車に乗らない人も含め誰もが知っているであろう、イタリアの高級スポーツカーブランド「フェラーリ」。このフェラーリの世界観を再現したアミューズメントパーク「Ferrari Land(フェラーリ・ランド)」が、2017年4月にスペインにオープンします。2010年のUAE・アブダビに続いて世界で2番目となるフェラーリ・ランド。建設計画が発表された2014年から約3年、ようやく明らかになったその全貌から、集客プロモーションのヒントを探ります。

■スペイン・バルセロナ郊外に誕生!

バルセロナ中心街から車で1時間ほど南下したVilase(ビラセ)にある大型アミューズメントパークPort Adventure (ポルト アドヴェントゥーラ)。フェラーリ・ランドは、同パークの新たな目玉スポットとしてこの春グランドオープンします。

■フェラーリのスピード感を体感できる様々なアトラクション

F1がもたらすアドレナリン全快の「スピード感」と「絶叫」。この2つのキーワードを軸に、フェラーリ・ランドは開業プロモーションを行っています。メインアトラクションの「Vertical Accelerator(ベルティカル アクセレラトール)」はヨーロッパで最も高いローラーコースターとして注目されており、キャッチコピーは「フェラーリが誇るスピード感を絶叫マシーンで表現!」。その言葉通り、コースには最頂地点112mから時速180kmで急降下するポイントが設けられ、「人生初最速の5秒を体感できる」と謳われています。

https://ferrariland.portaventuraworld.com/atracciones

ローラーコースター以外では、足が宙に浮いた状態で55mの高さから垂直に落下する「Bounce-Back Tower(ボウンセ バックタワー)」、F1レースをリアルに再現したドライビング体験ができるバーチャルリアリティコーナー、本物さながらのマシーンでレーシングを楽しめるサーキット場、サーキットメカニック体験場、そしてフェラーリの全歴史を知ることができるギャラリーがあり、フェラーリの世界を思う存分堪能できます。

■注目を集めるためのプロモーション戦略

まずひとつめに挙げられるのは、メインアトラクションの建築ビデオの公開です。サグラダファミリアやカタルーニャ音楽堂をはじめ、世界的に有名かつ素晴らしい建造物が多く残されているスペイン。建築へのこだわりと誇りをもつ国民性を意識して、フェラーリ・ランド開業に向けては、1年間の大掛かりな建設ビデオが公開されています。人々を絶叫の世界へと導く大型アトラクションの建設風景はなかなか見る機会がないため、このビデオの公開は、話題喚起とオープンへの期待感を煽るのに一役買っています。

https://www.youtube.com/watch?v=kOItBx8xEao

動画はフェイスブックやインスタグラムの公式サイトでも公開されています。フェラーリ・ランドのハッシュタグ(#ferrariland)で検索すると、建設現場やテスト走行の様子などの写真、動画を見ることができます。

ふたつめは、ユーザーをフェラーリの世界観へ一瞬で誘い込むホームページ作りです。フェラーリ・ランドのホームページに入ると「START YOUR ENGINES」の真っ赤なスタートボタンの映像と共に鼓動が鳴り、続いてマシーンのエンジン音が豪快に響きます。その疾走感あふれるCG映像の仕掛けは秀逸です。また、フェラーリ・ランドのオープンに向けたカウントダウンが表示され、誕生を待ちわびるファンの期待を高めています。

https://www.portaventuraworld.com/ferrari-land

■まとめ

世界最高峰のスポーツカーブランドであるフェラーリのテーマパークとして、プロモーションを仕掛けるために一貫して大切にしているのは「フェラーリならではの世界観とスピード感を味わえるムードづくり」。本来であれば、アミューズメントパークは幅広い集客を目指さなければならない宿命にあり、コンセプトやターゲットを絞りこみ過ぎることはネックになりがちです。しかし、ここフェラーリ・ランドでは、あえてフェラーリ独自の世界観を徹底して打ち出すことで注目度を上げることに成功し、フェラーリに興味がなかった人までも思わず訪れてみたくなるような心理をついています。

フェラーリの圧倒的なブランド力があってこそのプロモーションかとも思いますが、「独自性をとことんまで打ち出す」というポイントは、集客を目指す施設・サービスにとっても挽回を狙うためのヒントになりそうです。

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