消費者がスーパーマーケットを選ぶポイントとは何でしょうか? 「セール品があるお店に行くようにしているし、基本的にはどこに行っても同じ……」消費者のそんな気持ちを変えるべく、世界各国の多くのスーパーマーケットが、独自のスタイルでアピールを行っています。今回ご紹介するのはそんなスーパーマーケットチェーンの1つ「ALDI(アルディ)」。ドイツ生まれのこのスーパーマーケットが快進撃を続けている秘訣は何なのでしょうか?

米国で順調に成長を続けるスーパーマーケットチェーン

ドイツで生まれたスーパーマーケット「ALDI」ですが、1976年に米国1号店を開設して以来、その店舗数を米国内で着実に増やし続け、2017年4月の時点では計35州、1,600店舗を展開するまでに成長しています。現在はその本部を米国のイリノイ州に移し2018年までに650の新店舗をオープンする予定です。

なぜALDIは順調に成長しているのでしょうか? 一体、他のスーパーマーケットとどこが違うのか、まずは店内の様子を見てみましょう。人気のあるスーパーマーケットというと一般的に「商品を美しくディスプレイしている」ことや「セール品が目に留まりやすい」ことなどが重要に思えます。しかしALDIは特にそこにこだわりは見せておらず、店内に入るとこのように淡々と棚に積み上げられた商品たちが目に入ります。

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また、ALDIは通常の米国のスーパーマーケットチェーン店と比較して、店舗のサイズが小さいのもその特徴です。店内には、陳列棚の列がわずか4~5列しかなく、10分あれば店内のすべての売り場を見て回れるようになっています。

コストカットの利益を消費者に還元

このようにどちらかというと他のスーパーより「狭い」「見栄えも良くない」ALDIですが、その分を経営費用の削減につなげ、それをお客様に還元することで人気につなげています。一見マイナスなイメージにつながりそうなこういったポイントも、それが実際にお客様にとってプラスになる(商品を低価格で提供できる)ことをきちんと伝えることができればよいということをALDIの経営方針は示してくれています。

ALDIではその他にもコストを抑える方法として「多くの米国のスーパーに入っている薬局や銀行といったサイドビジネスを入れていない」「店舗に仕入れる商品を、本当に人気があるものに絞り込んで無駄を減らしている」「販売している9割の商品は、独自ブランドのものである」といったことなどを実施しています。消費者が納得いく価格で商品を販売するために、効率の良い経営方法の見極めをきちんと行っているのです。

新キャンペーンでブランドイメージ作り

ここではALDIが2016年9月にイギリスでスタートした「Everyday Amazing」キャンペーンに注目してみましょう。当キャンペーンはALDIブランドを「より健康的なライフスタイル」のイメージに近づけることを目的としたもので、「ALDI = 安売りスーパー」という消費者の認識を変えるために実施されたものです。

ALDIは常に自社商品について「生産元がはっきりわかっている新鮮・健康・低価格の商品を消費者に届ける」ということをモットーにしていましたが、消費者にそのことをアピールしきれていませんでした。その対策として当キャンペーンの一環として打ち出されているのが、「Super Six」と呼ばれるプロモーションです。当プロモーションはALDIが独自の視点で野菜・フルーツから6種類、肉・魚から6種類を選び、それらをお手頃価格で提供するというものです。これにより「高い金額を払わなくても健康な暮らしはできる……」「そしてALDIはそれを実現するためのサポートができるブランドだ」というメッセージを発信したのです。

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まとめ

商品を売るためにはいろいろ工夫をしてみないと……常に新しいことに挑戦していかないと……そんな焦りを感じてしまうことがあるかもしれません。しかし、たまには目線を変えて「無駄を排除する」「真の価値を見出す」「ブランドとしての軸をしっかりと作り上げる」といった基本を見つめ直し、経営方針を立て直してみるのも意外な効果を発揮するかもしれません。

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