顧客からのクレームは、商品やサービス、あるいは自社に対する顧客満足度向上のための大切なヒントとなるものです。しかし一方で、対応の仕方を誤れば、自社の存在を揺るがす「爆弾」にもなりかねない危険性を秘めてもいます。

昨今、スマートフォンやSNSの普及によって一般消費者の発言力・影響力が高まりつつあります。SNS上にシェアされたクレームが「炎上」し、深刻な事態につながるケースは少なくありません。

こうした状況を背景として、これまで以上にクレームに対して慎重に取り組む姿勢が求められています。
この記事では、顧客からのクレームを「炎上」させることなく、適切に対応するための3つのポイントを解説します。

「不満客」なのか「クレーマー」なのかを見極める

クレーム対応に取り組むにあたって、まず初めに行わなくてはならないのが、クレームの性質の見極めです。
お客様センターなどにクレームを寄せる人にも、いくつかのタイプがあります。
製品やサービスに関する正当な不満や苦情を抱いていて、それをなんとか解決したいと考えている人。妥当とは言えないが何かしら不満を抱いている人。その企業には何の不満もないが、ムシャクシャして憂さ晴らしに電話をかけてくる人。そして、初めから金品などを巻き上げることを目的として接触してきている悪質なクレーマー……。

こうしたさまざまなタイプのクレームに対して、一律で同じ対応をするのは現実的ではありません。
例えば、金品目当てでコンタクトしてくる悪質なクレーマーに対して通常のお客様にするように誠意をもって対応しても、本質的な解決に至ることはないでしょう。逆に、正当な理由があってクレームを寄せてくださっている顧客に対して端から警戒心をあらわにした対応をすれば、火に油を注ぐ結果となり、顧客をモンスター化させてしまいかねません。

まずはクレームの性質をきちんと見極めたうえで、その後の対応方針を決めることが大切です。

お客様の声をしっかり聞く

クレームの性質を見極めるためにも、何はともあれ「お客様の声」をしっかり聞くことが大切です。

  • どのようなことが起きたのか
  • それは、いつ、どのような経緯で発生したのか
  • それによって、どのような問題が生じているのか
    ……といった情報をお客様の話から読み取って整理することで、どうすれば解決に導けるのかが見えてきます。

製品の初期不良が問題となっているのであれば、正常な商品との交換で解決する可能性があります。従業員の態度などが原因で顧客が機嫌を損ねているのであれば、誠意をもってお詫びをすることで怒りが収まるかもしれません。いずれにしても、クレームの内容や背景事情を正しく把握することが、クレーム対応の最初の一歩となります。

なお、電話でクレームを伝えてくるお客様の中には、怒りのあまり興奮して大声を上げるような方もあるかもしれませんが、相手の剣幕につられてこちらが動揺することなく、冷静に対応することが大切です。

ただし、こうしたことには向き不向きがあり、どう頑張っても冷静な対応ができない人も中にはいます。可能であればクレーム対応の窓口は、ものに動じないタイプの担当者に任せるのがよいでしょう。

クレーム対応は初動のスピードが大切

もうひとつ忘れてはならないのは、クレーム対応は初動のスピードが何よりも大切だということ。

人の不満や怒りというのは、時間とともに増殖していくものです。
パソコンのサポートセンターなどに電話をかけ、呼び出し音のまま何十分も待たされるとイライラは最高潮に達します。かかってきた電話を保留にしたまま長時間放置したり、あちこちの部署をたらいまわしにしたりしていると、本来は単に問い合わせをしたかっただけの顧客ですら、モンスター化してしまうかもしれません。

担当者が不在ですぐに対応ができないのであれば、ご連絡先を伺って改めてこちらから電話をかけなおすなど、ちょっとした配慮で相手に与える印象は大きく変わってきます。
もちろん、話を聞いてから対応方針を決定して実際にアクションに移すまでも、必要以上に長引かせることなくスピーディに進めるよう心がけましょう。

情報の活用でクレーム管理の品質を上げよう

日ごろから顧客の行動履歴や顧客対応履歴、クレーム対応履歴などを管理しておけば、いざという時にそれらの情報を活用し、クレーム対応を円滑に、かつスピーディに進めることが可能となります。

昨今、ビッグデータ処理や自然言語解析、データ分析などの技術が目覚ましい進化を遂げ、「クレーマー化しやすい顧客/クレームにつながりやすい状況」などを予測したり、データからクレームを未然に防ぐための対策を割り出したりするような試みも進んでいます。

こうした時代に備えるためにも、また、クレーム管理の品質向上に努めるためにも、平時よりCRMを活用してお客様の情報を蓄積・管理する体制を整えておきたいものですね。

クレームは「宝の山」と捉えるべし!クレーム管理は顧客満足度向上の鍵となる

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