ここ数年いろいろな場所で「AI(人工知能)」という言葉を耳にするようになったマーケターの皆さんも多いのではないでしょうか。このAIが今、今後のデジタルマーケティングの発展において欠かせない存在であるとみなされています。今回はその詳細について学んでみましょう。

AIとマーケティングのつながりとは?

「IT用語辞典」によると、人工知能とは「人間の使う自然言語を理解したり、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするコンピュータプログラムなど」を指します。これまではチェスや囲碁といったゲームの世界で注目されることの多かった人工知能ですが、実は顧客の嗜好や行動パターンを推測することが重要なマーケティングの世界にも活躍の幅を広げています。効果的なマーケティングを行ううえで欠かせない、顧客の嗜好や市場トレンドを知るという点で、AIは素早く的確な情報をマーケターに届けてくれます。

どの分野でAIが使えるの?

では、マーケティングの世界において具体的にはどのような分野での利用が考えられるのでしょうか。

先手マーケティング

AIを活用することで、マーケターは手動でデータ解析を行う作業を減らすことができます。AIが自動的に膨大な量のデータの中から関連性のあるものを選出し、マーケティング戦略を練るうえで大切なパターンやトレンドを解析してくれることで、機能追加の示唆、どのようなプロモーションを行うべきか、どのような解決策を練っておけばよいかなど、マーケティング活動において先手を打てるようになります。

広告最適化

ウェブサイト訪問者やメルマガ読者に広告をクリックしてもらうためには、いかにその人の興味を引く広告を良いタイミングで発信するかが重要になります。AIによる広告最適化は特にSNSで活用することができます。ユーザーはどのようなコンテンツをフォローしているのか、どのようなコンテンツに反応しているのかを解析することで、最適な広告を表示することができます。

記事コンテンツの自動作成

マーケティングオートメーション・ソフトウェアの販売を行うemarsys社によると、すでに多くのスポーツ関連やファイナンシャル関連の記事が人ではなく機械によって作られているそうです。これは、これらの分野のデータは数値で表されることが多いため、コンテンツの自動作成がしやすいということが関係しています。今後、より多くの分野のマーケティングデータが数値化されていくことにより、他分野のコンテンツでも自動作成が進むのではないかと予想されています。

コカ・コーラ社もAIに注目!

米国の広告関係の情報を提供するADWEEKによると、クリエイティブなマーケティング戦術に定評のあるコカ・コーラ社も、現在AIへの注目度を高めているそうです。2017年2月に開催された「Mobile World Congress」でのインタビューによると、コカ・コーラ社は自社コンテンツの作成にAIをどう活用できるかを探っているとのこと。将来的にはAIが、広告に使用する音楽を製作したり、説明文を作成したり、SNSに広告を投稿したりなど、一連の流れをすべてこなせるようになってほしいと考えているそうです。

コンテンツ作成は作成者のクリエイティビティが問われるだけでなく、費用も時間もかかるものです。もし高品質のコンテンツを、タイムリーにAIが自己作成・自動発信してくれるようになれば、多くの企業が恩恵を受けるのではないでしょうか。ただ、今回のインタビューの中でコカ・コーラ社は、古すぎるテクノロジーを使うのは時代遅れだが、新しい技術を早すぎる段階で導入すると、問題が出てくると注意を促しています。AIの秘める可能性に大いに注目しながらも、長い目で自社にとってはどのような使い方が最適か、どのようなメリットの出し方を狙うべきかなどを、現段階では慎重に調査しているようです。

まとめ

「人工知能なんて大げさなものは必要ない」と考えてしまうかもしれません。しかし、自社マーケティングを効率よくコストを抑えて実施していくうえで、人工知能はさまざまなサポートを提供してくれる可能性を秘めています。ぜひその仕組みをしっかりと理解し、人工知能に関する業界のニュースや動向をチェックしていくようにしましょう。

おすすめ資料