FacebookやLINEでチャットボットを導入している企業が増えています。そのメリットは、自動で機械がラーニングし、顧客対応をしてくれることで、オペレーターの人件費もコストも軽減できることなどがあります。
しかし、チャットボット単体での顧客満足はむずかしく、人の手が必要になるといわれています。具体的に、人はどのような作業をすべきなのか人工知能プラットフォームを提供するhachidori株式会社のご担当者にお話を聞きました。
■人工知能チャットボットが流行中
チャットボットというと、真っ先に思いつくのが、FacebookやLINEでのFAQや問い合わせ対応です。24時間対応でき、すぐに答えが返ってくるため、わざわざWEBページのFAQや「よくある質問」ページを検索して閲覧する必要がありません。
ある配送業者は、LINEのチャットで、ボットに話しかけるだけで配達状況の確認、さらにには配達日時の変更までできる機能を備えています。
今ではロボットも賢くなっており、そのラーニング力によって、ある程度の問い合わせには対応できるようです。
■チャットボットの可能性は大きいが…
このチャットボットの可能性は限りなく、実現していないことも多くあり、今後の進化の期待が高まります。しかし現状、課題はあります。さすがにまだチャットボットだけでは顧客満足度を高めることができないということです。
あるネットショップのLINEチャットボットは約1年半で問い合わせの3分の1の対応ができるようになったといわれています。逆をいえば、まだ3分の2は人手に頼らざるを得ないというわけです。
この人工知能チャットボットを実施する際、人の手が必要になるのはなぜなのでしょうか。人工知能のチャットボットのサービスを提供するhachidori株式会社の濱田拓馬さんは次のように話します。
「一言で言えば、人工知能チャットボットはあくまでも人間により創出された技術です。人にしかできない、もしくは人がやったほうがいい仕事がまだまだ多くあります」
■チャットボット活用で人の手が必要になるシーンとは?
濱田さんによると、人の手が必要になるパターンには、大きく分けて2種類あるといいます。それは1.人の手を使わざるを得ないパターンと、2.人の手を使ったほうがいいパターンです。
1.人の手を使わざるを得ないパターン
「前提として、いくら人工知能を使っていたとしても、チャットボットによる自動応答のもととなるデータは事前に用意しておく必要があります。つまり、チャットボットとユーザーとの間で、どのようなコミュニケーションが行われるか想定し、それに対する応答データを準備する必要があるのです。
しかしながら、さまざまな理由から、コミュニケーションを100%想定することは不可能です。そのため、想定できなかったコミュニケーションが発生した際に、人の手が必要になります。
例えば、物販におけるクレームを招いた上での返品対応の場合、お客様のお怒りのレベル・商品の種類・購入時期・商品の利用状況・返品理由・顧客ステータスなど、無数の定性的かつ定量的要因の組み合わせによって、最適なコミュニケーションを行う必要がある場合などは人手が必要になるでしょう」
2.人の手を使ったほうがいいパターン
「チャットボットはあくまでも事前に決められたルールに沿った機械的な対応しかできません。そのため、人間同士の会話が重要になる場面では向きません。そのような場面では人手を使ったほうが良いということになります。
例えば、接客においては、一生に一度のお買い物のシーンで、購入を悩んでいるお客様に対して、背中をそっと押してあげる温かみのある会話は、チャットボットにはハードルが高いでしょう」
人工知能チャットボットは、人手を減らす便利な一面があるものの、その背景には人の手による入念な準備と心のこもった応対が必要であるようです。
導入する際には、どこが削減できるのかということだけに着目するのではなく、人の手がどこで必要かということも同時に考える必要がありそうです。
自社の業務において、人の手がどこで必要になるかのポイントを洗い出すことで、何が大切なのかをみきわめられるというのは、顧客満足度向上のためにも自社にとって大きなメリットにつながるでしょう。
取材協力
hachidori株式会社
https://hachidori.io/
国内初・日本最大のチャットボットプラットフォーム「hachidori plus」を展開。2600超のチャットボット開発実績をもとに、最適なチャットボット開発を支援している。