームが作れるので、キャラクタービジネスや、コンサートなど顧客のロイヤル化やコミュニティ化をするために使われ始めています。

全く新しい、動画を利用したECサイトインタフェイス 動画コマースのご紹介

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株式会社エスキュービズム 社長室室長 真田幹己さま

私は「未来チャレンジ研究所」というR&Dを立ち上げています。
よく相談されるのは、「業界初をやれ」や「AI使ってなんとかやれ」「VR、AR使ってなにかやれ」という指令が下り、どうしようかと悩んでいるということです。

実は、目新しい技術はあまりありません。
私たちが企画で使うのは、AI、チャットボット、VR、AR、ビーコン、RFID、あとは各種センサー、重量センサーや加速度センサーなどです。
最近はベリハレーダーと言われる、自動車に人の呼吸や鼓動を計測できるレーダーで、どこでテンションが上がったか、どこで帰ったかなど、観光客やお店に来ている人の行動動態を解析し、テンションが上がった瞬間にこういうサイネージやプロモーションをやろうという企画を実施しています。

今日ご紹介するのはムービーを使った、『デジタルマーケティング×コマース』の仕組みです。動画は、過去にとったCMでもyoutubeにあげているものでも、なんでも構いません。コンテンツを流し、気に入った商品があったら、その商品をタップするとカートに入れられます。フリックするイメージです。
「見ているコンテンツをそのままカートに入れ、ボタンを押すと買える」という仕組みを構築しています。

今後はSNSを有効活用したいと思っています。
例えばFacebookです。Facebook上でプロモーションをかけて動画を流します。
気に入った商品があったらタップするとフリックして買うことができます。
単にタップしてものが買えるというだけではありません。
販促機能も追加し、例えばスクラッチ機能をつけてスクラッチを削るとポイントが増えたり、隠れミッキーのように動画が流れている最中に7カ所タップすると素敵なアイテムがもらえたりというようなエンターテインメントな機能をつけています。

なぜこの動画コマースをやろうと思ったかというと、SNSからの新規登録をより増やしたり、単に買われる・買われないだけではなく、例えば非アクティブになっている会員の掘り起こしのネタになったり、SNSの新規会員登録数を伸ばしたいなど、少しでも楽しみながらエンゲージメントを高めたいと思ったからです。

ハイクオリティなCMっぽいものがいいのか、情報番組のお店突撃のようにインフルエンサー使って実際のお店を案内しながら買えるようにするべきなのかはわかりません。
ソーシャルコマースというテーマでうまくいってる企業は少なく、本当にソーシャルから購入されるのかはやってみないとわからない部分です。

現状は、リンクで情報入力をして購入するまでに、6回くらい画面遷移することが標準です。しかし、1回画面遷移するごとに購買が3%減ることがわかっています。いかに早く完結させるかが大事ということでしょう。

他には新しいお客さまとのエンゲージメントの構築がしたいと思っています。
先ほどのVRの進化系でやっているのが、ゲームの機能を入れたらどうかということです。例えばフロアを歩き回りゾンビを倒さないと次のフロアにいけない、落とし穴があって落ちると入り口に戻されるなど、そんなことも考えています。
いま、Vtuberがはやりですが、AIチャットボットの案内をVtuberにして、VR空間を美男子Vtuberが案内したらお客さまに楽しんでいただけるのではないかなど考えているところです。

いずれにせよ、一番大切なのは、ECでもSNSでも企画だと思っています。

【こちらの記事は連載です】
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